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「予測不能」なトランプの行動を予測する──今こそ、日本でも夜明けを迎える「未来学」

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月22日 17時22分

未来学の定着へ

前振りが長くなったがそうした未来について、人類が長年にわたり考えてきた悠久の歴史や営みをまとめた『未来学 人類三千年の〈夢〉の歴史』(白水社)がこのたび上梓される運びとなった。オーストラリアの大学で教鞭を執るジェニファー・M・ギドリー氏による作品の邦訳となる。記事では本書の趣旨について概説しつつ、一部を抜粋しご紹介したい。

あらためて、2025年、トランプ氏がどのような「技」を繰り出すか、ある程度予測できても、その実現可能性は未知数だ。そして、時々刻々と実現確率が変わる。国際情勢や米国の政情を踏まえて目まぐるしく、未来の可能性は変動する。

トランプ氏の行動を予測することは、未来学修得の意義について考えさせられる契機になるかもしれない。

増える「未来を考える場」

近年、バックキャスティング、シナリオ・プランニングやホライズン・スキャニング、デザイン思考といった戦略的な思考や手法がビジネスの現場、さらには教育の現場に取り入れられる機会が増えている。本書の翻訳・刊行の必要性を感じたのもそうした背景からである。本書は、未来という漠然として掴みどころのない対象について、深く学ぶための方法や知識を入門書として広く扱っている。

例えば、
「カオスと複雑性の理論が予測や予測に持ち込んだ激変から生まれたワイルドカードとブラックスワンという概念について触れておきたい。「ワイルド・カード」と「ブラック・スワン」は、未来学者が、可能性は極めて低いが、発生すれば重大な影響を及ぼすであろう予期せぬ未来の出来事を特徴づけるために使う2つの異なる用語である」(本書『未来学』より抜粋)

といった具合にである。

未来学や未来洞察について、日本での普及や推進の機会は増えつつある。日本総合研究所やNTTデータ経営研究所、野村総合研究所などのシンクタンクのほか、中央省庁もそうした未来学なるものについての勉強会などを開き、学びの場が広がっている。

日本総研は2月に「未来をつむぐ対話:世代を超えて描く、2045/55の社会」と題するワークショップを開催し、世代間格差を超えて「ありたい社会像」を探る。NTTデータ経営研究所は未来を描く手法に関する実践的なプロセスを「未来デザインハンドブック」にまとめ、公開している。

出典:NTTデータ経営研究所「未来デザイン手法のバリエーション」

以下では、未来学に込めたオーストラリアの未来学者ギドリー氏の未来に込めた思いを紹介したい。

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