片岡千恵蔵版“金田一耕助”、70年ぶりに発見された『悪魔が来りて笛を吹く』復刻披露上映会
ORICON NEWS / 2025年1月28日 16時1分
約70年ぶりに所在がわからなくなっていたフィルムが発見され、このほどデジタル復元された、映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1954年公開)の復刻披露上映会が26日、東京・丸の内TOEIで開催された。
【画像】スーツ姿でガンアクションも見せる千恵蔵の金田一
1951年に発表された横溝正史の同名小説を、戦前から戦後にかけて活躍した時代劇スター・片岡千恵蔵が金田一耕助を演じ、東映が映画化。片岡千恵蔵の金田一耕助シリーズは7作品製作されており、本作は4作目にあたる。横溝の描く、くたびれたはかま姿の金田一とは異なり、片岡千恵蔵が華麗なスーツ姿でガンアクションも見せる趣の変わった作品だった。
本作原版は長らくロストフィルムとなっていたが、2023年に二松学舎大学文学部国文学科教授の山口直孝氏により16ミリフィルムが発見され、昨年、映画会社の東映に寄贈された。
見つかった16ミリフィルムは長い年月の間にビネガーシンドロームと呼ばれる劣化が進んでおり、ワカメのような歪み、また欠損、傷も多く、デジタル化が必要な状態にあった。東映はグループ会社、東映ラボ・テックによる熟練の手作業と最新修復技術を駆使し、デジタルデータとして映像と音声を共に蘇らせる復刻プロジェクトを発足。修復費用の一部はクラウドファンディングを募ったところ、昨年6月3日から7月30日までの期間に542人のパートナーが集まり、目標を大きく上回る632万5707円が寄せられた。
クラウドファンディングのパートナーの方への返礼品として実施されたこの日の上映会には、本作のフィルムの寄贈者で、横溝正史研究の第一人者の山口直孝教授と東映太秦映画村を運営している東映京都スタジオの元社長で、立命館大学映像学部教授でもある山口記弘氏が登壇。“ダブル山口教授”によるトークセッションでは、修復状態、巧妙なストーリー展開、トリックの妙や文学評価、当時の時代背景や撮影にまつわる話、片岡千恵蔵の人柄や演技の幅広さ、横溝小説が映画化された経緯や撮影環境等が語られ、上映会を盛り上げた。
この上映会に際して、原作者・横溝正史の次女・野本瑠美氏と、片岡千恵蔵を父に持つ東映の植木義晴取締役のコメントも公開された。
■野本瑠美氏のコメント
このたび、多くの方々のご協力と技術の結晶によって、かつての映像が修復されたこと、お慶び申し上げます。たまたま原作が父の作品であったということで、この場に参加できることを大変仕合わせに思っています。ありがとうございます。
作品の映画化について、父はトリックと解決が守られていれば、どのような表現であっても監督さんにお任せしますと申しておりました。映画には小説と異なるよさがあるというのが、父の考え方のようでした。
父の仕事に対する姿勢と言いますと、寝ても覚めても没入没頭というのでしょうか、触れればビリリ電気が走ランカという感じで、〆切が近くなれば髪振り乱して帯は解ける、羽織が脱げても歩き回るというありさま。けれど一旦想がまとまりペンを持ったら、家族はバンザーイとばかり声を上げてしゃべることができました!
トリックにしろストーリーにしろすべて読者と対決姿勢で、どうだ解けたか、面白いだろうという創作態度だったように思います。また連載小説でしたから、次の号へ興味をそそるテクニックも工夫を凝らして読者を引っ張っていたように思います。
取材も調査もしませんから、目にするもの耳にするものすべてを使って、父自身の知識と想像力によって構築していく姿は、常に火を噴いているようでした。
映画の金田一耕助の扮装については、世相が現われていると楽しんでいました。市川崑氏の作品では耕助役の石坂浩二氏が美男でインテリっぽくて、扮装は作品の再現であってもといぶかしく思っていたらしいのですが、撮影を見学した折にボヤが発生し、石坂氏が駆けつけようとしてバケツにつまずいた様子を見て、これはイケるとにんまりしたと聞いています。
『悪魔が来りて笛を吹く』、この作品はまさに想を得て組み立てていくほとんどすべてを家族みんなが知っておりますので、とても親近感のある作品です。また書き上げて間もなくの映画化作品に今日触れることは、とても不思議な巡り合わせと思っております。
■植木義晴氏(東映取締役)のコメント
今回このような機会をいただき初めて観ることが出来てうれしく思います。改めて、今回フィルムを見つけていただいたこと、そして多くの方に大スクリーンで観ていただくことができたこと、また、クラウドファンディングでご支援いただいたことを、片岡千恵蔵の息子として心より感謝申し上げます。よく家族で父親の映画を観ましたが、私にとっては俳優・片岡千恵蔵ではなく父親なので「失敗しないかなぁ」と心配になり、なかなか感情移入できなかったことを思い出しました。
本作は70年も前の作品と言う事でクラウドファンディングのパートナーの方は私よりも年配の方が多いのかなと思っていました。しかし実際に本日の上映会で来場者を拝見したところ、多くの方が私よりも若く、そして国内だけでなく海外の方もいらっしゃり、パートナーとして協力していただいているということを知りました。
過去の映像資産を現代に蘇らせる取り組みは、当時を知らない今の世代、そして海を越えた海外の人たちへも東映の映像資産、そして日本映画の魅力を知っていただくことが出来る素晴らしい取り組みだと思います。
私は日本航空でパイロット、そして社長として勤めてきた中で、日本の素晴らしさを海外の方に見つけていただけることを実感しています。日本の過去の映像資産には素晴らしい作品が数多くあります。それらを現代の技術で未来へ伝えることで日本国内のみならず、海外でも面白さを知ってもらうことにつながってほしいと、東映の取締役として願います。
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