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「北朝鮮 核実験可能性」アメリカが先手を打って情報を公開する理由

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年5月19日 18時50分

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ホワイトハウスで記者会見するバイデン米大統領(アメリカ・ワシントン)

アジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員の相良祥之が5月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「バイデン大統領の日韓歴訪中に、北朝鮮が核実験やミサイル発射に踏み切る可能性がある」とする米サリバン大統領補佐官の発言について解説した。

ホワイトハウスで記者会見するバイデン米大統領(アメリカ・ワシントン)=2021年3月25日 AFP=時事 写真提供:時事通信

米バイデン大統領の日韓歴訪中に、北朝鮮が核実験の可能性

アメリカのサリバン大統領補佐官は5月18日の記者会見で、バイデン大統領の20日からの日韓歴訪中に、北朝鮮が核実験やミサイル発射に踏み切る可能性があると指摘した。その上で同盟国とも協議し、対応する体制を整えていると説明した。

飯田)バイデン氏のアジア歴訪に合わせる形で行う可能性があり、時間的にも48時間~96時間以内というような報道まで出てきています。どのようにご覧になりますか?

相良)北朝鮮が最近になって、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を続けています。挑発のレベルを上げてきているというところで、今回、アメリカ側から時間を指定し、「発射するかも知れない」と言っている。通常は発射後に対応することが多かったので、珍しいと思います。

飯田)そうですよね。

相良)北朝鮮としては、制裁を長く受けていて、経済状況も厳しい。コロナで国境も閉じていた。韓国でも新政権ができたところで、可能な限り高い球をカードとして、「ICBMを持っているのだぞ」と強い立場から交渉したい。そのための布石を打ってきているのだと思います。

「国家の最重大非常事件」として新型コロナ感染への危機感が強い北朝鮮

飯田)ちょうど切り替わりのタイミングで、まずはICBMを発射して大きく見せるというところですか?

相良)新政権が立ち上がる前に、いくつか発射していたという情報もあったのですが、報道に出てこなかったり、いままでと少し違う動きもありました。その様子を見ていたら、いきなりコロナ感染の話が出てきたのです。

飯田)メールもいただいています。川崎市中原区の“とおる”さんから。「北朝鮮は国内のコロナ感染の話題を人々の関心から逸らすために、ICBMの発射実験や核実験へ向けた準備をしているのでしょうか?」といただきました。国内では発射の話は報道されていないという情報もありますが、いかがでしょうか?

相良)そのようですね。ただ、コロナ感染に関しては、金委員長が「国家の最重大非常事件」という形で国内向けにも発表していて、かなり危機感が強いという様子ですね。

飯田)ニュース映像などでも金正恩氏が動き回って対策しているところを、わざと撮らせていますよね。いままでは、このようなことはなかったと思うのですが。

中国から「何か」が北朝鮮に持ち込まれた

相良)これまでにも金正恩委員長が現場を視察することはあって、観光地をつくるような場合は、現地に行って檄を飛ばす様子なども報道されていました。ただ、これまで「北朝鮮内ではコロナ感染はない」と言ってきましたし、ワクチンについてもアメリカが何度も「提供する」という話をしていましたが、応じませんでした。

飯田)これまでは。

相良)今回、コロナ感染があるということを認めたので、「ワクチンも受け入れたい」というメッセージかと思ったのですが、数字を見ていますと、「発熱者」という形で数字が出ています。かなり国内での危機感は強いのだろうなと思います。

飯田)中国からいろいろと医薬品が入っているのではないかという話もありますが、ワクチンについても中国から入れるつもりなのでしょうか?

平壌で軍事パレードを観覧する北朝鮮の金正恩総書記=朝鮮中央通信が2022年4月26日に配信 AFP=時事 写真提供:時事通信

PCR検査の試薬か、コロナに効くと言われる薬か

相良)報道でも、中国から飛行機で何か持ち込んだのではないかということが出ています。何を持ち込んだのかはわかりません。

飯田)何かはわからない。

相良)北朝鮮では発熱者という形でしか報告されていないので、おそらくPCR検査のキャパシティもかなり少ないのだろうと思います。そのような検査の試薬などを持ち込んでいるのかも知れませんし、中国ではコロナに効くと言われている薬があるので、そのような薬を持ち込んでいるのかも知れません。

mRNAワクチンが欲しい北朝鮮

相良)ただ、ワクチンについては、北朝鮮は「効果があるワクチンが欲しい」という話をしていて、すなわち日本でも打たれているようなmRNAワクチンが欲しいのではないかと考えられています。どのように折り合いをつけて北朝鮮に提供していくのか、北朝鮮もどのように受け取るのかというところも、今後の焦点になりますね。

飯田)中国製のワクチンに関しては、オミクロン株だと特に効果が小さいのではないかと言われています。その意味でもmRNAワクチンを入れたい。しかし、それには西側諸国の特許の問題もある。普通に「ください」と言えばいいのですが、北朝鮮という国はなかなか言いませんよね。

相良)そうなのです。北朝鮮は「支援が欲しい」とか、「制裁を解除して欲しい」ということを言わない国なのです。「要求したら負けだ」という意識が昔からあります。90年代に多くの餓死者が出た際、あのときに支援が欲しいと言った例はありますが、基本的には滅多に言いません。

「COVAX(コバックス)」を通じてアメリカから北朝鮮にワクチンを提供する

相良)アメリカもそこはよくわかっていて、表立っては「アメリカ政府はワクチンを提供する計画はない」と言っています。しかし、国際的な枠組みである「COVAX(コバックス)」を通じて、「国際社会から提供する」という形で北朝鮮のメンツを立てる可能性はあります。

飯田)発熱者数などを見ると、苦しんでいるのは一般国民ということになりますからね。

アメリカが先に情報を出すことで抑止する

飯田)今回、サリバン大統領補佐官が情報を出してきました。ロシアのウクライナへの侵略前もそうでしたが、アメリカが情報を先に出して抑止をしようという姿勢は、いろいろと状況が変わってきているからですか?

相良)面白い動きだと思います。今回、「核実験の準備が5月中に行われるのではないか」という報道もかなりされているので、そのようなインパクトの大きいものについては、先にアメリカの方から言ってしまう。「手の内はわかっているのだぞ」と抑止する、あるいは関係国で準備を整えるという効果はあると思います。

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