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沖縄県内最大の湿地・田名池 浮島が見え動植物豊富な「原風景」目指す 伊平屋村と琉米歴史研究会

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月30日 12時12分

村民の原風景として親しまれてきた「田名池」=2日、伊平屋村田名区

 【伊平屋】伊平屋村とNPO法人琉米歴史研究会が、県内最大の湿地で景勝地の「田名池(ダナグムイ)」を、浮島があり在来の動植物が豊富だった1970年代当時の「原風景」に戻そうと取り組んでいる。現在は水草や雑草の繁殖で陸地化が進み、手付かずのまま。地域資源として活用しようと2022~26年度に湖面を整備する方針で今月、事業を運営する事務局を立ち上げた。(北部報道部・比嘉海人)

 田名池は同村田名区にある約26ヘクタールの大湿地。18世紀に制作されたとされる古地図「琉球国惣絵図」には、点在する浮島が記録されている。日本復帰前までの田名池を知る住民3人は、村のヒアリングに「水面に100坪ほどの木が生えた島が浮かび、風が吹くと移動した」「水面いっぱいにカモがいた」「生息するウナギやコイ、エビを取って食べた」などと答えている。

 また島尻と我喜屋の2区では、県有形民俗文化財の「神アシアゲ」のかやぶきの建設や整備に、原料となる植物ヒトモトススキを田名池で採取していた。以前は取水池としても活用され、風で移動する浮島のように夫に従う女性の誠実さを表した歌もある。

 だが陸地化や外来種の侵食が進み、今は従来あった機能や景観が失われている。村は池を観光地にしようと、復帰後に当時の村長らが鹿児島県を視察し、2000年代には遊水池公園のように整備する計画も浮上。ただ議論は進まず、どう活用するかが長年の課題となっていた。

 村は23年6月、古地図を提供した琉米歴史研究会と協定を結び、整備事業をスタート。予算はふるさと納税で26年度までに5千万円を募り、海外から環境調査する専門家の招聘(しょうへい)費用などに使う。

 まずは湖面の外来種の植生物を取り除くため、村外からボランティアを募る。同時に、子ども向けに渡り鳥や在来生物を観察する環境学習、村民向けのシンポジウムも予定。バードウオッチングができる施設や散策用の遊歩道も整備する方針だ。

 村の名嘉丈祝企画財政課長は「人々の心のよりどころとなる原風景を取り戻すとともに、移住・定住につながるきっかけづくりにもしたい」と話した。

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