なぜいま消費税減税が必要なのか~前参議院議員・金子洋一が説く
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年7月10日 17時45分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月10日放送)に前参議院議員の金子洋一が出演。消費税を5%に戻すべきであるという持論で「消費税減税の必要性」について解説した。
消費税減税の必要性
新型コロナがもたらす不況から脱却するために、消費税を5%に戻すことを提案している前参議院議員の金子洋一。なぜ、いま消費税減税が必要なのか――詳しく訊く。
飯田)ツイッターなどでも積極的に発信していらっしゃいます。日銀の「さくらレポート」にも、日本経済が非常に冷え込んでいるということが出ています。消費減税がその処方箋になるということですか?
5%から10%に引き上げられた消費税の3分の1しか福祉には回っていない~残りは国債の返済に
金子)そもそも消費増税で5%から上げるとき、政府が何と言っていたか思い出して欲しいのですが、「福祉の充実強化のために、この増税は使われる」と言っていたのです。
飯田)三党合意のとき。
金子)ええ。では本当に増税分が福祉の充実強化に使われているかというと、そうではないのです。実際には、5%から8%に引き上げられた分の、わずか5分の1しか充実強化に回っていません。そして8%から10%にも引き上げられたのですが、5%から10%に引き上げられた分のうち、大体3分の1しか福祉、教育、子育てに回っていない。残りは何なのかというと、国債の返済に回っているのです。国の借金の返済。借金の返済ならいいと思われるかも知れませんけれど、現在の金利だと、10年ものの長期国債は1年間で0.02%です。つまり100万円を1年借りると、200円しか金利が付かないのです。
飯田)安いですね。
公共投資に使っていれば、九州豪雨の被害者も少なかったはず
金子)安いのです。例えば、我々が同じことをやったら、1度どこかに振り込みをすると手数料で200円、400円取られますから、それで消えてしまいます。そのくらいのものだから、いま国債を返済する必要はない。仮にあったとしても、もっとやらなくてはいけないことがたくさんあります。例えばいまならば、九州の豪雨災害の問題があります。これについて河川の整備、あるいはダムの建設という公共投資に使えばよかったのです。大体5%から10%に消費税が引き上がっていますが、借金の返済分に回ってしまっているのが、年間につき約9兆円あるのですね。9兆円あったら、河川の整備なんてすぐにできます。整備をしていれば、今回は数十人の方が亡くなっていますが、そういう被害が極小化できるわけです。しかも当然、堤防やダムは放って置いたら壊れてしまいますから、メンテナンスが必要です。そういう用途に使わないと、将来我々の子孫につけが回ってしまいます。
安倍政権が財政出動したのは2013年度のみ
飯田)そもそも1997年から、公共事業費はどんどん減って来ていて、安倍政権は財政出動をやるというイメージばかりが先行しているのですが、実際にやったのは最初の1年くらいですよね。
金子)その通りです。2012年12月に政権復帰なさって、2013年度は確かに財政を出しました。しかし、2014年度、4月1日にまず消費税の引き上げをやることになった。そのときから、実は財政出動よりも財政緊縮という、借金を返すことだけに専念する状態になってしまったのです。3本の矢、「金融緩和、財政出動、成長戦略」とあるうちの、金融緩和はやっています。しかし財政出動については、2014年度以降は基本的にはやらないということになってしまったわけです。残念です。
民主党政権時の消費増税の際、「名目経済成長率3%、実質2%を目処にする」という文言を景気条項に
飯田)消費税の話をされると、金子さんはもともと民主党にいらっしゃったから、「何を言っているのだ、民主党が上げたのだろう」と思われるかも知れませんが、金子さんはそもそも「デフレ脱却議連」の事務局長をやっていらっしゃって、むしろ消費増税には一貫して反対だった。
金子)そうなのです。確かに民主党政権のときに、消費税を引き上げる法案ができたのですけれども、そのとき私だけではなく同志と一緒にやったのですが、引き上げるなら条件をつけろと。つまり、経済がきちんと成長するようになってから、初めて消費税は引き上げられるという景気条項を入れるために、党内で議論をして、結局、「名目経済成長率3%、実質経済成長率2%を目処にする」という文言が入ったのです。これは官僚からするとものすごく嫌なことで、過去に「何%が目処になる」などという例はないのです。それを入れて、安倍政権でもその景気条項を使い、2014年に引き上げた後に、2回引き上げを延長したのですが、結局、法律を改悪されて景気条項が外されてしまったのです。
消費税の福祉予算の4.5兆分は国債を発行すればよい
飯田)いま消費税を減税しようとすると、先ほど指摘されていた社会福祉に使うとか、子育て支援に使うとか、すでに目的税化してがんじがらめになってしまっているから、下げるにも下げられない。他に財源を見つけないと下げられない、と指摘する人もいます。どうやれば下げられますか?
金子)財務省に近い方はそういう言い方をするのです。いま消費減税をしたら、子育ての予算が減るという言い方をされるのです。
飯田)ある意味で脅しというか、人質というか。
金子)脅しです。では年間でいくらそういうものがあるのかというと、消費増税の3分の1、年間4.5兆円です。これは国債を発行すれば造作もないことです。特にいま日本銀行は、年間80兆円の国債を買い増しすると約束しています。現実では、買い増しをしているのは30兆円ほどになってしまっているのですが、その30兆円の上に4.5兆円を乗せて、34.5兆円にすることは何の問題もありません。
飯田)そうですよね。毎年80兆円をめどにと言っているのに、最近は20兆、30兆で目標の2割5分しか達成していません。
金子)日銀が困っているのもわかるのですよ。国が新たに国債を発行しなくなってしまったから、買うに買えない。市中に国債がないのです。そうであれば4.5兆円なり、あるいはもっと国債を発行して、日銀が言っている「年間80兆円を買いますよ」という約束を守って貰えばいいということです。そこでできた4.5兆円のお金を、教育、子育て、あるいは公共事業に使って行けばいいのです。
ドイツのような期間限定で消費減税をする~日本に当てはまらない2つの理由
飯田)諸外国、ドイツやイギリスの例を見ると、コロナで傷んでいる経済があるから、期間限定で下げるという形でやっている国が多いのですが。
金子)2つ申し上げたいことがありまして、まず1つは期間限定だとあまり効かないという問題があります。1年後にまた上がるのであれば、その日に備えて貯金をしておこうと、経済学的に言えばそうなってしまう。もう1つは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)というものがありまして、ここが9日に「もっと各国の国債を買うようにしたい」と言い出したのです。「企業が環境対策で出しているような社債も買う」と言っています。シブチンで有名なECBでしたので、これまでは、まったくやっていなかったことです。ギリシャがそれでガリガリに締め上げられてしまいましたけれど。実質的にドイツが影響力を行使しているヨーロッパ中央銀行でも、そういうことを言い出したわけですから、日本の中央銀行である日本銀行がもっと国債を買うことに、何もハードルはないのです。
飯田)その上、余力もいっぱいあるだろうと。
金子)「80兆円を買う」と言って30兆円しか買えていないのですから、そこはもっと買って行けばいいのです。そうすることで、同時にデフレからの脱却もできるのです。
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