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[社説]中国軍機が領空侵犯 緊張高めず冷静対応を

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月29日 4時0分

 中国軍のY9情報収集機1機が26日午前、長崎県五島市の男女群島沖で日本領空を侵犯した。

 中国軍機による侵犯が確認されたのは、自衛隊が1958年に対領空侵犯措置を開始してから初めて。領空侵犯は日本の主権を侵害する行為であり、あってはならないことだ。

 Y9には周波数や発信場所などの電波情報を集める役割がある。2014年ごろから沖縄本島、宮古島、石垣島周辺の公海上空での飛行がたびたび確認されていた。

 一方、男女群島周辺での飛行が確認されたのは初めてだ。米軍との連携を深める自衛隊が、どう対応するのかを見極める目的があったのではないかとみる向きもある。

 これに対して中国外務省の副報道局長は翌日「中国はいかなる国の空域にも侵入するつもりはない」と表明した。今回の侵犯について「中国の関係機関が状況を確認中だ」と述べた。

 日米などが連携して中国に対抗する枠組みを形成していることへのけん制もあったのではないか。

 たとえ偶発的だったとしても国際法に違反する重大な行為だ。中国はなぜこのような事態になったのか経緯を明らかにすべきだ。

 先月には海自の護衛艦「すずつき」が中国浙江省沖の中国領海を一時航行する事案が発生。中国側が深刻な懸念を伝達し、日本側は「技術的なミス」と説明した。領空侵犯はその「意趣返し」ではないかとの臆測も出ている。

 これ以上緊張を高めないよう、日中両政府は冷静に対応すべきだ。

■    ■

 中国の領空侵犯を巡っては12年、中国国家海洋局のプロペラ機が尖閣諸島の魚釣島近くを領空侵犯した経緯がある。

 軍用機ではないもののこの日は、中国の海洋監視船4隻も尖閣の周辺海域を領海侵犯するなど、海と空から揺さぶりをかけるという意図的なものだった。

 領空侵犯の恐れがある外国機への空自のスクランブルは、中国が対象となるケースが高止まりし、23年度の669回のうち479回、約72%に上る。

 今回の侵犯が偶発的なことだったとしても現場の緊張感は高まるに違いない。

 翌27日には超党派の日中友好議員連盟が北京入りしている。

 領空侵犯が関係改善の機運に水を差すようであってはならない。

■    ■

 東シナ海などでの自衛隊と中国軍の間の不測事態回避を巡っては、昨年5月から日中の防衛当局幹部間のホットライン(専用回線)の運用が始まった。

 だが、先月起きた海自のケースでは使われなかったという。

 ホットラインは12年に日中両政府が合意した相互通報体制「海空連絡メカニズム」の柱である。

 偶発的なアクシデントが武力衝突に至る危機を抱える中では、ようやく実現したホットラインを積極的に活用することが求められる。互いにこまやかな意思疎通を図るべきだ。

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