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[社説]選択的夫婦別姓 通常国会で成立目指せ

沖縄タイムス+プラス / 2025年1月13日 4時0分

 長年棚上げされてきた問題だ。これ以上、先延ばしにすることは許されない。

 選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、通常国会を前に各党幹部が発信に力を入れている。

 立憲民主党の野田佳彦代表は年頭会見で、選択的夫婦別姓制度の法案を他の野党と共同提出する方針を明らかにし「成立に向けて努力したい」と述べた。

 制度の導入については国民民主党、共産党、れいわ新選組も賛成の立場だ。

 旧姓使用拡大を掲げる日本維新の会も制度導入についての党内協議に入る。

 与党でも公明党が衆院選で導入を掲げた。斉藤鉄夫代表は自民党に対し両党の実務者による協議を求めている。

 1975年に選択的夫婦別姓を求める請願が参議院に提出されてから、半世紀がたった。96年には法制審議会が導入を答申したものの、自民内の反対で法案提出が見送られた経緯がある。

 その自民でも総裁選では石破茂首相をはじめとする複数の候補が導入に前向きだった。

 この間、導入を求める声が途切れることはない。夫婦同姓を求める現行民法を違憲とする訴訟は昨年、第3次訴訟が提起された。

 同10月には国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に対し、選択的夫婦別姓の実現に向けた民法改正を勧告。この勧告は2003年以降4度目となる。

 こうした国内外の声にもかかわらず国会で十分な議論をせず、問題を放置してきた責任は重い。

■    ■

 選択的夫婦別姓は夫婦が姓を同じにするか、別々にするかを選べる制度。

 国連で女性差別撤廃条約が採択された1979年以降、各国で導入が進んだ。一方、未導入の日本では現在も夫婦の95%が夫の姓になる現状がある。

 問題なのはそうした中で、改姓による不利益を被るのは女性が圧倒的に多いということだ。

 第一線で働く女性が増える中、企業経営の面からも無視できない課題として経団連は昨年、制度の導入を提言した。

 反対する声の中には「別姓にすると家族の一体感を損なう」との意見があるが、家族の絆は姓によってのみ生まれるものではなく別問題だ。

 夫婦別姓の場合、子どもの姓をどちらにするかとの課題についてもすでに他国の先行事例がある。子の不利益にならないような制度の構築を求めたい。

■    ■

 石破氏は就任後、党内議論を優先したいと発言をトーンダウンさせている。

 自民内では反対する議員から旧姓の通称使用拡大案が出ているが、通称使用で課題が解決しないことはすでに経団連の調査などでも明らかだ。

 少数与党の国会は与野党の枠を超えて課題に向き合い、議論を深める機会である。

 通常国会では制度の導入が最大テーマの一つとなる可能性が高い。長年積み残された宿題に答えを出す時だ。

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