[社説]「熟議の政治」正念場 沖縄でこそ合意形成を
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月4日 4時0分
衆院選を経て、国会の風景ががらりと変わった。「沖縄の声」をどのように届け、政治に反映させるのか。一歩でも二歩でも前へ進める年にしてほしい。
昨年10月の衆院選で自民、公明の連立与党は大敗を喫し、過半数を割り込んだ。
少数与党下では、野党の協力を得なければ予算案や法案を成立させることはできない。
先の臨時国会で政治改革関連3法に政策活動費の全廃が盛り込まれたのも野党の要求によるものだった。
今月下旬には通常国会が召集される。
これまで大きな議論にならなかった辺野古新基地を巡る問題や沖縄関係予算の課題についても野党の主張が重みを増し、耳を傾ける必要性に迫られるのは間違いない。
昨年末、沖縄防衛局は大浦湾側の軟弱地盤の改良工事に着手した。
7万本以上の杭(くい)を打ち込む大規模工事は、技術上の課題はもちろん、環境保護の面からも大きな問題をはらむ。
新基地が完成するまでの十数年間、米軍普天間飛行場の危険性除去はどうするつもりなのか。具体策を示すべきだ。
地元の宜野湾市長は何度も、普天間飛行場の返還時期を明示するよう政府に要請してきた。それを示さずに工事を強行するのは許されない。
工費と返還時期について精査し、その結果を国会で明らかにする必要がある。
■ ■
県内では、昨年6月の県議選で玉城デニー知事を支持する与党が大敗し、自民党会派など野党・中立が多数派となった。
議決が必要な予算などで政策決定の力学が大きく変わり、知事は就任以来最大の苦境に立たされている。
早速、攻勢にさらされているのが県のワシントン事務所を巡る問題だ。県議会は百条委員会を設置した。
基地問題に関する情報発信を担う他県にはない組織とはいえ、株式会社として事業者登録するなどの不透明な手続きや公文書管理のずさんさは見過ごせない。
県政を巡っては、昨年11月に本島北部を襲った豪雨の際、対応の遅れから「災害救助法」の適用が困難となるミスも発生した。
なぜこんなにも「ポカ」が相次ぐのか。緩みの背景に何があるのか。幹部人事を含め、体制の立て直しを図るべきだ。
■ ■
今年は7月に参院選が予定されている。来年の知事選の前哨戦とされる。
県政野党が攻勢を強めるのは確実である。そうであっても、大切にしてほしいのは「県民益」だ。
国政では与野党が熟議を重ね、一致点を見いだすこれまでにない努力が重ねられている。
それが沖縄でできないはずはない。
「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」は4年目に入り、検証作業が始まる。
与野党が一緒になって、県民の暮らしと安全を守る政策の実現に力を発揮してもらいたい。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【政界】待ち受ける難関をどう乗り越える?「不思議な安定」を続ける石破首相に問われる突破力
財界オンライン / 2025年1月14日 11時30分
-
少数与党で際立つ「森山マジック」、老練な国会運営に首相「おかげで何とか持ちこたえている」
読売新聞 / 2025年1月9日 11時0分
-
超短命政権の危機脱した石破首相を待つ「3大関門」 「予算」「不信任」「参院選」…2025政局展望
東洋経済オンライン / 2025年1月7日 10時0分
-
笑顔の石破首相が秘める「政権維持戦略」の成否 会期末「不信任案」なら解散・衆参同日選も
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 10時0分
-
石破首相、トランプ氏との会談「早期に」 適当な時期を模索
ロイター / 2024年12月24日 18時57分
ランキング
-
1【速報】大学生暴行死 主犯格とされる18歳男ら2人の実名公表 少年含む4人を起訴 札幌地検
STVニュース北海道 / 2025年1月15日 14時39分
-
2「国はずるい」宮城の村井知事が憤り 旧優生保護法補償法で被害者対応を自治体に丸投げ
産経ニュース / 2025年1月15日 14時42分
-
3小学校花壇にシカの頭部か、岐阜 埋められた可能性、腐敗なし
共同通信 / 2025年1月15日 12時4分
-
4【速報】維新・吉村代表 石丸新党と「連携もあり得る」「維新から出たいという候補がいれば両立可能」
MBSニュース / 2025年1月15日 15時55分
-
5「都議会自民党」会計担当を週内にも立件へ、パーティー収入3000万円不記載か…東京地検特捜部
読売新聞 / 2025年1月15日 5時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください