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世界一豊かなはずなのに国民は絶望だらけ、コンゴ民主共和国に再び内戦の危機

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 20時19分

フランス大使館の前で機動隊と対峙するデモ隊(1月28日、キンシャサ) REUTERS/Benoit Nyemba

ブレンダン・コール
<コンゴ東部の悪名高い反政府勢力M23が重要都市ゴマを掌握? 背後でM23を支援していると言われる隣国ルワンダをなぜ止めないのか、首都キンシャサでデモ隊が旧宗主国フランスやアメリカの大使館に怒りをぶつけた>

フランスの旧植民地、コンゴ民主共和国において、米国大使館を含むいくつかの公館が、デモ隊の標的となった。同国東部の主要都市に侵攻した反政府勢力を西側諸国が制御しないことに対する国民の怒りが高まっているのだ。

【動画】コンゴはなぜ世界一豊かな国になっていないのか

ニューヨーク・タイムズ紙が現地報道を引用して伝えたところによると、首都キンシャサにある米国大使館本館の前で、デモ隊がタイヤを燃やしたり石を投げつけたりしたという。



1月28日には、ルワンダ、ウガンダ、フランス、ベルギーの大使館・公館も標的となった。コンゴ東部における反政府勢力「3月23日運動(M23)」の襲撃が激しさを増し、国内の治安も急激に悪化している。

デモ隊の怒りの矛先は、コンゴの同盟諸国に向かっている。コンゴの民兵組織M23が東部の重要都市ゴマへの攻撃を阻止できなかったためだ。国連と米国は、M23を支援しているとして隣国ルワンダを非難している。

ルワンダはM23への支援を否定しているが、安全保障上の理由からコンゴ東部に軍を駐留させ、ミサイルシステムを保有していることは認めている。



西アフリカ研究の専門家である英リーズ・ベケット大学のオラインカ・アジャーラは本誌に対し、コンゴの反政府勢力がこのまま勢いを増せば、コンゴとルワンダの直接対決につながる可能性があり、地域の安定をも脅かしうると語った。

ツチ族が率いる反政府勢力M23は、東部の都市ゴマを掌握したと主張しているが、コンゴ政府はこれを否定している。ゴマは、首都キンシャサから1000マイル(約1600キロ)離れた交易の中心地だ。



複数の援助機関が、ゴマにおける人道危機を警告している。路上には無数の死体が転がり、数十万人が銃撃や砲撃を避けて逃げ回っているという。

キンシャサではデモ隊が、ルワンダに圧力をかけて反政府勢力の進撃を止めさせるよう国際社会に要求した。警察は暴徒化するデモ隊に催涙弾を発射したが、各国大使館の建物は放火され略奪されたと、AP通信は報じた。

米国大使館本館では、タイヤが燃やされ、石が投げつけられた。匿名の米政府関係者は、建設中の新館の敷地にも侵入されたと語った。

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