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「私たちの失敗や後悔を全国のママに伝えてほしい」震災を経験したママ達が繋ぐ“子ども防災”の輪

日テレNEWS NNN / 2025年1月17日 17時2分

(左:滝菜月アナ 右:かもんまゆさん)

6434人の方が亡くなった阪神・淡路大震災から2025年1月17日で30年となるのを前に、先日、千葉県木更津市で子育て世代を対象にした木更津市防災フォーラムが開かれ、約80人が参加しました。災害が発生した時、子どもの命を守るために私たちができることは何か――。現在、子育て中の私、滝菜月(日本テレビアナウンサー)が取材しました。

◇ ◇ ◇

■「最初の15分を生き抜くことが重要」

日テレNEWS NNN

講師は、かもんまゆさん。被災地のママの“リアルな声”と生き残るための“知恵”を伝える講座を、全国約400か所で、2万4千人以上の方々に向けて開いてきました。

かもんさん:

阪神・淡路大震災では建物の倒壊や家具の転倒により、下敷きとなってしまい、多くの人が亡くなりました。また、約9割が発災後、約15分以内に亡くなった可能性が高いことが分かっています。

また、2016年4月16日午前1時25分に起きた熊本地震を経験した、あるママは「布団の上で子どもを抱き寄せ、揺れが収まるのを待っていたら、倒れてきたピアノや家具に囲まれてしまい身動きが取れなくなった。脱出するのが大変だった」と話していました。

もしも最初の15分で命を落としてしまったら……いくら備蓄や持ち出しリュックの準備をしていても意味がありません。倒れやすい物は事前に固定をしておくこと、また、畳1枚分でもいいので、家の中で上から何も落ちてこない、倒れてこない、動いてこない安全地帯(避難場所)を作ることがオススメです。

緊急地震速報が鳴ったらそこに逃げるよう、日頃からお子さんと「おうち避難訓練」をしておくと、いざという時パニックにならないで済むのではないかと思います。

出典:内閣府「防災に関する世論調査(令和4年9月調査)」

滝:

防災と聞くと、食料等の備蓄のイメージも強いですが、その前段階の対策を忘れないようにしたいですね。内閣府の調査によると、実際、家具・家電などを固定し転倒・落下・移動対策をしている人は約35%でした。つまり約65%の人は対策をしていないと言えます。家具等の固定対策をしていない理由として約40%の方が「やろうと思っているが先延ばしにしている」というデータもあります。

■「帰ってこられないのだから、せめて教訓に……」

かもんさん:

大切な子どもや家族の命を守るために、すべきことは分かっているけれど、「日々子育てをしながら家事や仕事をしていると、それだけで手一杯…」「いつ来るか分からない地震に備えるなんて正直面倒」と後回しにしてしまう人が多いですよね。私もそうでした。

東日本大震災で物資支援活動を行っている時、ママ達から「私たちの失敗や後悔、経験を一刻も早く全国のママに伝えてほしい。(被災していない)皆がいる場所はまだ“3月10日”じゃないですか。今なら未来は変えられるのだから、動いてほしい」と言われました。また、お子さんを亡くした方は、「未来の防災、教訓の為に子どもを生み育てたんじゃない。でももう帰ってこられないのだから、せめて教訓にしてもらわないとやりきれない」と話してくださいました。

滝:

私も子育て中なので、日々目の前のことに追われてしまう気持ちはとてもよくわかります。被災された方々の話を通して、本当に大変な思いをして学ばれたことを、私たちは未来に活かしていかなければならないと改めて感じますね。

■「敵を知り武器を準備する」

滝:

初動の15分を乗り越えた後、どのような行動が必要になるのでしょうか。

かもんさん:

災害によって取るべき行動は様々ですが、共通して言えることは、事前に「敵を知ること」が大切だということです。ゲームでも戦う相手がどんな敵なのかを知らないとどんな戦い方をしたらよいのか分からないですよね。防災も同じです。自分たちの暮らしている地域ではどのような災害が起きやすいのか、想定される被害はどの程度なのかなど、特徴を把握し、災害が起きたときに、自分たちの命や生活がどうなってしまうのか出来るだけリアルに想像しておくことが大切です。

滝:

木更津市のイベントで参加者にアンケートをとった際、住んでいる地域の最大想定震度や最大津波高、土地の特徴などを把握されている方はいらっしゃらなかったですね。

日テレNEWS NNN

かもんさん:

実は、アンケートの質問項目は、全て木更津市が出しているハザードマップに書かれていることでしたが、把握されている人はいませんでした。自分達が暮らしている地域にどんな特性があるのかが分かると必要な行動が見えてきます。

滝:

地域によって液状化や土砂災害、浸水等のリスクは様々だからこそ、敵を知るということは大切ですね。私は国土交通省の「重ねるハザードマップ」を活用しています。このサイトでは、津波や土砂災害など複数の危険情報を地図上で重ねて確認できます。自分の住んでいる地域はもちろん、“現在地から探す”機能を使えば旅行先等でもすぐに調べることが出来るので、より手軽に地域の災害リスクを把握できるようになりました。

■非常食を吐き出してしまった……

滝:

備蓄をする際にお子さんがいる家庭で気を付けるポイントはありますか?

かもんさん:

東日本大震災では「ミルクの残りが少ないけれど、特売日の明日買いに行こうと思っていたら地震が来てしまった」「震災から数日間全く乳幼児向けの救援物資が手に入らなかった」という声がありました。ミルクやオムツ、おしり拭きなど、今買えなくなると困るものは多めにストックしておくことをオススメします。

また、「備蓄していた非常食をあげたけどすぐに吐き出してしまった。食べ慣れた物を防災リュックに入れておけばよかった……」というママもいました。大人なら少々好みではない食事だったとしても「非常時だから」と我慢できますが、子どもにそのような事情を理解してもらうことは難しいです。食べると元気が出るような子どもの好きなもの、食べ慣れたものを用意しておきましょう。

■防災イベントの参加者は…

日テレNEWS NNN

(参加者)「(自分の地域で起こりうる災害が何なのかを)分かっていないから、もしもの時どうしよう…という感情になっていたのだなと感じました。自治体が出しているハザードマップなど役立つ情報を改めてしっかり確認したいです」

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(参加者)「今回具体的な話を聞いて、自分たち家族にとってのベストな対策・準備を見つけられそうだと思いました。子どもたちと離れ離れの場所で被災した時に、どこに集合するのかなど、家族で話し合おうと思います。集合場所も、多くの人であふれかえっていることを想定して、この建物のこの時計の下! など細かく決めておきたいです」

■取材を通して

東日本大震災を経験されたママの「(被災していない)皆がいる場所は“3月10日”じゃないですか」という言葉は、いつも通りの生活を送れることは決して当たり前ではないからこそ、“いつか”ではなく“今”行動しなくてはならないという強いメッセージを感じました。アナウンサーとして、同じ母親として、今回聞かせていただいた声を一人でも多くの方に伝え、そこから何ができるかを考え続けていきたいと思います。

(取材・文=日本テレビアナウンサー滝菜月)

◆講師プロフィール◆

かもんまゆ

防災士、口コミだけで全国に広がる“ママたちを本気にさせる”備災講座「防災ママカフェ®」主宰、(一社)スマートサプライビジョン特別講師

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