トランプ=マスクの連邦職員200万人解雇の脅しに、DEIの「equality」さえ危ないと書き込みから削除するリベラルエリートの悲哀
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 20時17分
「取れるものなら取ってみろ」は、19世紀半ばにアメリカとメキシコがテキサスを奪い合ったとき、アメリカ軍がメキシコ軍に対して「この大砲を奪えるものなら奪ってみろ」と言ったことに由来するという。ただし大砲ではなく日常的な事務用具ホッチキスを使ったところが今回の抵抗の特質を表している。
トランプと彼の支持者に言わせると、ディープステートを構成するのは、進歩主義に傾いた連邦政府職員。彼らは、誰がホワイトハウスと議会を支配しようとも、官僚機構を操って実質的な権力を行使し続けている。歳出が高すぎると批判し、連邦政府機関は政府への信頼を回復するために、国民のニーズにもっと応える必要があると主張する。
共和党のジム・バンクス上院議員(インディアナ州選出)も、ディープステートを批判するトランプ支持者のひとりだ。
「アメリカ国民が圧倒的にトランプに投票したのは、政府の無駄を根絶し、ホワイトハウスに常識を取り戻すという彼の公約のためでもある」と、バンクスはNBCニュースに語った。「36兆ドルの国家債務を抱えるトランプ政権が、税金が無駄なく使われるよう、約束通り責任をもって努力することを歓迎する」
一期目のトランプ政権では、一部の連邦職員がホワイトハウスの指示に逆らってわざと対応を遅らせたり、完全に無視したりすることで、トランプの政策遂行を台無しにしようとしている、と広く報道された。
1月に発表された保守系シンクタンク、アメリカ第一政策研究所の報告書は、この間、連邦職員の「少数派」が積極的にトランプの政策を妨害するために、重要な進捗についてトランプ政権の閣僚に知らせないとか、「法的に使えない」政策草案を作成するといった戦術を用いた、と結論づけた。
1月20日のトランプ大統領就任後、ホワイトハウスは政府機関にリモートワークを禁じ、多くの連邦政府職員に、2月6日までに辞意を示せば、8カ月分の給与を支払うと「破格の」提案をした。トランプはまた、バイデン政権が任命した職員1000人以上を「アメリカを再び偉大にするというわれわれのビジョンに沿わない」存在とみなし、解雇すると述べた。
マスクは、連邦政府支出を「少なくとも2兆ドル」削減すると示唆してきた。
内務省およびその支局に30年近く勤めてきたベテラン職員によれば、こうした発言のせいで連邦政府内の士気は「今まで見てきたなかで最悪」だという。「連邦職員の98%は勤勉で、国民への奉仕を自分の使命と心得ている。『怠け者』の政府職員はほとんどいない」からだ。
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