2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月8日 17時0分
コリン・ジョイス
よくある兄弟げんかと和解が世界の大ニュースになる、オアシスがここまで人々を熱狂させる理由は
仲たがいした兄弟が和解した――。それは、分かり切った出来事リストの中でもほぼトップに来るたぐいのもの。クマは森の中でふんをするとか、教皇はカトリック教徒だ、と同じだ。
ところが、ギャラガー兄弟が昨年8月、2025年にオアシスの再結成ツアーを行うと発表すると、イギリスでは大ニュースになった。
再結成ツアー「OASIS LIVE ’25」ワールドツアーUK・アイルランド国内公演告知、24年8月
オアシスは一大事だし、公然の不和は長年続いていたので、この興奮もある意味理にかなっている。それでも疑問は残るし、オアシスの謎はほかにも多々ある。
まず、ギャラガー兄弟の「確執」がこんなにも伝説的な位置付けになったことが奇妙だ。研究によれば、兄弟姉妹がいる人の約4人に1人が、成人後に兄弟姉妹のうちの1人と疎遠になるという。さらに、そのほとんどが永久的な絶縁というよりは一時的な疎遠で、何度かそんな状態を繰り返している可能性がある。
とはいえ、ギャラガー兄弟に起こったことはありがちなことだというために、僕はそこまで確固たる科学的根拠に頼らない。まず、そもそも彼らはマンチェスター出身の「北部人」だから、やや攻撃的な気質と考えられがち。ステレオタイプかもしれないが、大阪人はお金にうるさいというのと同じようなものだ。
さらに、彼らは(僕と同じく)アイルランド系。同胞に対して申し訳ないが、アイルランド系は家族の確執をよく起こしがちだ。大規模な結婚式があったと聞けば、僕たちは冗談で「で、けんかはあった?」と聞く。
ともすると、オアシスで普通じゃないところは、兄弟が仲たがいしたことではなく、その前に初期メンバーの3人を脱退させたことと、交代した1人も辞めさせたことかもしれない。
北部人はやっぱりけんか好きなだけだろう、という結論になるかもしれない(同じ時代を代表した他の2つのマンチェスターのバンド、ザ・スミスとストーン・ローゼスも非友好的な解散をしたことを付け加えておこう)。
ギャラガー兄弟の確執には興味深い力学が働いた。それを乗り越えるに値する莫大な金銭的動機があったのだ。実際、不和が長引くほどその金額は膨れ上がった。オアシスが15年前に解散したという事実は再結成ツアーに巨大な需要があることを意味していた。
今回の感動的な和解は、ノエル・ギャラガーが2000万㍀(約39億円)の離婚請求に直面しているさなかに起こったことは注目されている(モンティ・パイソンのコメディアン、ジョン・クリーズの悪名高い慰謝料ツアーを思い起こす人もいるだろう)。
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