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デジタル空間で拡大する「反フェミニズム運動」は何が問題なのか?...「弱者男性」の掃き溜めになり果てた「男性空間」

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月6日 13時30分

Yamu_Jay-pixabay

アンジェラ・ネイグル(作家・社会評論家)
<「デジタル革命」とはなりえなかった、「マノスフィア(manosphere)」について>

オルタナ右翼の専門家・アンジェラ・ネイグルによる話題書『普通の奴らは皆殺し インターネット文化戦争 オルタナ右翼、トランプ主義者、リベラル思想の研究』(Type Slowly)より第6章「マノスフィア(男性空間)に入会すること」を一部抜粋。

人類にとってひとつの「黒歴史」になるであろう歴史の軌跡を「サブカルチャー」という視点から丁寧に叙述した話題書より。

 

◇ ◇ ◇

近年、フェミニズムが拡張しウェブ上で繁栄を見せている。

だが、永遠に続くかのような過激なジェンダー・ポリティクスが、男性的なものを否定する言説をフェミニストのダークウェブ空間からメインストリームへと移行させて一般的なものにしていく状況のなか、男性中心主義者による反フェミニズムのポリティクスもふたたび発展を見せている。

オルタナ右翼のレトリックのなかで中心的なものだった「レッド・ピル(赤い薬)を飲む」という比喩は、インターネット上の右翼の異なる層と絶え間なく影響し合う男性中心主義で反フェミニズム的なポリティクスのサブカルチャーにとっても中心的なものだった。

こうしたウェブ上の反フェミニズム的運動と結びついた多くのサイトやサブカルチャーや自己認識が増大し、それが別の文化政治を進めていたならば、「デジタル革命」として記録されていたであろうことは疑いない。

これらのサブカルチャーは、しばしばお互いに敵意を抱いていたり、政治的哲学的に重要な違いがいくつかあったりしたが、見ていた者たちはそれらをひとまとまりで「マノスフィア(manosphere)」と表現した。

この単語は、男性の健康の軽視や自殺、あるいは社会的サービスの不公平といった進歩的な男性問題を扱うアクティビストたちに始まり、独身性への望まざる強迫やヘイトに満たされ、ルサンチマンをたっぷり含む、きわめて恐ろしいレベルのミソジニー文化に占拠されたインターネットの不快な一角にまでいたる、あらゆるものを説明するために用いられてきた。

炎上ばかりで光がささないような典型的な文化戦争の側面を探究する前に言っておくが、男性の権利運動のなかにもみられる、公正さを求める純粋に平等主義的な目的に対して、わたしはいっさい共感を示していないわけではない。

法廷における公正で平等な扱いはあらゆる人がもつ権利であり、男子のほうが学校の成績が悪い状態がずっと続いていることや、高い自殺率、男性ならば悪く言ってもいいという一般的な文化は、すべて批判を受け改善されねばならない。

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