草なぎ剛、舞台は“自分と一番向き合える場所”「日頃の生活や自分の思考を正してくれる」
ORICON NEWS / 2024年10月15日 12時0分
俳優・歌手の草なぎ剛が、12月6日から来年1月10日まで東京、京都、愛知で上演される舞台『ヴェニスの商人』に主演する。さまざまな舞台に出演してきた草なぎが、稀代の戯曲家であるウィリアム・シェイクスピアの作品に挑むのは初めて。近年は映像作品のみならず、舞台でも活躍を見せている草なぎに、その魅力を聞いた。
【写真】憂いた表情にドキドキ…シャイロックを演じる草なぎ剛
■舞台のお客さんは「ちょっと間違ってる方が、身を乗り出して見てくれる」
――草なぎさんは、映像作品はもちろん、ファンと対峙する舞台でも活躍されています。ご自身は、舞台のどのようなところに魅力を感じていますか?
【草なぎ】「自分と一番向き合える場所」というか…。ドラマも映画も基本的には変わらないんですけど、舞台は(物語が)進んでいくので「ストップ!ちょっと待って、もう1回」といかなくて。そこの緊張感っていうのは、舞台ならではですね。突き詰めていくと、舞台があるゆえに自分と向き合うというか。「なんでこのせりふ昨日言えたのに、今日は間違ったのかな」とか、より自分に問い正す時間が増えるんですよね。
――ストイックに向き合うわけですね。
【草なぎ】でもそれって他の仕事も一緒で、本来そうであるべきなんですよ。人間って、僕なんか特にそうですけど怠け者なんで、楽な方に流されて「うまくいったからいいや」とか思ってたりして。だけどやっぱり舞台をやると、日頃の生活とか自分の思考とかそういうものを正してくれますね。
――日常から変わりますね。
【草なぎ】そうですね。食べるものとか睡眠とかも考えるし、しっかり体力を保つ。僕にとっては、舞台上だけじゃなくて、僕自身が生きていく上で、めちゃくちゃ大事なことをいつも学ばせてくれるというか。そういうところが舞台にはありますからね。
――エンターテイナーとして、舞台上で観客の心をつかむためにやっていることはありますか?
【草なぎ】必死になってたらいいんですよね。お客さんって、うまくいってるものはあまり面白くないらしくて、逆にちょっと失敗とかする方が注目するんです。なんかちょっと間違ってたりしてガタガタしてる感じの方が、身を乗り出して見てくれるような気が僕はしていて。
――確かに何かあると、より注目したくなりますね。
【草なぎ】もちろん、下手にやるってことじゃないですよ。必死に食らいついてやってるところが見たいわけで。今回も自分の役のせりふがすごいいっぱいあるんですよ。絶対必死になるし、あたふたもする。もう頭から煙が出てくるみたいな感じ(笑)。どう考えても面白いと思いますよ(笑)。
■上映期間中のルーティーンは“カレーそば”「必ず劇場の近くのそば屋さんをリサーチ」
――先ほどのお話のなかに、上演期間中は日常から変わるとおっしゃっていましたが、何かルーティーンはございますか?
【草なぎ】僕、だいたい(午後)10時には寝ちゃうので、いつも朝6時、7時には起きるんですけど、舞台になるとやっぱ体疲れてるんで、8時、9時くらいに起きて、コーヒーを飲みます。そして、いつもより多めにストレッチして、深く深呼吸して。今日も1日、無事に舞台を務めることができるのかなって(考えたりして)。
あと、「カレーそば」食べますね。好きなんですよ。本番になると決まって「カレーそば」を食べる。
――ルーティーンにするほど、お好きなんですね。
【草なぎ】昔、イチロー選手が朝カレーを食べるとか言われていたみたいな感じですね。だから必ず劇場の近くのそば屋さんをリサーチしてもらって、「カレーそば」がなかったらお願いして作ってもらったり。(東京)日生劇場で『道(LA STRADA)』(18年)という舞台があった時に食べた、近くの「カレーそば」が今までトップでおいしかったですね。
――全国に「カレーそば」の“ツヨログ”があるわけですね。
【草なぎ】そうそうあります。今回も京都劇場だから、もうだいたいこことここってのがあったりして。「カレーそば」は詳しいです。
――今回に関しては、上演期間中に年越しを迎えます。年越しそばは「カレーそば」になりそうですね(笑)。年末年始は、ゆっくりできそうですか?
【草なぎ】あっ、でも家ではあまり食べないんですよね。劇場で食べるの。でもいいかもしれない。そうか、来年までまたいでいくのか。年末は29日が最後で京都ですよね? 東京に帰ってくるでしょうね。2、3日は多分休めると思うんですけど、舞台があって、年をまたぐ時ってやっぱりちょっと気が抜けてないところもあるんで。
――なかなか気が抜けない?
【草なぎ】おせち食べすぎちゃって、本当せりふ忘れちゃうんですよ(笑)。本当に毎日やってるのに、お腹いっぱいになったりすると、思考回路がどっか違うところにつながっちゃうみたいで(笑)。だから気をつけないといけないなって。お正月気分もありながら、必ず毎日一通りはせりふをブツブツ言ってた方が安心ですよね。
■舞台に立つのはこの世界に入っての“一番の核” できる限り立ち続けていきたい
――先ほどのお話のなかに、舞台は「自分と向き合える場所」という言葉がありました。大変さもあるなかで、今後その舞台とはどういう風に向き合っていきたいですか?
【草なぎ】舞台に立つっていうのは、若い時からこの世界に入っての一番の核になる部分。歌を歌ったり、人の前で立つのも舞台だし、何かそういう人の前で生で表現するっていうのは、一番芯を食ってる部分なので、できる限り立ち続けていきたいなと思っています。そこに重きを置くことが僕の人生の一番の、僕自身の物語っていうかストーリーになっていくんじゃないかな。
――ご自身にとって「舞台」はとても大きい存在なんですね。
【草なぎ】そうですね。板の上に立つって、どうしたって体を動かさないといけないので、健康だったり、元気じゃないとできないこと。いつに日か絶対に立てなくなる時がくる。そんなようなことも考えたり。自分との一番の戦いだなって。突き詰めて考えると、一番大事な仕事なのかもしれないですね。
■『ヴェニスの商人』公演日程
【東京公演】日本青年館ホール(東京都新宿区):2024年12月6日(金)~22日(日)
【京都公演】京都劇場(京都市下京区):2024年12月26日(木)~29日(日)
【愛知公演】御園座(名古屋市中区):2025年1月6日(月)~10日(金)
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