バリキャリ女性を拒食症から救いハワイ移住に導いたチワワ~人生の機転になった犬との出会い~
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月14日 21時50分
【ペットと一緒に vol.220】by 臼井京音
ハワイに暮らし、アニマルコミュニケーションを動物の保護活動にも活かしている、Shioriさん。かつて過労や頑張りすぎる性格が原因で心身の不調に苦しんでいたShioriさんを救ったのは、1頭のチワワでした。
今回は、Shioriさんに多くの気づきを与えてくれた愛犬とのエピソードを紹介します。
唯一信頼できる存在との出会い
ハワイ在住のアニマルコミュニケーターのShioriさんは、日本の大手企業に勤めていた2007年に運命の愛犬との出会いを果たしました。
「そのころ、いわゆる“バリキャリ”と呼ばれるような大手企業での働き方や生き方に疑問を持ち始めていました。身体もボロボロで、拒食症になり固形物はすべて吐き戻し、アルコールもかなり摂取していましたね。そんななか、ふと犬を家族に迎えようと思い立ち、か弱く小さくて真っ白なロングコートチワワの女の子を探し始めたんです」と、Shioriさんは当時を振り返ります。
ところがShioriさんが実際に迎えたのは、黒色の“デカチワワ”のくぅくんでした。「見事とも言えるほど、探していた犬と真逆」と、Shioriさんは笑います。
その出会いからハワイに移住するまでの6年間、くぅくんは心身ともに疲弊したShioriさんにいつも寄り添ってくれたと言います。
「晩酌に付き合い、思考を巡らせてひとりでブツブツつぶやく私の言葉に耳を傾け、朝は起きられない私を小さな体ぜんぶを使って起こし、泣いていると舐めて涙を拭ってくれて……。唯一信頼できる存在として、そして何よりありのままの私を受け入れてくれる存在として安心感を覚えました」
退職と結婚とハワイへの移住
Shioriさんはその後、心身の疲労でドクターストップがかかり仕事を休職しました。そして41歳で結婚と退職をしてハワイへ移住。もちろん、くぅくんもShioriさんとともに海を渡りました。
「ハワイに移り住んでちょうど1年が経ったころ、初めてSNSでアニマルコミュニケーションのことを知り、35年以上のキャリアを持つキャロル・ガーニー氏のワークショップに参加しました。きっかけは『何だかおもしろそうだな。動物と話せたら楽しいだろうなぁ』という程度の気持ちから。けれども、何かに突き動かされているような感覚で、その後、2015年に基礎編、応用編、プロ養成コースと受講を進めて行きました」
Shioriさんはアニマルコミュニケーションを学び始めてから、くぅくんが“無償の愛”と“慈悲の心”を、いかに行動とメッセージで伝え続けてくれていたかを思い知ったそうです。
「私は自己肯定感が低い人間でした。まわりからは、何でもうまくこなし、順風満帆に人生を送っているように見えたかも知れません。でも、自分が嫌いでした。自分を許すことも、ほめることもできませんでした。だから、何かをやり遂げても『まだダメ。もっとできるはず』と自分にムチを打ち続けていました。
そんな私を救ってくれたのが、くぅちゃんです。アニマルコミュニケーションでくぅちゃんにつながるたびに、私のことを私以上に理解してくれていること、全身全霊で愛を注ぎながら変わらず私のそばにいてくれることを感じました。それを繰り返すうちに、自分自身のなかが愛で満たされ、いつの間にか自分のことを認められるようになって来たのです」
愛犬の闘病生活での大きな気づき
Shioriさんはアニマルコミュニケーションの他にレイキ(手当療法。ヒーリングの一種)も学び、くぅくんとの生活に役立てました。
「くぅちゃんが闘病中、咳込んで苦しそうなので目を瞑ってレイキを送っていたときのこと。ふと、くぅちゃんから名前を呼ばれて目を開けると、『ボクを尊重して……』と訴えかけられました。その瞬間に気づいたのです。私は眉間にしわを寄せ肩に力を入れながら、必死でレイキを送っていたことに……。それはつまり、くぅちゃんの生きる力を信じていないということなんです。一生懸命に生きようとしているくぅちゃんに、なんて失礼なことをしていたのでしょう」
Shioriさんによると、レイキのヒーラーはただエネルギーを送り出すだけで、受け手がどこにどれだけのエネルギーをどのように使うかを決めるのだそうです。
「それなのに、私はくぅちゃんにエネルギーを押し付けていた。そのことを気づかせてくれたくぅちゃんは、自分が苦しいときですら、私に気づきを与えてくれる存在として、最後まで凛々しく生き抜いてくれました」
ひとりで旅立たせた後悔は……
くぅくんを動物病院でひとりで逝かせてしまったことに、Shioriさんは後悔の念が残ったと言います。呼吸が困難だったくぅくんは、酸素室に入るために救急病院に入院し、3時間後に息を引き取りました。
「翌日、私はアニマルコミュニケーションでくぅちゃんにつながって打ち明けました。『たった数時間で肉体を離れてしまうなら、あのまま自宅でそばにいてあげたほうがよかったかな?』と。すると『酸素室に入れてくれたおかげで、呼吸が楽になったからよかったよ』と、くぅちゃん。さらっと答えてくれた返答は、私に安堵感を与えてくれました」と、Shioriさんは語ります。
筆者自身もかつて愛犬をひとりで旅立たせてしまい、自責の念を抱いていました。
同様に、「もっとできたのではないか?」「手術で痛い思いをさせてしまってごめん。手術をしないほうがよかったかな」などと、後悔や迷いを抱えている飼い主さんは少なくないでしょう。
「アニマルコミュニケーションは、そんな後悔を残さないためにあります。そしてまた、残ってしまった後悔を解放することもできるのです」と、Shioriさんは言います。
最期に願いを叶えられた安心感
くぅくんの旅立つ前日のエピソードを、Shioriさんは笑顔で語ってくれました。
「1年半の闘病生活で初めて、食いしん坊のくぅちゃんが食べ物から顔を背けたんです。いよいよ旅立ちが近いと思い、アニマルコミュニケーションでつながって尋ねてみました。『最後に何が食べたい?』と。その瞬間に丸焼きチキンの映像が飛び込んで来たので、急いで買いに走ってくぅちゃんにあげました。とてもおいしそうに食べていた顔が忘れられません」
Shioriさんは、最期に大好きなものを食べさせてあげられたことが大きな安心感になったそうです。
多くの飼い主さんは、闘病中や理解不能な行動を起こすぺットが自分に何を求めているかわからずに、右往左往したり動揺したりすることでしょう。
「アニマルコミュニケーションができれば、愛犬や愛猫の希望を聞いて望みを叶えてあげる手助けになります。アニマルコミュニケーションは動物たちのためにあるのではなく、飼い主を幸せにするためにあるとも、くぅちゃんをとおして気づかされました」
このように語るShioriさんは、まるでくぅくんに導かれるかのように、ハワイ最大のアニマルシェルターで、アニマルコミュニケーターとしてのボランティア活動もスタートしました。
※次回は引き続き、『いぬと話す ねこと話す』(2019年/自由国民社)の著者でもあるShioriさんの保護活動のストーリーをお届けします。
連載情報
ペットと一緒に
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。
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