「50歳を過ぎたら生きるのが楽になった」理由は「鈍感力」。漫画家の影木栄貴さん(後編)【インタビュー】
OTONA SALONE / 2024年8月26日 6時34分
『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA刊)を出版した漫画家の影木栄貴さん。漫画家として不規則な生活をしていた20代から、生理不順やひどいPMSに悩まされていたそう。さらに、男性不信といった生きづらさも抱えていた影木さんが、「50代になって楽になった」と言えるようになったのには、目から鱗の理由がありました。
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未婚でも既婚でもまずは婦人科に行くところから始めよう
――話は変わりますが、影木さんは若い頃から生理不順やPMSに悩まされていたそうですね。
はい。私の場合生理不順の上にPMSがひどくて、しょっちゅう体調を崩していたんです。それで36歳ごろから婦人科でピルを処方してもらうようになり、48歳まで服用していました。
ピルをやめたときは、そのまま生理も終わればいいなと思っていたのですが、残念ながら生理が復活してしまい、今度はしっかり25日周期で来るようになったんです。25日周期で生理が来るとなると、PMSの時期も含めたら、元気な日が数えるほどしかありません。再び体調を崩す日が増えてきました。
あまりに体調の悪い日が多いので、今は婦人科で処方していただいたホルモン剤を使用しています。現在は生理の周期も3ヶ月おきになり、ずいぶん楽になりました。
――婦人科には定期的に通われているんですね。
最初に婦人科に行ったのは、生理症状がひどすぎて仕事になりませんと駆け込んだことから。私は自他ともに認める「病院大嫌い人間」なのですが、婦人科だけは無理してでも行くようにしています。
早期発見したら治療できる疾患って婦人科系のものには多いと聞くじゃないですか。なので、ぜひ読者のみなさんにも婦人科検診には行ってもらいたいですね。
また体自体は健康な自信があったんです。しかし先日、急性胆嚢炎で倒れて手術と入院をしました。今思えば1、2年前から時々腹痛を感じることがあって、それが胆嚢炎の兆候だったんでしょうね。50歳も過ぎたので次は人間ドックかな。しばらく行っていないので、そろそろ行こうかな、と思っています。
――食生活では気をつけていることはありますか?
最近は腸活を意識するようになりました。乳酸菌飲料や整腸剤などを生活に取り入れています。
50歳を過ぎてからが楽しいのは、残りの人生が見通せるから
――「50歳を過ぎると人生がちょっと楽になる」という言葉は、影木さんの経験から出た言葉ですか?
はい。私が「50歳を過ぎて楽になったな」と感じる理由は、人生の折り返し地点を過ぎたからだと思っています。人生と言う山を登っているとき、てっぺんに向かってるうちはゴールが見えないんですよ。ゴールが見えないから「まだまだ続くこの先の長い人生、いったいどうなるのだろう」と不安に駆られます。
その不安やストレスを一番大きく感じるのは、30代から40代頭ぐらいでしょうか。結婚をするかしないか、子供を持つか持たないか、子供が産まれたら産まれたでどうすれば幸せな人生を歩ませてあげられるか……。選択肢もたくさんあって悩みは尽きません。
それが40代後半になり人生の折り返しを過ぎると、ゴールが自然と見えてきます。そうすると、「あのゴールを見据えて人生設計をすればいいのね」というのがわかってきて、先のことが少し見通せるようになります。
具体的に言うと、若いころは漠然と、「この生活のままで老後はお金が足りるんだろうか」とか「いくつまで働けるんだろうか」思って不安になることがありますよね。それが人生の折り返し地点に来ると、残りの人生を生きていくのに必要なお金が計算しやすくなります。「何歳まで働けば大丈夫」という計画が立てられるようになります。
計算ができるようになると、物理的に人生が楽になります。
鈍感力が身について人生を「ふんわり」過ごせるようになる
――50歳を過ぎて精神的に楽になったところはありますか?
年を取って昔よりきっちりしなくなった、ということがあります。ちょっとした問題に直面しても「どうかになるさ」と思ったり、気持ち的にゆったりできることが多くなりました。
私自身も若い頃から鈍感力を大事にしながら生きてきたつもりでしたが、50歳過ぎたころからそれが自然と身についてきた気がします。
あとは脳がいいことしか覚えていないようになったことですかね(笑)。つらかったことよりも楽しかったことだけを強烈に覚えている。また、悪かったことも「これもいい経験だ」というふうに、脳が勝手に変換するようになりました(笑)
例えば先日の入院も緊急手術になってとても大変だったのですが、「つらかった」ではなく「レアな体験をした」という感想です。看護婦さんがキレイで働き者だったとか、入院中に隣のベッドから聞こえてきたラジオがDAIGOのラジオで癒されたこととか、手術後最初に食べたご飯がおいしかったこととか。良いことも悪いことも、初めて経験できたことはすごく貴重でいい思い出になるんです。
付き添ってくれた夫は大変だったと思いますが(笑)
――最後に、40代後半の自分に今何か伝えたいことはありますか?
そうですね。「無茶すんなよ」でしょうか。私の40代後半は、自律神経の病気が少し良くなってきた時期なんです。それで調子に乗っていきなり仕事を詰め込んだんですよね。自律神経の病気だった時は、漫画のアドバイザーなどをしてわりとゆったり仕事をしていたのですが、よくなったらあっという間にハードワークに逆戻り。
体調がいいから、私もハイテンションになって働きすぎてしまいました。
何かで見たのですが、「落ち込んでるときと調子がいいときは大事な決定をしないほうがいい」という言葉がありまして、まさにその通りだなと。自分で自分の首を絞めちゃう。
それは注意しなさいと、40代後半の自分に教えてあげたいですね。
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親の言うことは絶対じゃないって気づいたのは28歳。婚前交渉をダメだと思っている腐女子が40代になり、婚活・結婚するまでの道のり。自分では動き出せないあなたの背中を、少しだけでも押してくれる、そんなエッセイです。
『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA刊)
■影木栄貴(えいき・えいき)
漫画家。1996年『運命にKISS』(新書館)でデビュー。以後、少女漫画、BL漫画、百合漫画、エッセイ漫画などで活躍中。現在は原作・原案を多く手掛ける。代表作『LOVE STAGE!!』(KADOKAWA)はアニメ化、映画化、タイではドラマ化もされた。母方の祖父は第74代内閣総理大臣の故竹下登、弟にBREAKERZのボーカル・DAIGO、義妹は北川景子。
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