1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

「忠誠心」で固めたトランプ新政権...最大の敵は「期待」と「時間」

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 13時30分

MICHAEL M. SANTIAGO/GETTY IMAGES

サム・ポトリッキオ
<絶対忠誠を誓うメンバーで政権を固めたオレ様大統領を止められるのはマスクだけ?>

第47代米大統領としてホワイトハウスに復帰するドナルド・トランプは、最も手ごわい敵に直面することになる。それは期待だ。

世論調査では、アメリカ人の55%がトランプの政権移行プロセスを支持し、54%が大統領としてもよくやるだろうと予想。トランプがアメリカに変化をもたらすと期待する人は68%にも上る。こうした数字は、トランプが権力の座に返り咲くため、サンタクロース並みに気前のいいプレゼントを約束した結果だ。

だが、大きな期待は、2025年をかえって困難な年と感じさせることになるかもしれない。何しろ、トランプが最も大胆な選挙公約を実行に移せば、アメリカの経済は大打撃を被る恐れがある。とてつもない規模の関税は、報復関税や貿易戦争、さらには物価の高騰を招くだろう。移民の一斉取り締まりは、米経済を支える中小企業に大打撃を与えて、倒産する企業も出てくるだろう。

トランプにとって厄介なのは、公約を実行に移せば、米経済を転覆させる恐れがある一方で、公約を実現しなければ、ジョー・バイデン大統領と同じように国民の不満の矛先が向くかもしれないことだ。

トランプは別のプレッシャーにもさらされている。それは時間だ。

共和党は1月から上下両院で過半数を握ることになるが、その差はわずか。中間選挙では大統領の政党が議席を減らすのが定石だから、トランプが自らの公約を比較的簡単に実現できる時間は限られている。選挙日程を考えると、26年11月の中間選挙に向けた選挙戦が本格化するのは同年4月。従ってトランプは、就任後すぐに全力で仕事を片付け始めなくてはいけない。

そのためにトランプが集めている政権幹部のカギは忠誠心(とテレビ映えするルックス)だ。1期目は、その分野で本格的な経験があることを重視したが、今回は違う。幹部が素人的なミスを犯しながらも、トランプに忠実な政策を実行しようとする一方で、経験豊かな実務官僚が抑制と均衡の役割を果たすという統治パターンが生まれるかもしれない。

トランプは最高裁判事など連邦判事を指名する権限によって司法を味方に付けているし、おそらく近年のどの大統領よりも党に対して強い支配力を持つ。こうした環境は、トランプが自らのレガシーを築く上では悪くない。

「関税大統領」の危険な賭け

トランプは、「米経済の成功の立役者」を自負しているから、経済面での公約実現にはとりわけ力を入れるだろう。特にエネルギー生産でアメリカを世界一にするという公約の実現は確実だ。また、経済に流動性をたっぷり供給し、大手テクノロジー企業のAI(人工知能)投資に好ましい環境をつくるだろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください