アメリカが「ロシア化」3つのパワーを解放し、世界をリードし続ける
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 14時38分
混乱を輸出しているようなもので、もしアメリカでなくロシアだったら、世界中から非難されていただろう。
中露は各国の反主流派を扇動し、活性化させることに躍起になっているが、アメリカは実態として中露以上に世界各国の反主流派を取り込んでいるのだ。
たとえば2022年にドイツでクーデター未遂事件を起こしたグループはQAnonの影響を受けていた(ドイツはQAnon信者数世界第2位)。アメリカの白人至上主義グループは世界各地に活動を広げている。
だが、これまでアメリカ政府は非民主主義的な反主流派を規制し、抑制してきた。トランプは数少ない扇動者であり、彼らの力を意図的に利用することに成功した政治家と言える。
余談になるが、民主主義国で反主流派の影響力が高まっているのは、格差の拡大と富裕層の権力の集中が影響している。
たった10%の富裕層が世界の全資産の76%を保有しており、世界人口の半分は2%しか保有していない。さらにほとんどの政党はこうした貧困層を支持母体としなくなった。
不可視化された層が増加し、反主流派となり、近年それを支持母体とする政治家やインフルエンサーが台頭した。
コロナ禍において、反主流派が反ワクチンなどの陰謀論を投稿し、それを中露が拡散、テック・オリガルヒがアルゴリズムで露出を増やし、広告報酬を支払うことで反主流派、修正民主主義、テック・オリガルヒが結びつき、急速に反主流派は力をつけた。
3つ目のパワーは「グローバルサウスあるいは権威主義国の力」だ。
これまでアメリカは民主主義的価値観に沿って行動していた。人権の擁護や公平性、透明性を持たない国とは貿易せず、場合によっては制裁措置を行ってきた。
中露は逆に、民主主義的価値観を押しつけない大国としてグローバルサウスに食い込んでいった。トランプが当選した時、European Council on Foreign Relations (ECFR)が行った調査によれば、グローバルサウスにおけるトランプ人気はきわめて高かった。
出典:European Council on Foreign Relations (ECFR) 「Alone in a Trumpian world: The EU and global public opinion after the US elections」
グラフをご覧いただくとわかるように自分の国にとっても、世界平和にとってもトランプは期待できると答えている。グローバルサウスはトランプに期待しているのだ。
この記事に関連するニュース
-
ドイツ中道右派、極右と協力 タブー崩壊
AFPBB News / 2025年1月30日 13時10分
-
ドイツ首相「本当にうんざり」、マスク氏の欧州右翼支援に嫌悪感
ロイター / 2025年1月29日 11時51分
-
トランプ政権発足、対峙する石破首相に今必要な事 フラット化の時代から「逆戻り」する世界
東洋経済オンライン / 2025年1月21日 10時0分
-
フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治状況に比べれば、日本のほうがまし?
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 16時38分
-
英独の極右を支持して憎悪を煽るトランプの「右腕」イーロン・マスク
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月7日 20時41分
ランキング
-
1米首都近郊の旅客機墜落、元フィギュア世界王者ら搭乗 ロシア大統領府発表
ロイター / 2025年1月30日 20時36分
-
2トランプ政権に衝撃、事故調査に全面協力指示 滑走路近くで閃光 米ワシントンの空中衝突
産経ニュース / 2025年1月30日 16時10分
-
3ワシントンの旅客機事故で消防当局「生存者いない」…28人の死亡確認
読売新聞 / 2025年1月30日 23時53分
-
4米国際開発庁の契約職員数百人が休職扱いに、対外援助停止で
ロイター / 2025年1月30日 15時3分
-
5フィリピン「中国人スパイ逮捕」 新たに5人、海軍部隊の映像収集
共同通信 / 2025年1月30日 19時39分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください