トランプ大統領、航空機墜落事故を巡りオバマ・バイデン政権とDEI政策を非難した理由とは?
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月31日 15時20分
ゲイブ・ウィスナント モニカ・セイガー
<航空機墜落事故の責任をめぐり、トランプ大統領がDEI政策を槍玉に挙げたことで、全米で新たな論争が巻き起こっている。トランプ氏がこのタイミングで批判を展開した狙いとは?>
ドナルド・トランプ大統領は木曜日、ワシントンDC近郊で発生した航空機事故について言及し、バラク・オバマ、ジョー・バイデン両政権の対応や、連邦航空局(FAA)および運輸省における多様性、公平性、包括性(DEI)政策を厳しく批判した。
「私はオバマ政権時代の基準を、せいぜい平凡レベルのものから卓越したものへと変えた」とトランプ氏は記者会見で語った。
「航空管制官として資格を得るためには、最高レベルの適性が求められる。最高の知能と心理的適性を持つ者のみが資格を得るべきだ」
事故を起こしたのはアメリカン航空5342便で、乗客60人と乗員4人が搭乗していた。この旅客機は水曜日、空中でアメリカ陸軍のブラックホーク・ヘリコプターと衝突した。これは2009年以来、米国で発生した初の大規模な商業航空機事故となる。
DEIは、1月20日の大統領就任以来、トランプ政権にとって重要な論点となっている。トランプ大統領は就任初日に大統領令を発令し、連邦政府のDEIプログラムを「廃止」する方針を打ち出した。DEIの取り組みは、歴史的に不利な立場に置かれてきた人々を含め、すべての個人が公平に扱われ、完全に参加できるよう促進することを目的としている。しかし、トランプ氏の命令により、多くの政府機関は方針の解釈に苦慮している。
トランプ氏が今回のヘリコプター事故についてDEIの影響を指摘したのは、政権がDEI関連の取り組みや契約、ウェブサイトの撤廃を進めている流れの一環でもある。国防長官のピート・ヘグセス氏も、国防総省(ペンタゴン)内のDEI政策を廃止するための追加の大統領令を準備していると発表している。
ワシントンDC近郊で水曜日の夜に発生した航空機事故を受け、トランプ大統領が初めて記者会見を開いた。事故機はカンザス州ウィチタを離陸し、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港への着陸態勢に入っていた際、ヘリコプターと衝突した。ヘリコプターはバージニア州フォート・ベルボアを拠点とする3人の乗員が乗った訓練飛行中だった。
木曜日の時点で、米国当局はこの事故が過去約25年間で最悪の航空惨事となる可能性があるとし、搭乗していた64人全員が死亡したとみられると発表した。
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