HIKAKINが「魔の2014年」を振り返る 変わりゆく誹謗中傷の過去と今
おたくま経済新聞 / 2024年3月4日 10時53分
HikakinTV「誹謗中傷してる人へ」より
人気YouTuberのHIKAKINさんが、2024年2月24日に公開した動画の中で「誹謗中傷はやめましょう」と訴えています。
HIKAKINさんはYouTubeのチャンネル登録者数が1280万人を超えるYouTuber。メディアでの露出も多く、YouTuberの知名度を上げた立役者と言っても過言ではないでしょう。
そんなHIKAKINさんですが、2月24日に公開した「誹謗中傷してる人へ」というタイトルの動画内で、自分が誹謗中傷されていた時代のことを回想しています。
動画はHIKAKINさんが「Xでとあるポストがバズっていました」と、「バズった」ポストを紹介するところから始まります。今回話題になったポストは、過去にHIKAKINさんがTwitter(現X)上でやり取りした会話のスクリーンショットに「ヒカキン大人だな」というコメントが添えられたものです。
一体どのようなやり取りがあったのでしょうか。
■ 平穏なつぶやきに対する辛辣な言葉それは2014年に遡ります。当時、HIKAKINさんが自身のTwitterに「いつか奥さんと子どもとマイクラ※マルチでやりたいな。これ夢だな」という投稿をしました。(※ゲーム「Minecraft」)
何の変哲もないつぶやきですが、「え?まともな就職してないのに家族出来ると思ってんの?安定した収入を得られるようになってからそういうの考えな」という悪意のあるリプライがついたのです。
当時リアルタイムでリプライを目撃していた方々はどのような思いで見ていたのでしょうか。ファンの方々にしてみれば不快だったのは間違いないし、アンチにしてみたら「いいぞもっとやれ」状態だったでしょう。
よく見られるパターンとして、「耐えきれなくなったファンがリプライで怒り出す」というものがあります。その場合、荒れるだけ荒れて、ファンもただ嫌な気持ちになっただけで収拾がつかずに終わります。アンチが「ごめんなさい」を言うことはまずありません。
HIKAKINさんのケースは、ネットのセオリーとしては「スルー」だと思うのですが、HIKAKINさんはそれに「やはり世間ではそういう認識ですよね。勉強になります」と返信したのです。
当時としてはそれで終わった話でしたが、このやり取りを収めたスクリーンショットに「ヒカキン大人だな」というコメントがついたものが2024年2月中旬に拡散。非常に多くの人が目にした「バズった」ポストになりました。現在1113万回以上表示され、10万以上の「いいね」がついています。
■ 飛躍とアンチの数は比例する2014年のやり取りのスクリーンショットが今頃になって注目を集めたことに対して、HIKAKINさん自身も驚いているようです。HIKAKINさんはこれらのやり取りを忘れていたそうですが、「よく耐えたな~!」「『オレのこと人間だと思ってないでしょ?』ってくらい叩かれてたんですよ!確か」と振り返っています。
Twitterのリプライでは「大人」の対応を見せたHIKAKINさんですが、自分でも「よく耐えたな~!」と思うぐらいにキツイ言葉だったことがうかがい知れます。他にも、ここには書けないようなひどいものがいくつか紹介されていました。
当時は「YouTuber」というものが世間に広く認知されていなかったため、誹謗中傷されることも多かったようです。特に2012年から2014年くらいまでがひどかったとのこと。HIKAKINさんは「魔の2014年」「(誹謗中傷された数)自称日本一」と表現しています。
動画の中でHIKAKINさんも「(YouTuberは)珍しい存在と言うか、まだ新しい存在だったんですよね」と語っているとおり、2014年当時は立場が現在ほど確立されていない時期でした。
しかしながら、2014年はHIKAKINさんがチャンネル登録者数100万人を達成した年でもあります。SMAPを始め国内外の有名アーティストと共演しましたが、それでもYouTuberはまだアンダーグラウンドという認識が強く、「なんだあいつ」「素人のくせに」「気に入らないな」という人たちが出てきたのは仕方のないことでもあります。そして、メディア露出が増えれば多くの人に認知されますが、分母が増えたその分アンチも増えます。
HIKAKINさんは2014年を振り返る動画で「間違いなく人生で一番飛躍できた最高の年でした」と発言しています。事実、チャンネル登録者数90万人から倍以上の186万人に増えました。ですが、急激に飛躍した分アンチも増えて、特別炎上したわけでもないのに誹謗中傷が増えてしまったのだと思われます。
■ 誹謗中傷してる人へ、そして…2月24日公開の「誹謗中傷してる人へ」という動画では、誹謗中傷を受けた2014年のポストを紹介しながら、過去の自分に向けて「よく頑張った!よく耐えた!」「10年後にはそれ(誹謗中傷)が全部温かい返信になってるぞ!」と言葉をかけました。
最後に視聴者に向けて「誹謗中傷はやめましょう」「スマホで見たらデジタルな文字ですけど凶器ですから」と語りかけ、現在誹謗中傷を受けている人たちに向けても「『ヒカキンよりはマシだ』と少しでも元気を出してもらえたら」「誹謗中傷でも訴えてる人っていうのはね、昔と比べて相当たくさんいて、そういう手段もあると思うので我慢しないで下さいね」とメッセージを送りました。
今回の動画のタイトルは「誹謗中傷してる人へ」ですが、動画全体は「誹謗中傷されている人」に向けられていたような印象を受けました。実際、コメント欄にも「全ての誹謗中傷被害者の皆さんを、ヒカキンは応援しています」というコメントが固定されています。
インターネットでは簡単に誹謗中傷ができます。HIKAKINさんに直接誹謗中傷を浴びせる人は減ったかも知れませんが、先日も某所で誹謗中傷の書き込みを見ました。
最近は「開示請求」という言葉を頻繁に目にします。誹謗中傷される側がただのサンドバッグになる時代ではなくなってきたのです。ただ、残念ながら誹謗中傷が完全になくなることはないでしょう。しかし、個人個人の意識で減らせるとは思います。
「誹謗中傷をやめよう」と言われて、素直にやめる人はどのぐらいいるのでしょうか?きっとそう多くはいないでしょう。それでも声を上げなければ何も変わりません。漫画「SLAM DUNK」に「あきらめたらそこで試合終了だよ」という有名なセリフがありますが、まさにそれなのです。
自分の言葉は「凶器」にならないか、この動画をきっかけにもう一度考え直していきたいですね。
<参考・引用>
HIKAKIN YouTube公式チャンネル「HikakinTV」
HIKAKIN 公式X(@hikakin?)
※画像はHikakinTV「誹謗中傷してる人へ」のスクリーンショットです。
(神戸悠生)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おた経編集部 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024030402.html外部リンク
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