「第3の軍事革命」AI兵器 軍事利用加速で“戦争のカタチ”変わる?
日テレNEWS NNN / 2024年10月8日 19時17分
急速に開発が進むAI(=人工知能)の軍事利用が加速しています。戦争のカタチを変えつつある、AI兵器の実態に迫ります。
◇
ロシアによる侵攻から、2年半以上が経過したウクライナの戦場。実はいま、AIの技術を用いた新たな兵器の“実験場”と化しているのです。
ウクライナ軍が前線に投入している四足歩行で進むロボット犬は、兵士の代わりに敵の塹壕(ざんごう)の偵察や地雷探知を担うほか、危険地帯への弾薬や医薬品の運搬も可能だといいます。
実際の戦場で収集したデータをAIに学習させることで、飛躍的に能力が向上。欠かすことのできない存在になっています。
ウクライナ軍の越境攻撃が続くロシア西部クルスク州では、武装したウクライナ軍の無人車両が、地雷をかわして敵地に侵入し、ロシア側の塹壕(ざんごう)を襲撃し、防衛線を突破することに成功したといいます。
戦闘の長期化で兵士の犠牲が増え続ける中、味方の人的被害や精神的負担を減らすため、心を持たず、疲れや痛みを感じない「AI兵器」が次々と戦場に送られているのです。
◇
加速するAIの軍事利用。私たちはその最前線、アメリカ西部ユタ州へ向かいました。
フォーテム社幹部
「フォーテム・テクノロジーズへようこそ」
フォーテム社は、ウクライナにAIを使った防衛システムを提供する企業です。
フォーテム社幹部
「これがアメリカ政府や世界のパートナーに供給している最新の『ドローンハンター』です」
フォーテム社が開発したのは、AIを使って敵の無人機を捕獲する「ドローンハンター」。
フォーテム社幹部
「ウクライナ侵攻は、真のドローン戦争の始まりです。脅威を先取りし、その脅威に対抗する技術を生み出しているのです」
すでにウクライナの戦場で活用されていて、ロシアの無人機を捕獲することに成功しているといいます。
橋本雅之記者(米・ユタ州)
「実際にウクライナの戦場では、どのようにドローンハンターがロシアの無人機を捕獲しているのか、デモンストレーションを行います」
最新のAIシステムが、敵の無人機を検知。自動でドローンハンターが飛び立ちます。
橋本雅之記者
「敵の無人機をドローンハンターがロックオンしました。近づいていっています」
敵への距離を詰めていくドローンハンター。そして…
NNNユタ 橋本雅之記者
「いま、ネットが発射されて敵の無人機を捕獲しました」
捕獲に成功すると、ゆっくりと着陸態勢に。ドローンハンターによる捕獲は、 銃などで撃ち落とすのに比べて破片などが飛び散らず、地上への影響が少ないといいます。
フォーテム社担当者
「発射タイミング、ターゲットに並ぶ高度や速度など、すべてAIが判断します。これはウクライナの人々が身を守ることを助ける技術です」
◇
火薬、核兵器に次ぐ「第3の軍事革命」とされるAI兵器。国際的な規制がない中、いま、大国間の開発競争が激化しています。アメリカで開かれた世界最大級の軍事見本市には、最新のAI兵器が集まりました。
米軍幹部
「動く標的も狙えますか?」
「AI銃」開発企業幹部
「もちろん」
米軍幹部
「人に向けて使ったことは?」
「AI銃」開発企業幹部
「そのために設計されています」
各国の軍関係者が関心を寄せていたのは、最新のAIシステムを搭載した“AI銃”です。
AIが敵を検知し、動きや風を計算して「確実に当たる弾道」を算出。自動で追尾し続けるため、人間は引き金を引いたまま、表示された的を狙うだけ、というものです。
「AI銃」開発企業幹部
「ターゲットがロックオンされたら、引き金を引き続けるのです」
米軍幹部
「すると?」
「AI銃」開発企業幹部
「命中確率が100パーセントになれば銃弾を発射します」
アメリカ国防総省が公開したのは、オレンジ色の戦闘機の映像です。操縦しているのは、人ではなくAI。高度な技術を必要とする戦闘機のパイロットを、AIが担っています。
去年9月には、人間が操縦する戦闘機とAIが操縦する戦闘機による世界初の接近空中戦、ドッグファイトの訓練を成功させました。
◇
AIの軍事利用によって、変わりつつある戦争のカタチ。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃では、標的の選定にAIが利用され、民間人の犠牲者増加に繋がっている、との指摘もあります。
さらに、近い将来、AIが敵を選定し、人間の判断を介さずに殺傷力の高い攻撃を行うLAWS(=「自律型致死兵器システム」)が実用化されるとの懸念が高まっています。
国連のグテーレス事務総長は、2026年までに“究極のAI兵器”とされるLAWSを法的に禁じる枠組みを創設するよう加盟国に求めています。9月にニューヨークで開かれた「未来サミット」では、AIのリスクを分析する専門家パネルを、国連に設置することが決定。新たな脅威への対応が急がれています。
この記事の動画はこちらから再生できますこの記事に関連するニュース
-
北朝鮮製ミサイルに手を焼くウクライナ、ロシア領内のある兵器庫をドローンで徹底攻撃
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月10日 18時38分
-
[社説][沖縄戦80年]10.10空襲 空爆の無差別性 今なお
沖縄タイムス+プラス / 2024年10月9日 4時0分
-
ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月28日 15時30分
-
浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS攻撃の衝撃シーンをウクライナ無人システム部隊が公開
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月17日 18時15分
-
見た目カッコ悪っ… 古~いりゅう弾砲を無人車両に載せて「新・自走砲」!? ロシアの意図は
乗りものニュース / 2024年9月16日 6時12分
ランキング
-
1「喜びも悲しみもない」1機あたり7万円…“格安兵器”ドローンが変えた戦争 ウクライナ軍、戦闘の最前線で増尾特派員がみたもの【クレイジージャーニー】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年10月15日 12時15分
-
2世界有数の漁場に異変=「亜寒帯化」で生態系影響―カニ100億匹が死滅・ベーリング海
時事通信 / 2024年10月14日 15時36分
-
3北朝鮮、韓国とつながる道路を爆破…金正恩氏の「物理的に完全に切断」方針を実行か
読売新聞 / 2024年10月15日 13時37分
-
4金与正氏「主犯は韓国軍」 無人機の証拠確保と談話
共同通信 / 2024年10月15日 18時44分
-
5「南北連結道路」を一部爆破 北朝鮮の狙い・今後は
日テレNEWS NNN / 2024年10月15日 17時28分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください