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緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月27日 9時15分

kai keisuke-shutterstock

ハティ・ウィルモス
<1日に3杯以上の緑茶の可能性について、日本の研究チームが国際ジャーナルで発表>

1日に3杯以上の緑茶を飲むことが、認知機能の低下や認知症から脳を守る可能性があるという最新研究が「Nature」のパートナージャーナル「npj Science of Food」に1月7日に発表された。

金沢大学大学院医薬保健学総合研究科の研究者らは、緑茶を飲むことと脳の白質病変の体積に関連があることを発見した。

 

大脳白質病変とは、大脳の白質に生じる損傷や異常のことで、加齢とともに発生しやすいが、無症状のこともある。しかし、大脳白質病変によって脳の健康状態が悪化する可能性があり、血管性認知症やアルツハイマー病など認知機能の低下や記憶障害にもつながっている。

金沢大学の研究チームを含めた日本国内の8つの研究機関が参加するプロジェクト「健康長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究(Japan Prospective Studies Collaboration for Aging and Dementia:JPSC-AD)は、2016年から2018年にかけて食事アンケートとMRI(磁気共鳴画像法)による脳スキャンデータを収集。

軽度の認知障害、認知症、または不完全なデータを除外した、65歳以上の8500人以上の被験者が1日に飲む緑茶とコーヒーの量に基づいてグループ分けし、白質病変、海馬、脳全体の体積をMRI画像を用いて分析した。

海馬と研究結果

記憶の形成、空間認識、感情の調節に関わる脳の重要な部位である海馬は加齢とともに自然に縮小するが、慢性的なストレス、精神疾患、脳損傷などによっても縮小することもある。

また、海馬の縮小が認知機能の低下やアルツハイマー病を含む認知症の兆候となることもある。さらに、脳全体の体積も加齢とともに縮小するが、急速な脳容積の減少(脳萎縮)は認知機能の低下や認知症と関連している。

研究分析の結果、1日に20オンス(約2.5杯)の緑茶を飲む人は、7オンス(約1杯)以下の緑茶を飲む人に比べて白質病変の体積が平均3%低かったことが判明。さらに、1日に50オンス(約6.25杯)の緑茶を飲む人は、7オンス(約1杯)以下のグループと比べて白質病変の体積が平均6%低いことが確認された。

しかし、緑茶の摂取量と海馬や脳全体の体積には有意な関係が見られなかった。また、コーヒーの摂取と脳の健康の間にも有意な関係が見られなかった。

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