アメリカが「ロシア化」3つのパワーを解放し、世界をリードし続ける
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 14時38分
ロシア化で3つのパワーを解放し、世界のリーダー(のひとつ)となる
これまでアメリカは国際秩序を体現する国家として行動してきた。
これまでの国際秩序とは、民主主義を規範としたものだ。しかし、すでに世界の人口と国の数では非民主主義国の方が多いのが現実だ。アメリカが非民主主義国になれば日本などの同盟国も追随するだろう。
表だって非民主主義を標榜せず、表向き民主主義を標榜しながら実際はそうではないロシアやインドのような修正民主主義国家(illiberalism、民主主義のように見せかけながら実質は非民主主義)へ移行する可能性が高い。
民主主義国から独裁制への移行はハードルが高いが、修正民主主義への移行はグラデーションで抵抗が少なく、そもそもどこまでを民主主義とするかは議論がある。
アメリカとその同盟国の一部が加われば、人口や国の数だけでなく、非民主主義はGDPでも民主主義を凌駕する。より具体的に言えば、EU以外はほとんど非民主主義化すると言ってよいだろう。
かつてアメリカは多くの国の民主化を主導したが、今回はその逆をやるわけだ。前掲のECFRのレポートでもEUの孤立化を指摘していた。
「現代の全領域の戦いでは民主主義陣営は不利なため衰退している。ならば敵陣営を乗っ取ればいい」、という発想をしたのかはわからないが、アメリカはテック・オリガルヒ、反主流派、グローバルサウスを取り込んで再び世界のリーダーとなりそうだ(単一ではなく中国などと並んで)。
ロシアを越えるロシアになることとも言える。
もともと反主流派は第一次トランプ政権時からトランプを支持してきた。
就任式にテック・オリガルヒであるX、Meta、Amazon、アップル、グーグル、TikTokのバイトダンスのCEOが揃い踏みし、グローバルサウスがトランプを歓迎したことで、アメリカは、形勢逆転のためのパワーを手にした。ロシア化は順調に進んでいる。
トランプ政権は、反主流派に実質的な「選択的法執行」の特典を与え、テック・オリガルヒには規制緩和などの恩恵を与え、グローバルサウスには貿易や支援などの恩恵を与える。
「選択的法執行」とは、相手によって法の執行を行ったり、行わなかったりすることである。トランプは就任式の大統領令のひとつで、2021年1月6日トランプが落選した選挙を不正として連邦議事堂を襲撃して収監されている暴徒に恩赦を与えた。この暴動では死者まで出ていた。
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