[社説]被害少女が証言 痛みと勇気の重い訴え
沖縄タイムス+プラス / 2024年8月24日 4時0分
少女が法廷に立ち、性被害を語るのはどれだけ勇気が要ることだったか。発せられる一つ一つの言葉が重く響いた。
昨年12月、16歳未満の少女を誘拐し性的暴行をしたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪に問われた米空軍嘉手納基地所属の兵長の第2回公判が那覇地裁で開かれ、少女が証人として出廷した。
7月の初公判で被告は、少女との性的行為は認めたものの、18歳と認識し、同意があったなどとして、無罪を主張していた。
公判で少女はこれをはっきりと否定した。
自身の年齢を日本語と英語、指を使ったジェスチャーで伝えたと具体的に語った。被告の自宅で暴行された際「やめて」「ストップ」と言い、拒否したとも証言した。
なぜスマホで外部に助けを呼ばなかったかとの被告弁護側の質問に「体が動かず、そういう思考ができなかった」と答えた。恐怖のあまり体が凍り付いて動けなくなったのだろう。
事件後、被害を思い出して眠れず睡眠薬を服用するようになり、感情をコントロールできずに自傷行為をするようになったことも明かした。
少女は被告に「自分の犯した罪の重大さを分かってほしい」と訴えた。
性犯罪は「魂の殺人」と呼ばれ、被害を受けても声を上げるのは並大抵ではない。
だが少女は沈黙せず、声を上げることを選んだ。
被告は30日の尋問で事実を明らかにしてほしい。
■ ■
今回、法廷にはついたてが設置され、傍聴席や被告人席から少女が見えないようにして尋問が行われた。
とはいえ、ついたて1枚隔てたすぐ近くに被告がいる状況だった。尋問は5時間を超える長時間にわたった。
近年、証人尋問には法廷と別室を映像と音声でつなぐビデオリンク方式も導入されている。
被害者の精神的負担を減らし、安心して証言できる環境づくりの工夫が求められる。
公判前、被害者の代理人から報道機関に、被害者や家族のプライバシーに関わる情報を報道しないよう要望が寄せられた。
2001年に北谷町で起きた米兵暴行事件では、一部週刊誌による被害女性への中傷報道が過熱し、女性が沖縄弁護士会に人権救済を申し立てた。
少女が二次被害に遭うようなことがあってはならない。
■ ■
花を手に性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」が県内外で続いている。
被害者が声を上げることで「同意のない性行為は犯罪である」という認識が広がっている。
デモは抗議と同時に被害者に寄り添う気持ちも示す。
少女は公判で「スクールカウンセラーになって、つらい思いをした子を助けたい」という目標を語った。 少女に伝えたい。
「よく頑張ったね。あなたは独りじゃない」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「あの日のことは、心をくいで打たれるような拷問でしかない」 部活のノリが「性加害」に、法廷で裁かれた先輩4人
47NEWS / 2024年12月28日 9時0分
-
日本で性犯罪が起訴に至るケースはたったの1.1%
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 11時0分
-
米兵による少女の誘拐と性的暴行事件に抗議する県民大会 再発防止求める決議
沖縄タイムス+プラス / 2024年12月23日 7時20分
-
「誰かに話したら勉強を教えない」と脅迫し…小学校教師がビデオカメラに収めていた女子生徒への「鬼畜の所業」
プレジデントオンライン / 2024年12月20日 16時15分
-
ジェイZを性的暴行で告発した女性、「いくつか間違い」があったと認めるも大筋では訴えを変えず
クランクイン! / 2024年12月16日 18時0分
ランキング
-
1〈舌と食道まで…〉「お嬢さんの作品をご覧ください」田村瑠奈被告の父親裁判で明かされた戦慄の“切除現場”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン / 2025年1月15日 9時0分
-
2「都議会自民党」会計担当を週内にも立件へ、パーティー収入3000万円不記載か…東京地検特捜部
読売新聞 / 2025年1月15日 5時0分
-
3沖縄・瀬底島沖でパラセーリング中 観光客の6歳児ら家族3人が海に落下 祖母が溺れ搬送
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月15日 7時8分
-
4大統領拘束に「重大な関心」 日本政府、韓国と緊密に意思疎通
共同通信 / 2025年1月15日 12時7分
-
5「富士山と五重塔を一望」でインバウンド殺到の公園、4月から駐車場有料化へ
読売新聞 / 2025年1月15日 7時4分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください