世界のパートナーはアメリカから中国に?...USAID凍結直後のカンボジアで何が起きたのか
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月10日 16時31分
マシュー・トステビン
<トランプの対外支援凍結は「中国が世界中で選ばれるパートナーになる道を開いた」──支援停止の数日後にすぐさまカンボジアに働きかけた中国の作戦>
米国際開発庁(USAID)による支援先への支払い凍結で、カンボジアの地雷・不発弾除去プロジェクトが作業の中断を余儀なくされたことを発表した。だが、その数日後に中国が資金を提供したことを同プロジェクトの代表が明らかにしている。
米国務省も在カンボジア中国大使館もコメントの要請には応じていない。
ドナルド・トランプ大統領は、USAIDを通じた対外援助を90日間停止するという決定を下したが、これに対しては、中国が世界中に影響力を拡大する道を開くことになると批判の声があがっていた。
東南アジアに位置するカンボジアは、すでに中国の最も親密な同盟国のひとつであり、近年は人権侵害や民主主義の欠如を批判するアメリカとぎくしゃくした関係にあった。
USAIDが支援先への支払いを凍結したため、カンボジア地雷対策センター(CMAC)の運営が一時的に停止されたことが発表された数日後の2月5日、ヘン・ラタナ(Heng Ratana)事務局長はフェイスブックで、2025年3月1日から1年間、中国からカンボジア地雷廃絶プロジェクトに440万ドルの助成金が提供されることを明かした。
中国からカンボジア地雷廃絶プロジェクトに助成金が提供されることを発表したヘン・ラタナ事務局長のフェイスブック投稿
「12カ月にわたるこのプロジェクトは、400人以上のCMACの技術専門家をサポートすることになる」とラタナはいう。作業はカンボジア(人口1700万人)の7つの州で実施されるという。
カンボジアは1970年代の戦争で壊滅的な被害を受けた。ベトナム戦争から波及したアメリカの空爆と、中国の後ろ盾で権力を掌握し、大量虐殺を行ったポル・ポト派(クメール・ルージュ)の支配によるものだ。
現在も数百万個の地雷が国中の地中に残っている。
地雷反対キャンペーンを展開し、地雷除去に取り組むイギリスのNGOヘーロー・トラストによれば、1979年のポル・ポト政権崩壊以来、1万8800人以上が地雷によって死亡し、さらに4万5000人が負傷したという。
在カンボジア米大使館は昨年、2025年にカンボジアで地雷除去やその他の不発弾除去に1200万ドルを費やす見込みだと述べていた。
USAIDに何が起きたのか
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