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新生シリアはどんな道をたどるのか?中東専門の政治学者が語る「アラブの春」の5つの教訓

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 18時30分

シリアではHTSが前政権の高官を追放する一方で、下位の公務員を残す形で既に改革に着手している。だが官僚に説明責任を果たすよう指示できるのは、選挙で選ばれた指導者だけだ。

民主的な国々が実務的な支援を提供すれば、シリアの新政権は迅速に組織改革を行える。こうした支援はシリアの民主化移行を成功させる大きな力になるだろう。

5. 文民統治の確立

過去の経験から、シリアの新政権が倒れるとすれば、軍部の動きがその引き金となるとみていい。エジプトでは軍部がひそかに非イスラムの野党を支援し、クーデターを決行してムスリム同胞団系の政権を倒した。

近年の研究によれば、兵士の給与や装備の拡充に必要な資金を十分に提供すれば軍部の不満や不穏な動きを抑えられるという。

だが文民統制の確立も同様に重要だ。軍隊は文民である政治家の統制下に置かれる──この原則は厳格に守られなければならない。

◇ ◇ ◇

政権移行は非常に複雑なプロセスであり、安易な予測を許さない。それでも「アラブの春」の希望と挫折、その後の「冬」を経験した国々の教訓に学べば、シリアの新政権は手痛い代償を伴う政治的な失敗を避けられるだろう。

とはいえ究極的にはシリアの運命を決めるのはシリアの人々だ。アサドの独裁体制を生き延びた人たちが、この国の進むべき道を決める。

Robert Kubinec, Assistant Professor of Political Science, University of South Carolina

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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