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ロシアがリビアに戦闘機派遣 ロシア政府出資の民間軍事会社を支援か

おたくま経済新聞 / 2020年5月27日 14時12分

ロシアがリビアに戦闘機派遣 ロシア政府出資の民間軍事会社を支援か

アメリカ軍が公開したリビアの空軍基地に派遣されたロシア戦闘機の偵察画像(Image:USAFRICOM)

 アメリカアフリカ軍(AFRICOM)は2020年5月26日(欧州中央時間)、リビアの空軍基地にロシア軍の戦闘機がいるのを確認したと発表しました。現地ではロシア政府が出資する民間軍事会社(PMC)が活動しており、その支援で派遣されたものとアメリカ軍は分析しています。

 アメリカ軍の声明とともに公開された偵察画像によると、リビア中部ジュフラ県にあるアル・ジュフラ空軍基地の誘導路に、車両に牽引されるMiG-29戦闘機の姿が写っています。アメリカ軍によると、このMiG-29はシリアを経由してリビア入りしたとのことで、現地でロシア軍の機体だと分からないように再塗装されたとしています。

 また、偵察機による別の画像では、4機のMiG-29と4機のSu-35が確認でき、それぞれが離陸した様子も捉えられています。


 現在リビアでは、ロシア政府が出資する民間軍事会社のワグナー・グループが、ハリファ・ハフタル氏(元リビア軍元帥)率いる反政府勢力のリビア国民軍(LNA)を支援しており、今回の戦闘機派遣はワグナー・グループの地上作戦を上空から援護するためだとアメリカ軍当局は分析しています。

 アメリカアフリカ軍司令官、スティーヴン・タウンセンド陸軍大将は「ロシアは明らかにリビアでの軍事的関与を強めようとしています。ちょうどシリアで行なっているように、ワグナー・グループのような傭兵組織を使って、アフリカに軍事活動の範囲を拡張しています」とコメントを発表しています。

 アメリカは、ロシアの軍事的介入がリビア内戦を長引かせ、被害を大きなものにしていると分析しており、今回の戦闘機派遣はその傾向をさらに助長するものと考えているようです。しかし、ロシアは表立ってはリビアへの軍事介入を否定しています。

 アメリカアフリカ軍のタウンセンド司令官は「我々はロシアの第4世代戦闘機(MiG-29やSu-35)がリビア上空を飛行しているのを再三にわたって確認しました。LNAも民間軍事会社も、このような戦闘機を運用する能力はありません。ロシアからの支援によるものです」と、ロシアの関与を断定する発言をしています。同時に公開された飛行中のSu-24を捉えた画像では、垂直尾翼にロシア軍の機体であることを示す星のマークが入っていることが確認できます。


 アメリカの見立てでは、ロシアは表立ってのリビア介入を隠蔽するため、民間軍事会社のワグナー・グループを隠れ蓑にしている、としています。「おそらく近いうちに、ハフタル氏の勢力は新たな航空作戦の展開を宣言するでしょう。そしてそれは、ロシアから提供された軍用機をロシア人傭兵が運用し、リビアを爆撃するはずです」とタウンセンド司令官はコメントしました。

 ロシア側の動きに対し、アメリカ欧州アフリカ空軍司令官のジェフ・ハリガン大将は「もしロシアがリビアの海岸地帯に拠点を築くとすれば、次に広範囲な接近阻止・領域拒否(A2/AD)を展開する方針をとるでしょう。そうなれば、地中海を挟んだヨーロッパ南部に重大な安全保障上の懸念が生じます」とコメントしています。

 アメリカ軍は今後とも、リビアにおけるロシア側の出方を注意深く観察し、動向を分析するとしています。

<出典・引用>
アメリカアフリカ軍 プレスリリース
Image:USAFRICOM

(咲村珠樹)

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