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トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 15時3分

「過去は過去だ。白人がしてきたプラスの面にも目を向けるべきだよ」

激しく言い合いすることなく、互いの意見に耳を傾け、時にはうなずきながら、あっという間に2時間が過ぎていた。

誰にとっても、こうした体験は初めてだった。「素晴らしい機会をありがとう。私たちは同じ人間だと改めて感じた」と、双方が礼を言ってくれた。

マジョリティーは中間にある

私は家族の反対を押し切って、高校と大学で米中西部に留学した。その後、ニューヨークに長年住み、第1次トランプ政権の4年間は日本のネットメディアで「トランプのアメリカ」で暮らす人たちを取材する連載を続けた。

トランプ支持者と民主党支持の左派グループによる罵り合いや激しい対立を目の当たりにし、分断されたこの国の現実に涙が止まらなかった。

報道されるトランプ支持者のイメージと実際に出会う彼らには、大きな差がある。穏やかで親切で、礼儀正しい人が多い。報道がよく取り上げるのは集会参加者の声で、それは支持者全体のごく一部だ。

また、トランプが再選した今も非難を恐れる「隠れトランプ」はかなりの数が存在するため、さらに素顔が見えにくい。

リベラルな反トランプ派の人たちは「ヒトラーを支持したのも、善意ある市民だった」「ファシストのトランプに投票する人は皆、ファシスト。米中西部の田舎町の人たちは高等教育を受けていないから、洗脳されやすい」と批判する。

既存のメディアやソーシャルメディア、そして民主と共和両党が政治ゲームのためにつくり上げる極端な「トランプ支持者」や「リベラル」の像に、私たちは振り回されがちだ。マジョリティーはその中間にある。

民主党は福祉や教育を政府に委ねることを望み、多様性を重んじる。一方、共和党は大きな政府を嫌い、伝統的な価値観を尊重する。党派や道のりが違っても、私たちの多くが求めるものは同じだ。平和で心身ともに豊かに、そして夢と希望を持って生きることだ。

トランプが支持者だけでなく、全てのアメリカ人の大統領になれるとしたら、その時、初めて、真の意味で「Make America Great」──アメリカは偉大な国になる。

違いは強みにもなる。「Agree to disagree.(不同意に同意する)」。異なる意見に耳を傾ける。

今回、ワシントンで、小さいけれど生まれた草の根の対話に、私は一筋の光を見た。

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