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仕事と私生活を「別人格」で生きる...SFドラマ『セヴェランス』とは? 多くの批評家が「年間ベスト作品」に

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月31日 14時52分

シーズン2ではコベルの内面に大きな変化が起き、「自分の内なる声や直感にもっと従うようになる」と、アークエットはネタばれに注意しつつ教えてくれた。

アークエットは、祖父クリフが人気コメディー俳優で、父ルイスも1970年代に活躍した映画俳優、そしてきょうだいのロザンナ、デービッド、リッチモンド、アレクシスも俳優として知られる芸能一家に生まれ育った(アレクシスは16年に死去)。

10代の頃から俳優活動を始め、映画『トゥルー・ロマンス(True Romance)』(93年)でブレイク。テレビでも05年から主演ドラマ『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア(Medium)』を大ヒットさせたほか、『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街(Boardwalk Empire)』などの話題作にも出演している。

賞レースでは、15年に映画『6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood)』でアカデミー賞助演女優賞に輝いた。また、ゴールデングローブ賞やエミー賞を何度も受賞しており、業界内でもその実力は十分に認められている。

そんなアークエットも、コベル役は「とても難しく」て、俳優人生で最も難しい役の1つだと22年に語っている。

だがコベルになり切る時間が長くなり、コベルのキャラクターが進化するにつれて、考えが変わってきたようだ。1人の視聴者として『セヴェランス』の熱狂的ファンであることも、苦手意識が低下した大きな理由だと、アークエットは語る。

「自分とは関係のないシーンでもセットに行ってしまうほど、このドラマ作りに興奮している。ものすごく手が込んでいて独創的だから」

1960年代をイメージしたオフィスから衣装まで、『セヴェランス』の独特の舞台作りは、アークエットがコベルの役柄に「深くのめり込む」のに役立っているという。スタッフの細部へのこだわりが、彼女の演技や理解、メンタリティーに影響しているというのだ。

葛藤と自己欺瞞と渇望と

物語は毎週1話ずつ公開されるから、今シーズンのコベルの行く末はまだ分からない。ただ、このドラマ全体と同じように、コベルのキャラクターも現実世界を思わせるものになりそうだ。

コベルの日常は大きく揺さぶられ、自分という人間を見つめ直すようになると、アークエットは分析する。さらに、そうしたことは現実の世界でも起こり得ると語る。「誰もが人生のどこかでこういう経験をすると思う。自己欺瞞や他人の欺瞞に加担してきたことに気付く時が来る」

「この種の葛藤と自己欺瞞の根底には、愛され、評価されたいという渇望があると思う」と、アークエットは語る。

『セヴェランス』は一見したところSFドラマのようだが、「犯罪サスペンスのように感じられる」ことも「ばかげていて危険」に感じられることもある。ただ、これは根本的にはヒューマンドラマだと、アークエットは言う。

「仕事の自分とプライベートの自分が同じでないのは、このドラマやSFの世界だけの話ではない。現実の世界でも誰もがそうだと思う」と、彼女は言う。「しかもテクノロジーによって、そうした状態がますます悪化し、ますますゆがめられているのかもしれない」

『セヴェランス』シーズン2予告編

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