中国自動車、ガソリン車は大幅減なのにEV販売は4割増の急速グリーンシフト
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月14日 19時14分
シャノン・マクドナー
フォルクスワーゲンや日産自動車のような西側の自動車メーカーは、生存に関わる脅威を受けている
2024年の中国の電気自動車(EV)市場は、販売台数が40%超上昇するという記録破りのものだったことが、1月13日に発表された産業統計で明らかになった。
一方、世界最大の中国の自動車市場におけるガソリン車の販売台数は、1400万台から1160万台と大幅に落ち込んだ。EVシフトが加速していることを如実に示す数字だ。
中国の新車販売台数の推移を見ると、ガソリンおよびディーゼル車は、10年前にはほぼ市場を独占していたが、今ではようやく半数を超える程度だ。こうした劇的なシフトは、政府の補助金や、より高性能なモデルの投入、消費者の好みの進化によって後押しされている。
ガソリンおよびディーゼル車の販売台数の落ち込みは、フォルクスワーゲンや日産自動車など、これまで中国の旺盛な需要に頼ってきた自動車メーカーに大打撃を与えている。両社は現在、中国国内のEVメーカーに懸命に追いつこうとしているが、中国のEVメーカーは輸出を伸ばしている。
中国の自動車メーカーは2024年、500万台近くの乗用車を輸出した。2023年と比べて20%近い上昇だ。このうち「新エネルギー車」(バッテリー式のEV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車を含むカテゴリー)は6.7%上昇し、128万台に達している。
中国国内では、特にプラグインハイブリッド車が人気を集めている(電気だけで走るEVモデルは航続距離に制約があることを消費者は警戒している)。堅調な国内需要と、国外への進出によって、中国の自動車メーカーは、欧米の既存の自動車メーカーにとって直接的な脅威となっている。
そこに生まれた地政学的な緊張が貿易を大きなインパクトをもたらしている。アメリカは2024年9月、中国製EVへの関税を(それまでの4倍となる)100%に引き上げることを決め、EUもこれに追従して同様の措置に出た。中国政府が自国の自動車メーカーに不公正な補助金を出している、というのがその理由だ。
中国メーカーのEVは、最も安い場合で1台1万2000ドル。BYDやNIO(蔚来集団、ニーオ)といったメーカーは積極的に世界市場に進出し、西側の自動車メーカーに脅威を及ぼしている。
中国の太陽電池工場や、鉄およびアルミニウムの精錬所は、全世界の需要の大部分をまかなうのに十分な生産能力を有している。中国の当局者は、こうした豊富な原材料が自動車の価格を低く抑え、グリーンエコノミーへの転換を促している、と主張している。
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