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創業約100年の人気かまぼこ店、5月末で閉店へ 牧志公設市場隣の「ジランバ屋」 惜しむ常連客「一つの歴史が消えた」【動画あり】

沖縄タイムス+プラス / 2024年5月8日 14時12分

お客さんの対応をするジランバ屋の玉城洋子さん=8日、那覇市松尾(竹花徹朗撮影)

 那覇市の牧志公設市場隣に店舗を構えるかまぼこの名店「ジランバ屋」が5月末で閉店する。創業者の玉城ジラさん(故人)が1926年に初めて店舗を構えて以来、家族や親戚でお店を続けてきたが、従業員の高齢化などを理由に約100年間の歴史に幕を下ろす。店主の玉城洋子さん(76)は「お客さまに励まされ、続けてこられた」と感謝した。

 創業者で糸満出身の玉城ジラさんは、戦前・戦後を通して店を切り盛りした。19歳で漁師だった玉城亀吉さんと結婚。那覇市辻の料亭などに魚をおろしていた際に、女将(おかみ)から「かまぼこにすれば良いのでは」とアドバイスを受け、糸満に店を構えたのが始まりだったという。

 店名は「ジラおばさん」をモチーフにし、「ジランバ」。「笑顔になって、安くて、おいしい」を理念に掲げ、同市東町や商店街にかつてあった「水上店舗」にも店を置いた。

 ジラさんが亡くなった後は、3男4女のきょうだいで引き継いだ。現在は四女で末っ子の洋子さんが、仕事でいた東京から沖縄に戻ってきたのをきっかけに40歳ごろから店頭に立っている。

 洋子さんは母のジラさんを「優しく、もうけより困っている人を助けることを優先する人だった。偉大な母だった」と振り返る。親孝行になればと思い、手伝い始めたという。

 ちきあげ、ダンゴ、丸点―。ショーケースにはできたてで熱々のかまぼこがズラリと並び、香ばしい香りが立ちこめる。そろえているかまぼこは約15種類。朝から晩までひっきりなしに地元客や観光客が訪れる人気店だ。

 長年地元から愛され続けてきたが、従業員たちの高齢化などから閉店を決断した。洋子さん自身も持病が悪化し、店頭に2カ月ほど立てなくなったことも。復帰時、常連客から「あなたの笑顔が見られて良かった」と声をかけられ、支えられているのを実感した。

 「もう少しお役に立ちたかった」と涙ながらに話す洋子さん。朝から店頭に立った8日も、訪れた客に閉店を説明し「ありがとう。ごめんなさいね」と繰り返した。「母も頑張ったねと言ってくれるかな」。

 同店でかまぼこを20代の頃から買っているという那覇市の70代女性は「閉まるなんてびっくり。一つの歴史が消えた感じがする。とてもさみしい」と惜しんだ。

 小さい頃からよく訪れているという同市の50代女性は「ここのかまぼこが一番おいしかった。これからどこで買えばいいのか」と肩を落とした。(社会部・玉城日向子)

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