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トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 15時3分

氷点下の寒さの中、雨が降り出し、やがて雪に変わる。支持者たちは「USA! USA! USA!」と連呼し、米国歌を歌い、熱気で寒さを忘れているかのようだ。

トランプ支持者の優しさ

ようやく4時頃、荷物検査までたどり着いたところでトラブルが起きた。ポケットの中の物を全てテーブルに置き、検査を受けた。が、目を離した隙に、財布とスマホ2台がなくなっていた。間違えて持っていかれたか、盗まれたんだろう、と係の人は言う。

呆然としながら会場に入る。規制で一眼レフは持ち込めないと思い、写真をスマホで撮る予定だった。会場の人の波を見ながら、もう戻ってくることはないと絶望する。

と、席に着いた私の元に女性が現れる。毛糸の帽子を逆さに、供え物のように両手に抱えて。中に私の財布とスマホ2台が入っていた。

就任式前日の集会で、筆者の財布とスマホを届けてくれた姉妹 MITSUYO OKADA

「荷物検査であなたの後ろにいたの。係の人が間違えて私たちのバッグに入れたのよ。あなたがパニックしている様子が見えて、きっとあなたの物に違いないと思った」

私の顔を覚えていて、しかも2万人の会場ですぐ後ろに座っているとは。何度も礼を言う私に、彼女が首を横に振る。「私じゃない。神が導いてくれたのよ」

会場ではトランプが現れる前から観衆は総立ちになった。トランプ集会でよく流れる「God Bless The U.S.A.(アメリカに神の祝福を)」の演奏とともに本人が登場し、演説では彼のひと言ひと言に歓声と拍手が湧き起こった。

就任式の20日は急きょ、前日と同じ競技場で中継イベントが開かれることになった。先着順に入場するため、私が午前1時に到着した時には、既に250人ほど集まっていた。

前日に増して厳しい零下5度の寒さで、使い捨てカイロを4つ身に着けても暖かさを感じない。支持者に交じって、地面に横になって仮眠を取ろうとしたけれど寒すぎて眠れない。ある夫婦がみんなにコーヒーを配ってくれた。

「ここまでしても僕たちは、トランプが再び大統領に就任する姿を見届けたい」「歴史的瞬間をこの場で祝いたい」と皆、口を揃える。

午前9時頃、ようやく会場に入った。大きなスクリーンで就任式とその前後の様子を見る。トランプとその家族、実業家のイーロン・マスクが映ると、総立ちで歓声が湧き起こった。就任の宣誓と演説に、会場は熱狂する。逆に、民主党関係者に対してはブーイングの嵐だ。

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