新米の価格「1.5倍」──高止まりナゼ?戻る? 「JAより1万円高く」…取り合いに 正しい保存方法は【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2024年10月31日 10時13分
スーパーに新米が並ぶようになりましたが、コメの値段は高止まりしています。背景には、集荷業者などによる新米の取り合いや、生産コストの上昇などがありそうです。今後の見通しや、貴重なコメをおいしく保存するコツについて専門家に聞きました。
そこで今回の#みんなのギモンでは、「コメの価格 いつまで高い?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●新米あるのに…値段戻らない?
●貴重なコメ 買い急がないで
■9月の新米、2006年以降で最高値
猪子華・日本テレビ社会部記者
「新米が出回ってきたのにコメの価格は高騰したままですよね。一体いつまで続くのでしょうか。現在の価格から見ていきます」
「農林水産省によると、9月の新米の取引価格は、去年は60kgあたり1万5314円でしたが、今年は2万2700円と約1.5倍に跳ね上がりました」
森圭介アナウンサー
「お米の貴重さを感じますね」
猪子記者
「これは集荷業者が卸売業者と取り引きする時の価格ですが、比較可能な2006年以降、初めて2万円を超えて過去最高となりました」
鈴江奈々アナウンサー
「(グラフを見ると)これまでも価格の上下があったのは分かりますが、ここ1年の上がり方が今までの上がり方と違うのがよく分かります」
桐谷美玲キャスター
「午前中にスーパーに行ってお米の価格を見ましたが、5kgで3700円でした。やっぱり高いなと思いましたね」
森アナウンサー
「ちょっと前なら10kg買えた値段ですよね」
■JA販売の山形県産「つや姫」の値段
猪子記者
「衝撃の上がり方ですよね。新米が出回ってスーパーの棚にはおコメが戻ってきたのに、安くならないのはなぜなのでしょうか」
「実際、ある通販サイトで農業協同組合(JA)が販売する山形県産『つや姫』の価格を見てみると、今年4月は10kgで5080円だったのが、30日は7280円と2000円以上値上がりしていました」
森アナウンサー
「新米が出回ったら安くなる、という話じゃなかったんでしたっけ?」
鈴江アナウンサー
「しばらくしたら落ち着く、という情報もありましたよね」
■JAを通さない買い付けが活発化
猪子記者
「なぜ高止まりが続いているのでしょうか。コメの買い付けの大部分は、JAなどを通して行われています。ところが今年は品薄の影響で『早く新米を入手したい』とJAを通さず、集荷業者や小売店、消費者などが直接農家から買い付ける動きが活発化しました」
「実際、米どころの宮城県の農家は『今年は異常で、卸売業者や飲食店など今まで取引がなかったようなところからほぼ毎日のように連絡が来た』と言います。そして、農家から直接買い付ける際、JAよりも高めの値段で交渉を持ちかけたということです」
「ある集荷業者は『別の集荷業者が農家から仕入れた価格は、JAが農家に提示した価格より60kgあたり1万円ほど高くなったケースもあった』と明かします。こうした高値でのコメの取り合いが行われた結果、最終的に販売される値段も高くなったというわけです」
■専門家「下がっても10%ほどでは」
忽滑谷こころアナウンサー
「ちょっと前まではおコメがない、と話題になっていました。新米が入ってきて価格は戻るんですか?」
猪子記者
「コメの生産や流通に詳しい宇都宮大学の小川真如助教は『今後の価格は従来のような価格に戻ることは考えにくく、下がったとしても10%ほどではないか』と見通します」
森アナウンサー
「1.5倍になって10%下がっても、元に比べたら上がっている、ということですね」
猪子記者
「現在の高騰はそもそも、物価上昇で生産コストが上がったことによるところもかなり大きいといいます。これまでコメの価格は需要の減少が懸念される中で、なかなか上げられていなかった部分もあり、ようやく物価上昇に価格が追いついてきた感もあるそうです」
森アナウンサー
「今まで安すぎたということですね」
■農水省「今夏のような品薄は防げる」
猪子記者
「こうした中、農水省は30日にコメの生産量などを話し合う部会を開きました。そこでは、ことしのコメの生産量の見込みについて、7月時点の予測よりも14万トン増えると発表。これにより、今年の夏のような品薄は防げるとしています」
「ただ小川助教は『そもそも今回の高騰は農水省の需要予測が大きく外れたためでもあるので、すぐに業者や消費者の不安が解消されて価格が落ち着くまでには至らないのではないか』と話しています」
鈴江アナウンサー
「コメが品薄になった時には、南海トラフ臨時情報が出て災害のリスクから需要が高まった部分もありました。予測の幅も必要でしょうし、私たちも日頃から備蓄を整えることで(需要の)減少を抑えられるのかもしれないですよね」
■ごはんソムリエに聞く…正しい保存方法
猪子記者
「高く手に入れたおコメですから、おいしく食べたいですよね。正しい保存方法を、ごはんソムリエの秋元薫さんに聞きました」
「おコメは生ものなので、精米すると徐々に劣化していきます。そのため長期保存は避け、精米した日から1か月程度で食べきるのが理想だそうです。まとめて買うのではなく、必要な分だけ買う方がおいしく食べられます」
「常温保存は避け、冷蔵庫の野菜室で保存するといいそうです。また、おコメはにおいがうつりやすいので、密閉容器や保存袋などしっかりと密閉できる容器に入れることが大事です」
鈴江アナウンサー
「炊く前のおコメを冷蔵庫で保管したことがありません」
桐谷キャスター
「(わが家では)小分けにして、(使う直前の)冷蔵庫に入れているものと、常温で保存してあるものがあります」
森アナウンサー
「冷蔵庫に入っているので、野菜室が半分コメです」
猪子記者
「冷蔵庫に入らない場合もありますよね。せめて容器には入れて涼しいところに保存するのがよく、冬はともかく夏は暑くなるので、注意が必要だということです」
鈴江アナウンサー
「ペットボトルに入れるといいという情報がありますが、どうでしょうか?」
猪子記者
「専門家の間では推奨されておらず、結露してしまうという指摘もあります。なかなか値段が下がらないのは消費者にとってつらい部分もありますが、せっかく買ったおコメはよりおいしく食べきる工夫もしていきたいですね」
(2024年10月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
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