AI革命は、アメリカではなく中国から低料金でやってきた!?【トランプ2.0】
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月28日 18時20分
米戦略国際問題研究所(CSIS)ワドワニAIセンターのディレクター、グレゴリー・アレンはAP通信にこう語った。「現在、中国が外交政策で最も重視しているのは、アメリカによる輸出制限がいかに無意味でいかに非生産的かを示すことだ」
ベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンは26日、ソーシャルメディア「X」への投稿で、「ディープシークR1は、AIにおけるスプートニク的瞬間だ」と記した。スプートニクは1957年、ソ連が打ち上げに成功した世界初の人工衛星だ。完全に出し抜かれたアメリカは大きな衝撃を受け、人類初の月着陸を目ざすアポロ計画はそこから始まる。
アンドリーセンは、テクノロジー政策に関してトランプ大統領に助言している人物だ。アンドリーセンは、AI産業に過剰な規制をかけると、アメリカのイノベーションが阻害され、中国に有利な立場を与えることになると警告した。
次の会計年度においてAI開発に940億ドルを費やす予定のマイクロソフトは、「ディープシーク・ショック」を経てもなお、強気の姿勢を崩していない。同社のサティア・ナデラCEOは、ディープシークの台頭は業界全体にメリットをもたらす可能性があると示唆した。
ナデラはリンクトインに、「またしてもジェボンズのパラドックスが発動した!」と書き込みんだ。これは、技術の進歩により資源利用の効率性が向上すると、かえって資源の需要が増すという理論だ。「AIの効率性が増し、アクセスしやすくなると、採用が爆発的に増加し、AIは必要不可欠な日用品に変貌するだろう」
マイクロソフト、メタ、アマゾン、そしてアルファベットは2025年の1年間に、総額で最大3000億ドルをAIプロジェクトに投下する計画だ。トランプ大統領は21日、オープンAI、オラクル、ソフトバンクによる新たな合弁事業「スターゲート」を発表し、AIインフラに最大5000億ドルの巨額投資を行うとした。
29日のマイクロソフトとメタを皮切りに、今後2週間は、アメリカでも最大手のテック企業が続々と第4四半期の決算を発表する。各社は従来のバリュエーション(企業価値)や投資計画についてだけでなく、ディープシークのような伏兵と競争する能力についても新たに説明を迫られることになる。
(翻訳:ガリレオ他)
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