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働く女性が大切にしておいたほうがいい「意外なこと」って?お金でも資格でもなく

OTONA SALONE / 2022年5月30日 18時20分

40代に入り、会社員生活の残りが20年を切りました。まだまだ育休復帰したばかり、育児にバタバタの人も多いでしょうが、以前より生活が落ち着いてきた人が次に考えるのが「この先どういうキャリアをどう積んでいくか」。

この仕事をこのまま続けていくのか? 他の道を歩んでいくべきなのか?

「転身を含め先々を見据えたキャリアの積み方」「そのためのキャリアの棚卸のしかた」を知っておけば、50代以降の自分の成長はかなり変わります。

女性のセカンドキャリア研修を手掛ける株式会社Next Storyの代表、西村美奈子さんにお話しを伺いました。

 

不安がらなくて大丈夫。40代はみんなが「迷う」時期なんです

こんにちは、女性のセカンドキャリア研修を手がける「Next Story」代表の西村美奈子と申します。

 

私は新卒で富士通に入社し、50代に入ってから女性のセカンドキャリア研究を始めました。58歳で早期退職して「Next Story」を作り、研修と女性たちのコミュニティづくりに携わっています。現在62歳です。

 

振り返れば、私も40代は迷いの時期でした。みなさんもお迷いではと思います。この背景にはステージの問題もあります。

 

まず、40代後半にさしかかると育児は大抵一段落します。高齢出産の方でも保育園時代のようなバタバタ感はなくなりますし、早ければ子どもが高校や大学に進学してほぼ手を離れます。受験などでの関わりはあっても、物理的に自分の時間を使うことはなくなり、「さあどうしよう」と急に自分の将来を考える余裕が生まれます。

 

現在の仕事が天職で、このまま極めていきたいと心に決めている人は迷いません。ですが、これまで組織に忠実に従い、与えられた仕事を懸命にこなしてきた人ほど「自分のやりたいことは何だっけ?」と我に返る傾向があります。

 

定年まではまだ時間があります。残り日数が足りずに焦るのではなく、もっと大きな人生のテーマに迷い、「自分のやるべきことを早く探さなきゃ」と焦り始める時期なんです。いかがでしょうか、あなたもきっとそういう感じなのではないでしょうか?

セカンドキャリアだって「何をやっていいかわからない」人が多い

仮にあなたがもうちょっと進んで、セカンドキャリア構築の道へと進んだとしましょう。私が手がけるセカンドキャリアの研修生はおよそ3つのタイプに別れます。「やりたいことが決まっている」「やりたい分野がきまっている」「何をやっていいかわからない」。あなたはどのタイプでしょうか。

 

こう問われて戸惑うかもしれませんが、心配しなくて大丈夫です。研修生でもいちばん多いのが「何をやっていいかわからない」人です。もし自分も当てはまるなと感じたら、まずこれから気になっていることは手あたり次第なんでもやってみるといいです。ひとまずやってみると好きか嫌いかがわかります。人に話を聞く機会も増えて、やっぱり違うかな?なんて具体的に思い始めたりするんです。

 

この分野がいいかな?と思って資格の勉強を始めたけれど、やってるうちにこれは違うなと感じたなら、躊躇せずにやめればいいんです。ただ、このとき「この分野ではグロースしないな」という理由だけでやめるのはもったいないなと思います。

 

というのも、自分の武器って一つじゃ足りないんです。特定の分野の専門家ってすごくいっぱいいるから、その専門家を目指すのはとても大変なんです。

 

ですが、できることが複数あるなら、掛け合わせでユニークな存在になっていきます。1つの要素でグロースしなくても、他の要素と組み合わせたときに他の人にできないオリジナルの強みが生まれるんです。

 

例を挙げましょう。「人の話を聞くのがすごく好きだ」というだけならば、それは単にあなたの特徴です。でも、ここに心理カウンセラー、アロマセラピスト、会計などの分野を掛け合わせることができれば、可能性がぐんと広がります。

 

ここで登場するのが「キャリア資本」という概念です。ちょっと専門的になりますが、「キャリア資本」はこれまでの経験やスキルなどの「ビジネス資本」、友人や同僚などの人的ネットワークを指す「社会関係資本」、そして貯金などの「経済資本」の3つから構成されています。

 

特に「ビジネス資本」については、今までの経験が必ず蓄積されています。その資本をどう活かすのか、さらに目標に向けてお金(経済資本)をもう100万円かけるのか? それとも違う分野にかけるか? キャリア資本を配分し、戦略的に費用対効果を考えるんです。

 

そしてもうひとつ重要なことは、「捨てる」見極めも必要になってくるという点です。この分野には進まないと決めて捨てる基準はシンプル、「本当に嫌なこと」。

 

意外でしょうか? でも、セカンドキャリアは嫌なことはやらなくていいんです。ただひたらすら、武器の種類を増やしていけばいいんです。

 

一つの武器で戦いたい場合、たとえば経理一筋30年という経歴ならば戦えますが、そうではない場合、動画に強い経理、教員資格を持つ経理、手話ができる経理と、ユニークなものを追求していく必要があるんです。

 

 

自分の武器を増やすと同時に、仲間を増やすこともとても大切

私の周囲には「生涯働き続けたい」という人が大勢います。言われた作業をその通りにこなす仕事ならばさっさとやめたい、でも自分でやりたい仕事をやりたいようにやれるなら楽しいと考えています。やりたい仕事なら、どんどんアイディアが湧いてくるはずです。

 

自己決定力の高さを重視しているんですね。これでいい。40代前半までならば、まだこれから社内のポジションを築く必要があります。でも、セカンドキャリアはそうではないんです。

 

実は、会社の悩みのほとんどは人間関係です。一緒に働く仲間たちとの相性さえよければ、大抵の困難は乗り越えられます。

 

先ほどキャリアを戦略的に考えると言いました。「キャリア資本」の中の「社会関係資本」である人的ネットワークもとても大事です。「自分のやりたいビジネスの専門家を仲間にするのも大切なのですが、いっぽうで、心の安定のために仲間を作ることも同じくらい重要です。いっしょに起業するのではなくても、他のフィールドで頑張る、励ましあえる仲間です。

 

私もそうして仲間に支えてもらいました。だから、私は自身のキャリア研修の卒業生のコミュニティを運営し、とても大事にしています。そこでは定期的に集える報告会も実施しています。みんなが頑張っているのを聞くと、自分も頑張ろうと思えるから。

Next Story 卒業生のオンラインミーティング

たとえば、キャリアコンサルタントになりたいと考えているなら、仲間とグループを作ったり、いろいろな会合に顔を出したりしているうちに、自分の居心地のよい場が見つかります。

 

逆に、いつも同じ人たちに囲まれ続けていると変化は起き得ません。まったく違う文化のある場所に出入りすることはとても重要です。

 

もう一つ、自分を顧客に設定して、自分が嫌だったことをなくしていくのも大切です。不便だと感じたことを改善するのも大切です。

 

「やりたいこと」「やりたい分野」が決まっている人ならば

セカンドキャリア研修生の3タイプ「やりたいことが決まっている」「やりたい分野がきまっている」「何をやっていいかわからない」のうち、残る前者2つに当てはまる方についてもお話しましょう。

 

「やりたいことが決まっている人」は、あと一歩が踏み出せないだけの人だとも言えます。そんな人は今の仕事からすぐに切り替えることを考えずに、まずはソフトランディングをめざしましょう。副業ですね。休みの日を利用してまずは始めてみる。そうすれば様子もわかってきます。手応えがあり、上手くいきそうであれば少しずつ比重を移していく、いつかはそちらが本業になればいい。

 

まだ、40代50代で企業に現役勤務中なので、定年まではいまのまま勤務し、その間に準備をするという人もこのグループには結構います。それもアリです。

 

いちばん多いのは「やりたい分野が決まっている」人です。たとえば、子どもの食育に関わることがやりたいけれど、具体的に自分が何をすればいいのかがわからない、健康に関わることをやりたいけれど、具体的にどんなことができるかがわからないという人。

 

研修中に背中を押されて、ウェルネスコーチになると決めた人がいました。現在は休みの日を利用して地元でコーチをしています。今後はオンライン化も検討していて、先々は独立する予定です。このように周囲に刺激を受け、押されることは大事です。

 

「何をやっていいのかわからない」のではなく「絞れない」だけ

さて、案外多いと申し上げた「何をやっていいかわからない」人は、「私は何もやりたいことがなくて恥ずかしい……」というような自己否定的な考えに陥りがちですが、実は逆です。この人たちは「興味がいっぱいありすぎて絞れない」んですね。

 

全体の2~3割くらいがこのタイプです。自分に自信が持てない人もいる一方で、とりあえずやりたい分野がまったく思い浮かばないという人もいます。

 

研修では「何でもいい、とにかくいま気になることで少しでも動いてみましょう」とアドバイスをします。あるとき「資格の勉強を始めました」と言ってくれた人がいました。でも、しばらくたって「やっぱりやめました」と報告がありました。これ、アリなんです。自分で動いて、試してみた結果、これではないとわかった。第一歩です。

 

キャリア研修の受講生の中に「3つの名刺を持ちたい」と言葉にした方がいました。現在は自分の会社、他社の社外取締役、若い人の支援の勉強と、まさに夢をかなえましたが、その道は決して平坦ではありませんでした。

 

思い迷う中、彼女が違ったのは、いろいろ動いていた点。キャリア研修だけではなく、起業スクールにも通い、さまざまな体験をして、最終的にこれまでの仕事とは縁のない分野に進みました。

 

最近私はよく言います。

 

「みんな、本当にやりたいことが見つからないんですって言うけど、見つけなくていい。とりあえずやりたいことやっていけばいいじゃない」。

 

これをお話している私だって、本当に一番やりたいことがセカンドキャリア研修なの?と聞かれるとちょっと自信がない。でも、「今はこれ!」って思ってます。

 

みんな「本当にやりたいこと」は一つしかないと思っていて、それを見つけなきゃと焦っています。でも、そのたった一つを探すのをやめて、とりあえずやりたいことをやってみればいいんです。

 

やっていると、「好きかも?」と思える瞬間があると思うんです。でも「それがあなたの絶対唯一の本当にやりたいことか?」って詰め寄られると、どうだろう……?ってなりますよね。でも、そのくらいの何かでいい。

 

みんな「本当にやりたいことを探す」呪縛にかかっている

私たちは「本当にやりたいことを探し続ける」呪縛にかかっていると思います。失敗は許されないと思っているんです。でも、キャリア構築には失敗ってないんです。どんなことでも経験はすべて資本になります。なので、自分はキャリア資本の蓄積をしてきたのだとポジティブに捉えてください。

 

思い描いていたキャリアと違うならば今日から再構築すればいい。資本として積んできた経験を捨てる必要はないんです。資本の中のいくつかと、これから起きることを掛け算にして強みを増やしていくんです。

 

これだけ言っても、私たちは「セカンドキャリアは失敗できない」という思い込みから逃れられず、自分が新たにすべきこと、いちばんやりたいことを探さないとならないと思いこんでしまいます。

 

セカンドキャリアって、外へ出ていくばかりではなく、会社組織に残る選択まで含めてのもの。ただ、この場合、漠然と定年を延長するのではなく、会社に残るならばこの会社の中で何をして貢献していくのかを明確に意識するマインドチェンジが必要です。そのほか、他社への転職もあり得るでしょう。

 

40代では、いちどキャリアの要素分解をやってみるといいと思います。私自身も、社内では様々な部署を経験したかわりに何のプロでもないと思いこんでいましたが、要素分解をしてみると一貫して「伝える仕事」をやってきたなと気づけました。

 

ソフト開発で入社し、海外研修センターでインストラクターをして、海外展示会担当になり、コンテンツビジネスを担当し、情シスに入って社内の情報共有をやり、最後はマーケでデジタルマーケティングに取り組むと、本当にいろいろやってきたんです。

 

これらの共通点は何かと分解してみると、共通していたのが「人に何かを伝えること」。私はこれを自分のキャリア資本であると考え、これからのメインにしていきたいなと考えたのです。そしてたどり着いたのが、「女性のセカンドキャリアを考える」という分野でした。

 

キャリアってなにも、積み重ねて上へ載せなければならないわけではないんです。あくまでも資本ですから、使える要素をどう見せていくかなんです。

 

お話/西村美奈子さん


株式会社 Next Story 代表取締役 富士通グループ在職中から「マチュア世代の働く女性のセカンドキャリア」をテーマ に研究に従事。早期退職後、自身の経験と研究をベースに会社設立。昭和女子大現代ビジネス研究所研究員、2級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)

 

 

≪OTONA SALONE編集部 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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