アラ還シンガー・坂本つとむ、自ら「鳴かず飛ばず」と言うのはなぜ?
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年5月11日 17時20分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
「苦節何十年」や「遅咲き」という言葉は、ヒット曲にやっと巡り合い、紅白初出場の切符をつかんだ歌手によく使われます。
今回ご紹介する坂本つとむさんは、メジャーデビューしてからもうすぐ30年。ずっと鳴かず飛ばずのまま、来年(2023年)60歳を迎える「アラ還シンガー」です。
名古屋出身の坂本さんは、小学5年生のときにロックバンド「キャロル」を聴いて、音楽に目覚めます。
「ソロになった矢沢永吉さんの『I LOVE YOU,OK』を聴いたとき、その衝撃にバーンと体に稲妻が走ったんです。僕が中学生のときでしたね」
中学生から、ヘアスタイルはリーゼントに。高校で本格的なバンド『坂本つとむとテディボーイズ』を結成。20歳で上京し、六本木や新宿、池袋など、都内を中心にライブ活動を続けてきました。
1994年、31歳でメジャーデビューを果たし、これまでに13枚のCDを発売しますが、ヒットは遠く……それでもロックンロール一筋で年間400本以上のライブをこなし、この30年ほど、そこそこの生活はできたそうです。
「映画『グリース』や『アメリカン・グラフィティ』に出てくるフィフティーズのファンは意外と多いんですよ。ある企業の社長さんがライブハウスに聴きに来られて、『今度、社内のイベントがあるから演奏して欲しい』と言われたり、忘年会にも呼ばれましたね。こういったイベントの仕事が結構あるんです」
プレスリーの『ハウンド・ドック』や、ポール・アンカの『ダイアナ』など、人気曲を歌い続けてきた坂本つとむさん。しかし4年前、55歳の節目の年に、リーゼントを下ろす決意をしたそうです。
坂本つとむさんは、2人のお子さんがいるシングルファザーです。
「昼と夜が逆転した生活に妻が耐えられなくなり、出て行ってしまって……」
以来、家事と育児をこなすロックシンガーとなった坂本さん。朝は子どもたちのお弁当をつくり、学校へ送り出して、夕方まで眠ります。そして夜のライブへ行き、帰宅は深夜。負けず嫌いな性格で、PTAも経験したそうです。
心残りは、両親に親孝行ができなかったこと。
「一人っ子の僕がロック歌手を目指して上京したとき、父は何も言わずに送り出してくれたんです。その父が7年前に亡くなって、遺品整理をしていたら、ビデオが出てきましてね。僕のライブがテレビで紹介されることを知った父が録画したビデオだったんです。でもテレビ局の都合で放送されなかったんですよ。父は『見逃してはいけない』とビデオに録って、心待ちにしていたんでしょうね。その姿が目に浮かんで、涙が止まりませんでした。まったく親不孝でした……」
いまから4年前、55歳の節目に、ふと自分の人生を振り返った坂本さん。
「このままでは終われない。自分の曲を世に出して、紅白に出たい!」
そんな熱い思いを、仲間が集まったライブハウスで打ち明けます。すると、冗談だと思った仲間に鼻で笑われたそうです。負けず嫌いの坂本さんはカチンときて、「何が何でも60歳までにヒットを飛ばし、紅白に出場する」と誓います。
トレードマークのリーゼントと、大好きなロックンロールを封印し、初めての歌謡曲に挑戦しました。その曲が『LOSTプロポーズ』です。音楽評論家の富澤一誠さんの耳に留まり、「大人のラブソングだ」と高い評価を得て、2021年5月に配信シングルをテイチクからリリース。すると、有線放送の「お問合せランキング」で1位を獲得します。
「ヒットチャート1位ならもっと嬉しかったんですが、それでも、いままで1位になったことがなかったので、お問合せランキングでも嬉しかったですね」
反響が多いことから、2021年11月にCDが発売されると、じわじわと売れ始め、今年(2022年)に入って「アラ還シンガー」として注目を集めます。自己紹介をするとき、坂本さんは「アラ還シンガー」の前に「鳴かず飛ばずのアラ還シンガー・坂本つとむです」と言っているそうです。
「鳴かず飛ばず」とは長年、何の活躍もしていないことですが、坂本さんは「飛ぶ機会を待っていた」とプラスにとらえています。ロックシンガー・坂本つとむさんの「大人の歌謡曲」で、新たな挑戦が始まります。
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