動画作りは歯磨きと同じ? 日本一TRPG動画を投稿している“日本語読めない卓”の中の人に“爆速投稿”の理由を聞いてみた
ニコニコニュース / 2021年8月19日 11時0分
「ニコニコ動画においてもっともTRPG動画を投稿しているのは誰か?」
普段からTRPG動画を見ている方やTRPG動画投稿者であれば、恐らくあるひとり投稿者の名前が自然と頭に思い浮かぶだろう。
※「TRPG」「TRPG」「trpg」タグのついた動画を対象にデータを抽出。8月4日時点のもの。
日本語読めない卓のニコライ・ボルコフ(@nikoraiTRPG)──2015年11月より約5年半に渡り、ほぼ週5ペースでTRPG動画を作り続けている“爆速系”動画投稿者である。
上記の表を見ればひと目でわかるように、ニコライ氏の投稿ペースはTRPG動画というジャンルにおいて群を抜いている。そして、そのペースを5年半以上継続。TRPG以外の動画を含めると、氏がこの5年半で投稿した動画は1700に及ぶ。
TRPGを遊び、その模様を文字に起こし、キャラクターや背景を設定しつつ編集していく。動画の時間や演出しだいだが、動画を作るうえでの労力は決して少なくないTRPG動画。全体で見ても、週に1本のペースで投稿されれば早い部類に入る。
しかし、ニコライ氏はその何倍ものペースで動画を作り出す。そして、そのペースを5年半以上に渡って継続している。
いったい何者でどんな生活をしているんだ???
この疑問に迫るべく、ニコニコニュースオリジナル編集部では、ニコライ氏にインタビューを実施。
「なぜここまで早いペースで投稿し続けられているのか」。ニコライ氏の“爆速投稿”生活についてお聞きした。
また、筆者自身、ニコライ氏の動画を何周もするくらい日本語読めない卓のファンであるため、取材が進むにつれ、TRPGや動画作りを始めたきっかけ、近年のTRPG動画投稿者同士の交流などマニアックな話題にも話が進んでいった。日本語読めない卓のファンは後半パートも楽しみにしてほしい。
取材・文/竹中プレジデント
動画作りは歯磨きと同じ
──TRPG動画を中心に動画投稿されているニコライさんですが、なぜこんなハイペースで投稿し続けられているのでしょうか?
週に1本投稿でも早い部類に入るのに単純計算で週5投稿ペース、しかも普通に仕事をしながら。同じTRPG動画投稿者の方々もニコライさんの投稿ペースはヤバいとよく口にしています。
ニコライ:
もともと家にひとりでいるときは、テレビをずーっと眺めているくらいで何もやることがなかった人間なんです。
それが動画投稿をするようになって、ぼーっとしていた時間に動画を作るようになった。家にいる暇なときにとりあえず動画を作っている感じです。
──家にいるときはとりあえず動画を作る、ですか。
ニコライ:
はい。動画を作らないのは、誰かと夜遅くまで遊んでいたり飲み会があったり、もしくは体調を崩しているときくらいです。
なので、投稿動画の日付を見ていくと、当時のスケジュールがなんとなくわかるんです。この日は飲み会だったなあとかこの日はだれだれと遊んだなとか。場合によっては、飲み会が終わってからでも、体調を崩しているときでも、動画を作るときは作るので一概には言えないところがあるのですが。
──おお……動画を作るってけっこうエネルギーの必要な作業だと思うんです。そこまで投稿し続けられる原動力とは?
ニコライ:
とくに理由はなくて、純粋に習慣化してしまっているのが大きいです。歯を磨く、日記を書くことと同じ感覚なんですよね。動画を作ることが。
──習慣ですか。とはいえ、何年も続けているということは、何かしら楽しかったりおもしろかったりする部分があったり?
ニコライ:
動画を作っているときは“無”ですね。もちろん多くの方にご覧いただけること、コメントをいただけることはうれしいのですが、それと動画作りの原動力は繋がっていない感じはあります。毎日歯を磨くときに、楽しいや辛いと思いながらは磨かないじゃないですか。
──たしかに……。ちなみに1本の動画を作るのにどのくらいの時間がかかっているんでしょう。
ニコライ:
動画を投稿し始めたころは、ひとつの動画を作るのに5、6時間かかっていましたが、作り続けるうちに慣れてきたのもあって、今では1時間半から2時間くらいです。動画の長さにもよるのですが。
──不思議に思っていたんですが、そんなに短時間でTRPG動画って作れるものなんですか?
ニコライ:
僕の場合、演出や編集を入れずに、セッション中の会話をほぼそのまま動画にしているんです。
ですから、作業としてはTRPGを遊んだ時の録音データの文字を書き起こすくらいで済みます。この作業量でしたら、ほぼ毎日投稿できる方も多いんじゃないかなって思います。
日記帳をつける感覚で動画を作ろうと思った
──ひとつの動画を1時間半から2時間で作れるといってもニコライさんって1日に何本も動画を投稿することがあるじゃないですか。1日の最大投稿本数って何本なんですか?
ニコライ:
7本だったかなと。
──1日で7本!? どんな1日を過ごせば動画を7本作れるのか気になります。
ニコライ:
2018年の8月11日なんですが、その日は早起きして体調もよかくて、1日なんの予定もなかった日でした。それに加えて、動画1本ごとの時間も短いシリーズだった要素が重なった結果だと思います。
──なるほど。2015年に投稿スタートしたときから動画投稿ペースじたい早かったですが、なにか狙いや意図はあったんですか? 「たくさん投稿してやるぜー」みたいな。
ニコライ:
なかったですね。動画投稿じたい「セッションの記録をかたちに残したい」と思って始めたんです。TRPGを遊んで、動画にして。それをくり返していただけです。
──「セッションの記録をかたちに残そう」というのは?
ニコライ:
もともと友人グループで遊ぶネタのひとつとしてTRPGがあったんです。最初のうちは遊ぶメンバーが4、5人だったので、遊んだ内容は全員が知っている状態でした。
でもそこから友人グループの中でTRPGに興味を持ってくれる人が増えていって。そうなると、遊ぶメンツも日によって変わる。おもしろいセッションがあったとしても口頭で伝えるしかない。
伝えようとしても時間が経つと自然に記憶は薄れてしまう。なので、記録に残そうと。日記帳をつける感覚に近い感じで動画を作ろうと思ったんです。
ニコライさん(日本語読めない卓)の投稿動画一覧はこちら
──なるほど。動画にすることで、参加していないメンバーもそのセッションの内容を知ることができますもんね。
ニコライ:
それもありますね。 動画を作る前は、TRPGを初めて遊ぶメンバーにはおすすめのTRPG動画のURLを送っていたんですが、自分の作った動画なら友人たちが遊んでいる内容がわかるので、参考になりやすいかなとも。
日記や身内への共有として。そういう意味での動画投稿だったので、どんどん投稿していかないと動画化したいセッションのストックが溜まってしまうんですよね。
──ニコライさんってどのくらいのペースでTRPGを遊んでいるんですか?
ニコライ:
いまはオンラインで遊ぶので実際に集まるわけではないのですが、だいたい週に1、2回集まって遊ぶペースです。1回集まると2、3セッションくらい遊ぶことが多いですね。
遊びだしたころは、それに加えて、誰からの家に泊まったときに「やることないしTRPGでもする?」みたいな感じで突発的に遊ぶことも多かったです。
──毎週それだけ遊んでいると、すべてのセッションを動画化するのは恐らく物理的に不可能じゃないですか。動画にするうえでの条件みたいなものってあるんでしょうか。
ニコライ:
録音データが必要なので、僕が参加しているセッションが大前提で、純粋にやっていて楽しかったものを動画にしている感じはあります。
現在、動画にしているシリーズが241(取材時点で)で、ざっくりとした体感で動画化率は50%くらいなんですよ。ですから録音をはじめてから500セッションくらいはしてはしている計算になります。
──実際に数値で表すと、めちゃくちゃ遊んでますね……。
ニコライ:
遊ぶペースじたいは高くないと思うんですが、何年も遊んでいるので数もそれなり積み重なってきてはいます。
ただ、ずっと遊んでいると、セッションをするためのシナリオがなくなってしまうこともあって。
──と言いますと?
ニコライ:
公式シナリオやネットで入手できるシナリオの数には限りがあるので、毎週遊んでいると尽きてしまう。そうなると、TRPGを遊ぶために自分たちでシナリオを作らざるを得なくなったり。
──自給自足しないと遊べない。
ニコライ:
そうなります。シナリオがないとTRPGが遊べない。じゃあ自分たちでシナリオを書こうと。
(画像は「誤読忍道帖」より)
──それだけ数多くのセッションを遊んで、たくさんの動画を作ってきたわけですが、動画投稿をするうえで「ここだけは大事にしている」ポイントがあったら教えてください。
ニコライ:
ありがたいことに多くの方に見ていただけているんですが、動画のためにセッションはしたくなくて。あくまで友人同士のセッションで楽しかったものを記録として動画を残すスタンスは変えたくないと思っています。
ですから、身内じゃないと伝わらないような会話やネタもそのまま残して動画にしています。視聴者に伝わらないからという理由でカットはしない。そこは意識している部分ではありますね。
知識ゼロで始めたTRPGはボードゲームのように遊んでいた
──2015年からTRPG動画の投稿を始めたニコライさんですが、TRPGじたいはいつころから遊ぶようになったのか、TRPGの世界に足を踏み入れたきっかけについて教えてください。
ニコライ:
実際にTRPGを初めてプレイしたのは2012年くらいです。
その数年前に、友人から「TRPGを遊んでみない?」と誘われたことがあって。そのときは結局流れてしまったんですが、数年後、別の友人とクトゥルフ神話のことを話しているときに「そういえばTRPGにクトゥルフというジャンルがあったなあ」と、誘われたときのことを思い出したんです。
僕自身、クトゥルフ神話が好きだったこともあり、ルルブ(ルールブック)を買って、友人を誘って遊んでみたのが初めてのTRPGでした。その誘ったメンバーがいまもいっしょに遊んでいる日本語読めない卓のメンバーでもあります。
──もともとクトゥルフ神話を知っていて、そこからのTRPGだったんですね。クトゥルフ神話じたいはいつころ知ったんですか?
ニコライ:
『デジモン』や『ウルトラマンティガ』など、クトゥルフがモチーフになっているものが登場する作品を見て、存在じたいは小さいころからなんとなく知っていました。
それらが気になって、高校くらいのときに「ラヴクラフト全集」を買ったのが、クトゥルフ神話への入り口だったと思います。
──読んでみた感想ってどうでした?
ニコライ:
おもしろかったです。ただ、読んだことがある人ならわかると思うんですが、和訳に癖があって、読み進めるのに苦労した記憶があります。
──ふむふむ。そんな好きだったクトゥルフ神話のTRPGで、最初に遊んだときのことって覚えてらっしゃいますか?
ニコライ:
初めて遊んだのは、買ったルルブに載っていた「ストラフトン山の火」というシナリオでした。
当時、僕含めて全員がTRPGの知識ゼロで始めたこともあって、ボードゲームと同じような感覚で遊んでいましたね。ロールプレイの概念も知らず、淡々と「つぎ、こういう行動をします」と宣言して進行していく感じの。
戦闘の難易度が高くて、途中でたくさんの敵との戦闘がある場面では、全滅しては少し前に戻って死と再生をくり返していました。ゲームだからセーブ&ロードはいけるだろうと。
──いわゆる一般的なTRPGの遊びかたとは異なるスタイルですね。
ニコライ:
TRPGというものがなんなのかわからないまま、手元にあるルルブだけでとりあえずやってみる。そんな状態でした。
僕がGM(ゲームキーパー)をやったんですが、分厚いルルブの情報を全部頭に入れるのは難しくて、セッションしながら都度都度ルルブを見て進めていく感じでした。
──何がきっかけで、TRPGの遊びかたを知ったんでしょう。
ニコライ:
その後もクトゥルフ神話のシナリオを何回か遊んでいったんですが、いまいちピンときてなかったんですよね。そんなとき、ニコニコ動画で検索してみたらTRPG動画が出てきて。
──おっ、そこで動画が出てくるんですね。どの動画をご覧になったんです?
ニコライ:
BGBさんの「本当にあったSAN値が下がるクトゥルフTRPG」やファミキチさんの「慧音「フリーダムってレベルじゃねぇぞ!」」あたりを見ました。それらの動画を見て「なるほど。TRPGはこう遊ぶのか」と気づいた感じです。
コロナ影響でオンセ環境に。最近のTRPG動画界隈の動き
──TRPGの遊びかたを動画で知ったとのことですが、ご自身がTRPG動画を作るときに参考にしたり、影響を受けたしたり方っていらっしゃるんですか?
ニコライ:
動画を作ろうとしたときに一番参考にしたのは酔っぱらい卓の妙楽さんです。
TRPG動画を見つけてから、けっこうTRPG動画を見ていて、酔っぱらい卓は自分たちと遊んでいる環境が近いなと思っていて。
──近いというのはどのあたりが?
ニコライ:
リアル友人同士でのオフラインセッションで、セッションに直接関係ない雑談も動画にしてみんなでわちゃわちゃしている。そういう雰囲気が似ていたので、自分が動画を作る際に参考にさせていただきました。
──そんな妙楽さんとまさか後々いっしょにコラボ動画を作ることになるなんて。
ニコライ:
思っていなかったですよね。
──コラボ動画と言えば、いち視聴者の目線から見ていると、ここ最近、TRPG動画投稿者同士のコラボ動画や配信、交流が盛んになっている印象があります。
ニコライ:
個人的にはコロナの影響があるのかなとは思っています。もともと僕たちは友人グループで直接会ってTRPGを遊んでいたんですが、このご時世になって集まるのが難しくなってしまいました。結果、オンライン上で遊ぶようになった。その影響があるんじゃないかあと。
御村りょうさん(猫首卓、野良猫卓)の投稿動画一覧
──なるほど。2019年にまにむさんやダニエルさんに取材をさせていただいた際にも、投稿者同士の交流関係についてお聞きしたのですが、おふたりとも投稿者同士の交流はほぼないとおっしゃっていました。
ニコライ:
それぞれ遊ぶメンバーは独立しているので、なかなか機会がないのはありますね。
2018年に酔っぱらい卓、シリゴミ卓の方々とはコラボさせていただきましたが、それ以外は基本的にありませんでしたから。
──当時としては珍しいコラボ動画(詳しくは「【クトゥルフ神話TRPG】あくりょうのいえーい」をチェックだ)が作られたのってどういうきっかけがあったんですか?
ニコライ:
もともと、妙楽さんとは、『Grass Simulator』(通称「草」)というゲームのコラボ動画の際にお声かけいただいたのをきっかけに軽くやりとりさせていただいていました。
そんな妙楽さんからTRPG動画コラボのお誘いを受けて、甘党ふうせんとごいっしょにセッションをさせていただいたのが流れです。その後も年に1回コラボをさせていただいていて。
ネット上でリアル友人以外と遊んだのも妙楽さんとのコラボが初めてでした。僕のネット上での交流が広がったのは、妙楽さんにお誘いいただいたことがきっかけになっていると思います。
──TRPG動画でのコラボに限らず、配信交流も盛んになっているのにはなにか理由が?
ニコライ:
TRPG動画投稿者が集まってセッションをすると「じゃあ(誰が)動画化する……?」という話になりがちなんですが、動画を作るって時間と労力がどうしてもかかってしまうんですよ。
でも配信ならコラボしつつ動画を作る労力なくかたちに残る。今後も増えていくのかなと思ってはいます。
──オンラインで遊ぶ環境が広まったことでいろいろな変化が起きてるんですね。
ニコライ:
それで言うと、オンセ環境になってから、クトゥルフ熱が再熱した……というかよく遊ぶようになりました。
──ほうほう。それにはどのような理由があるのでしょう。
ニコライ:
クトゥルフは会話とダイスロールで進んでいくので、オンセで遊んだときにオフセのときとのギャップが少なかったんです。
システムによっては、コマを動かしたり、マップ上での操作があったりと、オフセのときと比べてワンテンポ遅れてしまうことがあるんですが、クトゥルフはそこをあまり感じない。
──オンセとオフセだと、どうしても環境が違いますもんね。
ニコライ:
そうですね。オフセだったら机の上にバッと並べられるんですが、オンセですとひとつひとつの処理に時間がかかってしまうことがけっこうあって。そのズレがクトゥルフは少ないんです。
──ふむふむ。
ニコライ:
逆にウタカゼは、オンセになってテンポがよくなりました。オフセだと、ダイスを振って、確認して、メモして、拾ってと、1回のダイスロールでもけっこう手間がかかっていたんですが、オンセだと、ワンクリックでほぼ済む。
ウタカゼは、“希望”(HPに該当するステータス)を消費することでダイスの振り直しができるので、ダイスロールがしやすくなった結果、ものすごい勢いで希望が削れていってビックリしました(笑)。
──(笑)。
日本語読めない卓とシノビガミ
──ニコライさん(日本語読めない卓)といえば、シノビガミのイメージが強いんですが、シノビガミを遊ぶようになったきっかけって何かあったんですか?
ニコライ:
じつはそれも酔っぱらい卓の妙楽さんのシノビガミ動画を見たのがきっかけなんです。
──え、そうなんですか?
ニコライ:
シノビガミの動画を見ていておもしろそうだと思って、シノビガミのルルブを買いました。
ルルブを買って、初めてセッションしたのが動画化した「妖刀歓喜」になります。遊んでみたらハマってしまって。当時はシノビガミばかり遊んでいました。
ですから動画もシノビガミばかりだったんです。動画の内容を追っていくと、そのまんま当時遊んだセッションの歴史になっています。
──まさしく「セッションを記録として残す」目的が果たされていると。いやあ、懐かしいですね……。当時からずっと動画を追わせていただいて。全部の動画を数周はしているくらい完全にファンなのを今日ここまで我慢していて(笑)。
ニコライ:
ありがとうございます(笑)。
──途中から登場するメンバーも増えていきましたもんね! ホープさんとか。
ニコライ:
ずっと前から友人だったんですが、僕が誘ってたとき最初は「TRPGはいいです」って感じだったんです。その結果、動画への登場はちょっと遅れているんですよね。ホープの人、じつはシャイなところがあるので。
──えっ、そうなんですか。セッションの中では女の子を毎回お持ち帰りしているのに。意外です。そこからどういう経緯でTRPGを遊ぶようになったんです?
ニコライ:
僕がTRPG動画を作っているのを知って、「動画だけでも見ます」と実際に見たら興味を持ってくれたんです。
──おおっ。動画の力ってすごい!
ニコライ:
そこからお試しで「30分勇者」というTRPGを遊んで、その翌日には友人メンバー6人集まってシノビガミのセッションに参加していました。それが「プレイヤー6人でやるシノビガミ」でした。
──その時期の日本語読めない卓のシノビガミ動画といえば、紅蓮というNPCを中心とした「紅蓮シナリオ」。
ニコライ:
「紅蓮シナリオ」ありましたね。もともと公式シナリオ「追憶」に登場するモブキャラだったんですが、ロールプレイをしていたら変にキャラがたっちゃったんですよね。愛着も湧いて、その紅蓮を主役に据えてシナリオを作ってみたのが発端でした。
そのキャンペーンシナリオの最後が2017年で4年前かぁ……懐かしいです。当時、せっかくだからとそれまで投稿していた動画の要素を組み込んでいったら引退説が出てしまって。
──ありました、ありました! リアルタイムで見ていた視聴者としては、完全にアニメ最終回後の劇場版だったので、引退しそうって思っていました。
ニコライ:
まったく引退するつもりはなかったのでびっくりしちゃいました(笑)。そこから4年続いていると思うと、感慨深いものがあります。
日本語読めない卓、中の人の話
──動画投稿開始から5年半、初めてのセッションから9年くらいTRPGを遊び続けているわけですが、TRPGのどこに惹かれたんでしょうか。
ニコライ:
大人数でいっしょに遊べるというのが大きかったですね。
いまいっしょにTRPGを遊んでいる人たちは、もともと学生時代の友人グループのメンバーなんですが、その友人グループは30人くらいの大所帯で。
だから、友人グループで遊ぶ際に集まったとしても、アニメを見る人、ゲームをする人、漫画を読む人、カードゲームを遊ぶ人と、同じ空間にいながら別々のことをして過ごすことが多くて。でもTRPGなら大人数でも遊べる。それも会話をしながら。
──友人グループで遊ぶときのネタのひとつとおっしゃっていましたもんね。
ニコライ:
はい。TRPGを遊ぶメンバーは増えましたが、TRPGを遊ばないメンバーもいますし、そのメンバーと遊ぶときはもちろんTRPG以外のことで遊んでいます。
──最初にTRPGを遊ぶようになったメンバーって、最初の動画に登場している方々なんです?
ニコライ:
そうですね。けぇちゃん(藤堂の人)、モヒカンさん(ドムの人)、ぎつねさん(ライトの人)の3人が、最初にTRPGを遊んだ初期メンバーです。
けぇちゃんとモヒカンさんは僕と同じで、TRPGは遊んだことないけどクトゥルフを好きだった。ぎつねさんは誘ったらなんでもチャレンジしてくれる方だったので声をかけて。
──ぎつねさんは動画を見ていて感じるいい人なイメージその通りな感じですね。ぎつねさん……最初のころはダイス運よかったのに、いまや他の投稿者のTRPG動画で登場するくらい1ゾロの代名詞みたいになってしまって……。
ニコライ:
本当に悪くなかったんですよね。むしろ動画を作る前はダイス目がいい人の扱いだったと思います。
──いやあ、信じられない……。そうだ、動画投稿を始めたとき、メンバーの反応ってどうだったんですか?
ニコライ:
当時どうだったかな……。けぇちゃんは自分のプレイに対するコメントを見て笑っていましたが、そこまでリアクションはなかったと記憶しています。
もともとリプレイ動画の存在も知らなかったので、いまいちピンときてなかったかもしれません。
──動画になる=誰かにロールプレイを見られることになるわけで、そのあたりTRPGを遊ぶなかで意識って変わるものなんでしょうか。
ニコライ:
僕自身は、もともと日記帳をつける感覚で動画を始めているので、意識はしていません。でもそれを意識している人はいるかもしれません。Tさんはもろに意識していますし。
──Tさんは、日本語読めない卓のTRPG動画がすごく好きな感じが伝わってきます。よくセッション内でも「詳しくは〇〇をチェックだ」と姑息な宣伝をされていますもんね。
ニコライ:
少し前はけっこう見ていたっぽいですね。誰がどれくらい動画を見ているか、とくに話す機会があるわけではないので、いまはどうなのか把握しているあけではないですが。
──ふむふむ。動画を見ていると、中の人に対するコメントがけっこう多い印象があるんですが、中の人側から見るとどうでしょう?
ニコライ:
それに関しては、純粋に投稿している動画の数が多いので、興味を持っていただけたというのもあるのかもしれません。
加えて、友人同士かつオフラインセッションでTRPGをしているのが、中の人の要素が強く出ているのが要因なのかなあとは思っています。
──友人同士かつオフラインセッションだから?
ニコライ:
はい。顔と顔を合わせた状態で会話をしながらのセッションなので、どのキャラを使っていても目の前には友人がいる。キャラというより友人と話している感覚が強いんですよね。
あと僕の動画では、セッションに直接関係ない雑談も残していて、セッションで起こるストーリーを見せるというより、大人数で遊んでいるところを見せるゲーム実況に近い空気感があるのかなと。
口調も基本そのままなので、ゆっくりボイスを使っているとはいえ、そういう意味で中の人の要素が見えやすいというはあると思います。
これからも今の卓の雰囲気、投稿頻度を変えないように
──約5年半に渡ってTRPG動画を投稿してきた活動をいま振り返ってみてどうですか?
ニコライ:
「たくさん動画を投稿してやるぜ!」っていう気持ちはなかったと言いましたけど、実際に動画の数が積みあがってくるのは思い出深くはあります。
とくに1000本目の動画を投稿したときは「超えたか」って感じはありました。
──いまではもう1600本超え(取材時)ていますもんね……。
ニコライ:
多分、TRPGを遊ばなくなるか、失明したり両手がなくなったり、あるいはPCが壊れてしまうか。それくらいの出来事がない限り、動画に関してはこれまで通り続けていくと思います。
──すごいです。今後の目標みたいなものってあるんですか?
ニコライ:
日記感覚で動画を投稿しているので、明確に考えたことはなかったですね。
うーん……(しばらく考える)、いま僕たちのことを知ってくれているのは、日本度読めない卓の動画を見ていただいている方だと思うので、その雰囲気は変えずにこのままやっていきたいと思っています。
──TRPG動画以外で、いわゆる卓以外での活動についてはどうでしょう?
ニコライ:
それに関しては逆にいろいろやっていきたいなとは考えています!
ステイホームで家にひとりでいる時間も増えたので、VTuberの活動もそうですし、卓メンたちのオリジナルアバターを作っていたり、おもしろいことにチャレンジしていきたいですね。
ただそれはそれとして、メインはTRPG動画というのを前提に。投稿頻度を落とさないようにしていこうと思っています。
──ニコライさんの投稿頻度ですと維持するだけでも大変なような……。とはいえ、TRPG動画に卓外での活動、どちらも楽しみです! 本日はありがとうございました!(了)
ニコライさんの投稿初期から動画を追っていたいち視聴者として、長年疑問に思っていた“爆速投稿”の理由。
動画を作ることが歯磨きや日記を書くことと同じ感覚で、家にひとりでいるときは動画を作ることが習慣になっているのが大きな要因のようだ。
また、ニコライさんによると「演出や編集を入れずに、セッション中の会話をほぼそのまま動画」にする形式なら同様の頻度で投稿できる方は珍しくないとのこと。
これに関しては、正直なところ信じきれない思いが多少なりともある。1~2時間程度とはいえ、ほぼ毎日同じことを継続するのは決して簡単なことではない気もする。他のTRPG動画投稿者の反応が気になるところだ。
ニコライさん(日本語読めない卓)の動画はこちら |
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