アメリカではイメージが悪くない「旧統一教会」 その背景
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年11月24日 17時30分
【世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会見】会見する教会改革推進本部の勅使河原秀行本部長(左)と福本修也弁護士=22日午後、東京都渋谷区
上智大学教授で政治学者の前嶋和弘が11月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカでの世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について解説した。
世界平和統一家庭連合が質問権行使の文書を受け取る
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、文部科学省が初めて質問権を行使した文書と、厚生労働省と東京都が送った養子縁組についての質問書を、世界平和統一家庭連合が11月23日に受け取ったことがわかった。その上で、「誠心誠意、回答に努めさせていただきたい」とコメントしている。
飯田)宗教法人法に基づく質問権の行使は初めてだということですが、どうご覧になりますか?
前嶋)安倍元総理の悲劇からのスタートではありますが、これだけ大きな問題になったので、しっかり対応しなくてはいけないと思います。
アメリカでは嫌悪感を持っている人は多くない旧統一教会
飯田)宗教団体に対しての規制は海外の事例も参照されます。フランスの「ライシテ」と呼ばれるもの、あるいはアメリカでも宗教と政治については、大統領選のときにもいろいろと言われますが、その辺りの関係はどうなのでしょうか?
前嶋)アメリカの根本は「言論の自由」と「信仰の自由」なのです。欧州で宗教的に迫害された人たちがアメリカに来て、ピューリタンからスタートしています。国の宗教はつくらないけれどもピューリタンはキリスト教なので、何となくみんなキリスト教からスタートしていった。
飯田)アメリカでは。
前嶋)ただ、プロテスタントにもさまざまなグループがあります。むしろカトリックはあとから入って来て、庶民の宗教として広がっているのです。少し欧州や日本とは違うところがあります。
飯田)なるほど。
前嶋)旧統一教会について「アメリカではどんな感じなのか」とよく聞かれます。日本とのいちばんの違いは、日本の場合、霊感商法が問題になっているわけですが、アメリカの場合はそれがないのです。
飯田)ないのですね。
前嶋)アメリカでは行われていません。しかし、合同結婚式は実施しているので、その辺りで「大丈夫だろうか」ということはみんな言っています。ただ、霊感商法がなければ、旧統一教会の人々に対する強烈な嫌悪はそれほどありません。
アメリカでは信者数が少ないためにカルト性が意識されていない
飯田)日本では霊感商法や献金問題について言われています。アメリカでは、献金における「多額のノルマ」が問題になることはないのですか?
前嶋)そもそも人数が少ないのです。一説によると50万~60万人くらいしか(信者が)いないということです。共和党の支持母体は基本的に福音派と言われる、聖書を一字一句信じている人たちです。
飯田)福音派。
前嶋)人口の約20~25%いると言われています。アメリカの総人口は3億2000万~3億3000万人いますので、(旧統一教会の信者数は)比にならないくらい少ない。
飯田)そうですね。
前嶋)ですので献金の話も、一部では「多額のお金を出せ」ということがあるのかも知れませんが、多額のお金が霊感商法と関わっている部分はありません。旧統一教会はカルトなのだけれども、そのカルト性が日本ほど意識されていないのです。
飯田)カルト性が。
前嶋)文鮮明さんはアメリカに移住して、アメリカを拠点にしていましたが、それほど大きくならなかったということがあります。
アメリカでは「熱心なキリスト教である」とみられて、イメージが悪くない旧統一教会
前嶋)1つ言えることは、旧統一教会はアメリカだと、宗教保守との親和性があるのです。「熱心なキリスト教である」旧統一教会とくっつくことは、イメージ的に共和党としても悪くない。例えば、「天宙平和連合(UPF)」のイベントにトランプさんやポンペオさんやギングリッチさんが参加しましたが、あれはいいお小遣いになるし、イメージ的にも悪くないからなのです。
飯田)天宙平和連合(UPF)という、旧統一教会の友好団体。そこにビデオメッセージを出したなど、いろいろ言われていますよね。
前嶋)日本では、あの場に出ることがイメージダウンになると思うのですが、アメリカだとそうではないのです。むしろプラスのところもあります。
2012年に有名なアメリカの宗教家が「統一教会はもうカルトではない」と発言
前嶋)アメリカで有名な宗教家のビリー・グラハムさんがいます。2012年、モルモン教のロムニーさんが共和党の大統領候補になったのですが、グラハムさんはこのとき、「モルモー(モルモン教)はもうカルトではない。統一教会もね」と言ったのです。
飯田)カルトではない。
前嶋)「ビリー・グラハムさんが言うくらいならば、カルトではない」という認識が何となく広がっていきました。そんな感じなので、日本の状況を見たアメリカの人からは「何が起こっているの? 旧統一教会は日本でどんな悪いことをしたの?」と聞かれます。
飯田)日本で何をしたのかと。
前嶋)日本とアメリカとの差はありますよね。共和党の人たちにとってみれば、お小遣い稼ぎでイメージアップという形なのですが、「日本では大きなマイナスなのですよ」とは言えない。日本との差をわかってくれないのです。
飯田)そこに差があるのですね。
前嶋)ただ、合同結婚式については「どうなのだろうか」と思っている人は多いです。
飯田)その辺りは、人権や自分の自由との齟齬を感じる人もいるのですね。
前嶋)一方で、「信仰の自由だろう」というところもありますので、自由対自由の戦いですよね。
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