【大河「べらぼう」】江戸の基礎知識 「錦絵」はアイドルのブロマイド!?
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月3日 11時0分
仮名交じりの娯楽的な読み物「仮名草子」が流行し、そのなかから挿絵入りの仮名草子である「浮世草子」が誕生する。この「浮世草子」の挿絵から、独立して墨摺一枚絵として生まれたのが、「浮世絵」であった。この浮世絵の初期に活躍したのが、有名な菱川師宣であった。
『吉原の躰(よしわらのてい)』菱川師宣画 元禄年間前半(1688~1704) 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
「見返り美人図」菱川師宣画 元禄年間前半(1688~1704) 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
浮世絵の祖・菱川師宣は1682(天和2)年、最初期の浮世草子である絵入本、井原西鶴の『好色一代男』の挿絵を手がけた。ここに浮世絵の歴史が始まる。師宣は「見返り美人図」でも有名な絵師で、その後、肉筆画(版画ではない一点物の絵)・木版画を含めて、さまざまな浮世絵・春画作品を残している。
やがて、複数の色版を重ねて印刷する多色摺りの版画が量産可能となり、錦絵とも呼ばれた。老中・田沼意次による積極財政策によって経済が刺激された時代には、華やかな多色摺りで巧みに演出した鈴木春信らが活躍した。
「見立鉢の木(みたてはちのき)」鈴木春信画 18世紀 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(http://colbase.nich.go.jp/)
「鍵屋お仙と柳屋お藤(かぎやおせんとやなぎやおふじ)」鈴木春信画 18世紀 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(http://colbase.nich.go.jp/)
江戸時代の庶民の日々の楽しみ、エンターテインメントと言えば、やはり「遊び」と「芝居」である。江戸の「遊び」を象徴するのは吉原遊郭と遊女たち、江戸の「芝居」なら江戸歌舞伎と歌舞伎役者たちである。
前者は「美人画」として、後者は「役者絵」として、当世評判の遊女や芸者、町娘、歌舞伎の興行に当てた人気役者を描いた浮世絵が大ヒットする。まさに絵本は流行ファッション誌であり、一枚絵は人気アイドルのブロマイド写真のようなものである。
寛政期(1789〜1801)には、喜多川歌麿の美人画や東洲斎写楽の役者絵などが登場し、庶民を楽しませた。
また、今日のような広告メディアがまだ発達していない時代、浮世絵はチラシや広告の役割も果たしていく。伊勢参りなどの旅行ブームが起きるなかで、風景を描いた浮世絵は、人気の観光スポットを紹介する一種の旅行雑誌的な役割も果たすようになった。葛飾北斎「富嶽三十六景」や歌川広重「東海道五拾三次」はよく知られている。
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