[社説]臨時国会閉幕 「熟議」の場 実現の時だ
沖縄タイムス+プラス / 2024年12月25日 4時0分
与野党が伯仲する中で迎えた臨時国会が閉幕した。自民「1強」時代とは異なり議論が法案に反映される場面が増えるなど、言論の府が本来の姿を取り戻しつつある。国会再生の歩みを止めてはならない。
焦点だった政治改革関連法案では、自民党が全面的に譲歩し、野党案を受け入れる形となった。
政治資金規正法の再改正などを審議した政治改革特別委員会は、本来の国会の姿を見せたとも言える。与野党が提出した9法案を巡り、答弁席には各党の実務者が並び、国会議員同士の討論が繰り広げられたからだ。
一方で、企業・団体献金の扱いについては来年3月末まで結論を先送りした。
企業献金への依存度が高い自民は「政治活動の自由を侵す恐れ」を主張している。片や野党の一部からは、禁止の対象から政治団体を除くよう提案している立憲民主党の案も「抜け道になる」として批判が出ている。
「政治とカネ」を巡り、国民からは依然として厳しい視線が注がれている。与野党は期限まで精力的に議論を重ね、踏み込んだ改革をしてもらいたい。
2024年度の補正予算を巡っても、自民が立民の主張を取り入れ、能登半島の復旧・復興費用を1千億円上積みする修正を加えた。修正した予算案の成立は28年ぶりだ。
ただ、予算全体は緊急性の薄いものもあり「規模ありき」の感が否めない。もっと精査が必要ではなかったか。
■ ■
少数与党となった石破茂政権にとって、補正予算を会期内に成立させられるかどうかは焦点の一つだった。
石破首相は会見で「与野党の多くの協力で、かみ合った議論になった」と振り返る。与野党が互いに一致点を見いだして、予算を成立させた意義は少なくない。
しかし、短い会期の中で中途半端に終わった議論も目に付いた。
自民旧安倍派の裏金事件に関しては、衆参両院の政治倫理審査会で計20人が弁明したものの、疑惑の核心部分の解明は進まずじまいだ。
補正を含め予算は、政権の政策の集大成でもある。立法府で厳しくチェックするには、余裕を持たせた審議を可能にする新たな仕組みを与野党が検討すべきだ。
■ ■
国民民主党が掲げる「年収103万円の壁」引き上げの議論も気がかりだ。予算成立のため1党の言い分を丸のみする形では税制にひずみを残さないか。
自民、公明の両党は25年度の税制改正大綱で123万円に引き上げることを決めたが、データに基づいた政策効果や財源に関する検討がなされた形跡はほとんどない。引き上げを巡っては国と地方を合わせて大幅な税収減になるとの指摘もある。
立法府の役割は熟議を尽くすことにある。目先の成果だけにとらわれない議論が求められる。
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