Jホラーは新たなステージへ『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』アナログな手法を駆使して映像制作
ORICON NEWS / 2025年1月12日 12時0分
ホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)の第2回(2022年)で大賞を受賞した、近藤亮太監督の短編映画を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が、今月24日より公開される。近藤監督は、本作にて商業映画デビュー。総合プロデューサーは、Jホラーの巨匠、清水崇が務めている。
【動画】映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』本編映像
本作は、弟の失踪にまつわる一本のビデオテープに閉じ込められた、粗く不穏な映像に心底ぞっとするような、真の恐怖を体感できる、ホラーファン待望の、“新次元Jホラー”。
近藤監督は、『リング』シリーズの脚本家・高橋洋に師事。高橋の監督作品やNetflixドラマ『呪怨:呪いの家』でも助監督を務め、テレビ東京のドラマ、TXQ FICTION第1弾『イシナガキクエを探しています』で演出を務めるなど、ホラー界に彗星の如く現れた俊才として、注目を集めている。
主演は、近年話題の数々の映画・ドラマに出演し、映画『プロミスト・ランド』(24年)でも主演を務めた、若手俳優の杉田雷麟。一緒に出かけた弟が失踪するという過去を持ち、今は行方不明となった人を探すボランティア活動を続ける主人公・兒玉敬太を演じる。
物語は、敬太のもとに1本の古いビデオテープが送られてきたことから始まる。送り主は、母親だった。そのビデオテープには、弟・日向が失踪した瞬間が映っていた。
父のビデオカメラを持ち出し山へと向かう敬太と、兄と遊びたい一心で後をついてきた弟の日向。テープを回しながら山を彷徨っていると、2人の前に廃墟が現れ、そこで、敬太が鬼になって日向とかくれんぼをすることになる。廃墟の廊下の奥にいた日向を見つけた敬太は「はい、みっけ!次は日向が鬼ね」と呼びかけるが、言葉が届いていないのか、日向は“何か”に引き寄せられるようにスーッと前に歩き出す。敬太は妙な違和感を感じ、日向がいるはずの場所を探すが、そこに日向の姿がない。次第に焦りだし呼吸が粗くなる敬太は「日向!」と叫びながら辺りを走って探し始める――。
霊感を持つ同居人の天野司(平井亜門)は、そのテープに禍々しい雰囲気を感じ、敬太に深入りしないよう助言するが、敬太はずっと自分についてまわる忌まわしい過去をたどるべく動き出す。そんな敬太を取材対象として追いかけていた記者の久住美琴(森田想)も帯同し、3人は日向がいなくなった“山”に向かう。そして、想像を絶する恐怖に巻き込まれていくことになる。
■目に見えないものへの恐怖
本編ではこのビデオテープの映像が巧みに使われており、ビデオテープに残るノイズや画質の粗さ、ブレが観客へ与える不気味さを増長させる。近藤監督が本作の特徴を“ノーCG”“ノー特殊メイク”“ノージャンプスケア(大きな音とともに何かが飛び出してくるような演出)”と謳っているように、この映像のノイズはCGを駆使したのではなく、実際のビデオテープのノイズがそのまま使用されている。
近藤監督は、友人が持っていたビデオテープの一番ノイズが現れる箇所に今回の映像を録画し、それを取り込んだという。古いビデオテープは物理的に劣化しているため、映像や音声が特殊な状態で再生され、ほかにはない質感の映像になった。「いろいろ試しながらやったので学ぶことが多かったです」と笑顔で振り返っている。
Jホラーの代表作である『リング』以来、“ビデオテープ”というアイテム自体が、何か恐怖が待ち構えているのではという不安感を煽(あお)る。それを取り入れつつ、近藤監督は「目に見えないものへの恐怖は、人間の本能に根付いている」というテーマを軸に、丁寧に作品を制作したと語っている。
■耳から入る情報が心をざわつかせる
山に近づくにつれ不穏に響く音楽により、何か得体のしれないものに近づいているような緊張感が増していく本作。劇中の音楽は、近藤監督の希望によりアーティストとしての活躍も目覚ましい、作曲家のTejeが担当。近藤監督は「安里麻里監督の『アンダー・ユア・ベッド』(19年)の音楽がとても好きで、いつかお願いしたいと思っていた」とオファーを振り返る。
本作ではテーマ的なメロディ音楽ではなく、場面に沿ったミニマルな音を採用し、随所で効果を発揮。“ノージャンプスケア”ゆえに、効果音で驚かせることもない。一見控えめなようで、実は物語に没入させ、心をざわつかせる不穏な音楽がむしろ効果的だ。登場人物たちも感情の起伏を抑え、大きい発声はほとんどない。むしろ、静かに話すことにより、彼らの感じている恐怖が伝わってくる。また、本編のある箇所に意味不明な声がかすかに聞こえるシーンがあるのだが、それは監督が音仕上げの現場で、アドリブで吹き込んだものだという。
恐怖をテーマにしたコンテンツに魅了され続けてきた近藤監督だからこそ実現できた、“Jホラー”を新たなステージに押し上げる映画になっている。
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