火山灰「数ミリ」でも……停電や断水“ライフライン”に影響 10センチで車は? 30センチで家が倒壊?【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2025年1月15日 9時29分
自然災害の多い日本。地震とともに警戒が必要なのが火山災害です。火山灰が降ると影響は広範囲に及び、ライフラインに大きな被害をもたらします。富士山が噴火すれば、東京・新宿でも10センチの降灰が想定されています。火山灰の影響や対策を考えます。
そこで今回の#みんなのギモンでは、「火山灰 数ミリでも被害大?」をテーマに解説します。
■火山灰の情報をどう伝えるか議論
中濱弘道・日本テレビ社会部デスク(災害担当)
「13日も宮崎県で震度5弱の地震がありましたが、日本は自然災害の多い国です。地震とともに警戒が必要なのが火山災害です」
「14日、広域降灰に関する気象庁の検討会がありました。富士山などで大規模な噴火が起きた際に降る大量の火山灰の情報をどう伝えるかという議論が始まりました」
■都心でも火山灰による甚大な被害か
中濱デスク
「日本には活火山、つまり過去に噴火した火山がどれくらいあるかご存じですか?」
斎藤佑樹キャスター
「5~10くらいですか?」
中濱デスク
「ケタが違って、111あります。首都圏の周りにも浅間山・富士山・箱根山など多くの活火山があり、これらが噴火すると都心にも火山灰による甚大な被害が想定されています」
■富士山噴火で首都圏は?…イメージ映像
中濱デスク
「内閣府が富士山噴火を想定してまとめたハザードマップに基づいて作った、首都圏への被害イメージ映像があります」
「富士山から噴き上げられた火山灰は風に乗って都心にも到達します。富士山から遠く離れた場所でも火山灰が降り、ライフラインに被害が出て、私たちの生活にも大きく影響します」
■健康被害や交通障害…どんな影響が?
森圭介アナウンサー
「(被害イメージのCGでは)停電や交通障害が起きていますね」
中濱デスク
「いろんな被害があります。火山灰によって目・鼻・のど・気管支などに異常をきたすなど健康被害もあります。わずか数ミリの火山灰が積もったとしても、ライフラインに影響があるんです」
「灰が電線に触れることで停電が起きます。水道の施設に火山灰が降り、水が浄化できなくなって断水します。また携帯電話の基地局のアンテナなどに灰がつくことで通信障害が起こることもあります」
「交通などインフラの被害も深刻です。線路や滑走路に灰が積もることで鉄道も航空機も停止。車の運転も、道路状況や視界が悪くなるのでかなり危険な状況になります」
森アナウンサー
「雪などが降って交通障害が起きることは我々は何度も経験していますが、灰でこういった影響が出てくるんですね」
■火山灰が積もった坂道、車は走れる?
中濱デスク
「あまり知られていないですよね。4年前に山梨県が行った、火山灰が積もった坂道を車が上がる実験の映像があります」
「アクセルを踏んでもなかなか前に進めません。四輪駆動以外の車は、火山灰の厚さが10センチ以上になると空転して動けなくなってしまうことがわかりました」
「こうした状況では事故や渋滞が増える恐れもあります。車を使った避難もあると思いますが、それができなくなります。また輸送などが滞り、生活物資が不足する事態も起こり得ます」
森アナウンサー
「雪と違って溶けるわけでもありませんし、一度積もってしまうと撤去しないとどうにもならないということですよね。10センチであれだけ車が動けなくなるわけですからね」
鈴江奈々アナウンサー
「ものすごい広い範囲に及びますからね」
■神奈川・厚木では20センチの降灰
中濱デスク
「内閣府が想定した、富士山が大規模噴火した際の降灰の分布予測図があります。富士山の近くでは、50センチ以上積もるとされています。神奈川県央の厚木市などでは20センチ以上、東京・新宿でも10センチの火山灰が積もると想定されています」
森アナウンサー
「都心では車が使い物にならない可能性が出てくるということですか。10センチというとかなり広い範囲ですもんね」
中濱デスク
「首都圏の大部分を占めますね。四駆でなければ動けないという道路状況になるかもしれません」
「木造家屋では、屋根に30センチ以上積もったところに雨が降ると、重みでつぶれてしまうことがあります。30センチでも命に関わるようなことがあります」
■桜島周辺では…垂水市の除灰の様子
中濱デスク
「街中に積もった灰を除去するのは、とても大変なことです。2015年に桜島周辺の除灰、つまり灰を除去する様子を取材しました。桜島からの灰が降る、鹿児島・垂水市。灰が降った日には専用の車両が出てきます」
「(住民は)家の近くを掃除して、灰を集めて(袋に入れ)、ゴミの集積場所に置いておく。そうすると市の車が来て回収し、専用の埋め立て場所に行って除去します」
「桜島周辺では日常的に噴火が発生しているので、火山灰対策の仕組みや機材も整備されていますが、首都圏ではまだ除灰への対策がほとんど取られていないのが現状です」
森アナウンサー
「こういったトラックもないですし、作業員の方も首都圏ではいません。10センチの降灰で車が動けないとなると、1台止まってしまえば渋滞が起きてしまう。そうするとこういった車両が動けない、撤去できないという悪循環が始まってしまう可能性もあるわけですよね」
鈴江アナウンサー
「集めた灰をどうするかも決められていないと、進まないですよね」
森アナウンサー
「その話し合いが今までなかなか行われていなかったんですね」
■「警報」「注意報」で避難を促す?
中濱デスク
「灰の捨て場所などについては内閣府で議論が進められています。そんな中で14日に行われた気象庁の検討会では、大規模な噴火で火山灰が降った時に、気象庁がどのような情報をどのようなタイミングで出すのかなどが話し合われました」
「例えば大雨警報などのように『降灰警報』や『降灰注意報』を出して避難を促したり、住民への注意喚起をしたりといったことも検討していくということです」
鈴江アナウンサー
「いろんな警報や注意報はありますが、降灰に関しては現在はないということなんですね?」
中濱デスク
「火山が噴火するとどの方向に流れるかという『降灰予報』はあります」
刈川くるみキャスター
「私の地元では桜島が活発に動いていたので、降灰の予報がテレビで流れていました。それでマスクをしたり、洗濯物を部屋干しにしたりと対応していました。情報が出るというのはすごく生活に役立っていました」
中濱デスク
「九州地方ではテレビで(降灰予報が)流されています。今回、ほかの火山でも警報や注意報を出してもらうことで自治体などが除灰の対策を取るきっかけにしたいとしています」
「火山災害は登山者や山の近くに住む人が影響を受けると思いがちですが、火山灰は風に流され、広い範囲に被害が及びます。自分事として今後の対策を進めていく必要があります」
(2025年1月14日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
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