ロシアの航空機、相次ぐエンジントラブルで空港にリターン 長引く経済制裁で航空業界の「墜落」も近い
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月8日 16時57分
ブレンダン・コール
<ウクライナ侵攻以降、欧米の航空機と部品が手に入らなくなったロシアの民間航空機は老朽化する一方。戦争前に1000機以上あった民間航空機の数は、2026年には半分以下になると予測されている>
報道によると、ロシア旅客機2機が1月2日と3日に相次ぐエンジントラブルで、出発空港への引き返しを余儀なくされた。ロシアの航空業界はウクライナ侵攻のため西側の制裁対象で老朽化がひどく、徐々に運航にも支障を来たしている。
テレグラムのロシア航空専門チャンネル「Aviatorshchina」によると、ウラル航空の飛行機がエジプトのシャルム・エル・シェイクに戻ったほか、ノルドスター航空のボーイング737型機も、エンジントラブルでヴォルゴグラードに戻らなければならなかったという。
本誌は、それぞれの航空会社およびロシア連邦航空運輸局に電子メールでコメントを求めた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻を受け、米国とEUはロシアの航空機に制裁を科した。ロシアの民間航空機の3分の2はボーイング製とエアバス製だ。制裁措置には、航空機のメンテナンス停止や、新しい機体の供給停止が含まれており、ロシアの航空産業を継続的に悪化させる可能性が高い。
ウラル航空は2025年1月3日、エジプトのシャルム・エル・シェイクから、ロシアのエカテリンブルグへ飛行中だったエアバスA321型機のエンジンが、高度1万3000フィート(3962メートル)で故障したと発表した。
航空機は旋回した後、片方のエンジンで出発空港に戻り、乗客は同日午後に別便に乗せられた。
機内で撮影された映像が、ニュースサイト「360.ru」に投稿されている。その中では、客室乗務員が乗客に「着陸時に何度か衝撃があるかもしれないので、新しい指示があるまで安全な姿勢をお取りください」と指示しているのがわかる。
ウラル航空の広報担当は、「ウラル航空の乗務員は、エンジンが故障した航空機の着陸に成功した」と発表した。
その前日には、ノルドスター航空のエカテリンブルク行きボーイング737型機が3万3000フィート(約1万メートル)以上の高度でエンジントラブルに見舞われ、ヴォルゴグラードに戻った、とAviatorshchinaが報じた。
同機の乗客164人は、モスクワから到着した別の航空機に乗り換えたが、6時間以上の遅れが出た。両航空会社によると、故障が生じた飛行機は、技術点検のために運航を停止したという。
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