【広末涼子 ロングインタビュー】つねに味方でいてくれる「たいせつな存在」があったから、諦めず前に進めた。仕事とプライベートの「いま」
OTONA SALONE / 2024年8月16日 10時30分
26年間所属した事務所を退所し、たった一人で事務所を立ち上げて再スタートを切った広末涼子さん。オトナサローネがインタビューを申し込むと「まだ独立して日も浅いなか、働く女性としての話を聞きたいと言っていただけてうれしかった」と今回のインタビューの運びとなりました。
向かい風を真正面から受け止め、一歩ずつ前に進む決意をした広末涼子さんの「いま」をお聞きました。
【広末涼子 ロングインタビュー 前編】
常に味方でいてくれた「たいせつな存在」があったからこそ
――広末さんは今年2月、個人事務所「R.H」を立ち上げました。今後の芸能活動はどのようにお考えですか?
事務所を作ったからといって、何か大それたことを目指しているわけではありません。
正直なところ、先のことはまだ何も見えません。独立させていただくまでにも時間がかかり、多くの方にご迷惑をかけ、ご協力していただき、感謝の気持ちをもって新天地に立たせていただいています。
ただ、子どもの頃から恋焦がれてやっとたどり着いたこの場所に、もしもまだ自分の居場所があるのであれば……と思っています。
――ご自身が社長で、社員はゼロ。マネジメントもプロデュースもご自身でやっていて、これまでとはまったく違う世界が見えているのではないでしょうか。
本当にその通りで、歴代のマネージャーさんには感謝しかないという気持ちです。
今まで私は現場のことだけ考えていて、それ以外は会社に任せていました。企画もセッティングも、事前の打ち合わせもノータッチでしたし、移動の間はマネージャーさんに「寝てていいよ」と言われて「申し訳ないけれど、今しか眠る時間がないから」と休ませてもらっていました。マネージャーさんはお母さんみたいな存在だったと、改めて思います。
――お子さんたちは広末さんの再出発をどんなふうに受け止めていますか?
応援してくれています。子どもたちからは、母の日に心のこもったメッセージをもらいました。長男はもう20歳なので普段はストレートな言い方はしないのですが、「一人で抱え込まなくていいから、何かあればいつでも話して」と言ってくれました。本当に心強い存在です。
「傷つく経験なんて山ほどしてるだろ。いまさら何ビビってんの?」
――インスタグラムを始めたり、ファンクラブを開設したり、新しい挑戦を始めましたね。広末さんはこれまで、SNSからは距離をとっていたのにどうしてですか?
私がデビューした頃はSNSなんてなくて、基本は新聞や雑誌、テレビのインタビューでした。当時から、言葉を選んでいろいろ考えて話したつもりでも、うまく伝わらないことも多くて……。怖いなぁと感じるようになっていました。
ですからSNSで見知らぬ人と直接つながるというのは、私には怖くてとても無理だと思っていました。警戒心が強すぎるのかもしれないけれど。
でも、あるとき長男に
「え? 何言ってんの? ママはそんな世界で30年近く生きてきたんだろ? 攻撃なんて慣れてんじゃん」「何も知らないでこの世界に飛び込んで、SNSで傷つけられてしまう子がいるのはわかるよ。でもママはそんな経験、山ほどしてるんだろ? いまさら何をそんなにビビってんの?」
って言われて。思わず「あ~、そう……ですよねぇ。おっしゃる通りです」と(笑)。
ある意味息子に背中を押してもらって、インスタを始めることができたのかもしれません。
――息子さん、すごい! お母さんのことをよく見ていますね。
そうですね。つい先日は息子に、「インスタの方向性が中途半端だよ。迷ってるだろう?」みたいなことを言われ、これも「あ~、そう…ですね、おっしゃる通りです」という感じで (笑)。
――ネット上ではひどい言葉や臆測、人を傷つける発言も目立ちますが……。
私の好きなダライ・ラマの言葉があって。
「あなたを傷つけたいと思っている敵に出会ったら、それを忍耐や寛容を覚える機会だと思いましょう。これは必要な資質です」「自分の心がコントロールできるようになるまでは、その人に会わないのが一番です」「必要なら、その相手から逃げることが最も賢い方法かもしれませんね。遠くまでね!」
これは人間関係だけでなく、ネット上でも言えることだと思います。
俳優業は私の軸。焦らずに「出会い」を待ちたい
――今後の活動について教えてください。俳優・広末涼子を待つファンもいると思います。
お芝居は私の真ん中にあって、軸になっているものです。
だからこそ焦らずに、「このメッセージを届けたい」と思える作品との出会いを待ちたいと思っています。
私は映画やドラマが本当に大好きです。だからといって演じているときが楽しいのかというと、基本的には苦しい。
ライヴで歌を歌ったりパフォーマンスしたりするのとは違って、自制的だし、自分を追い込んでいく部分がかなりあって、演技そのものを「楽しい」とはなかなか言えないのですが……、完成した作品を観ると感動で涙があふれてしまいます。
以前、自分が出演した映画の試写会で、作品に涙してしまいました。観覧後、近くに座っていらした原作者さんに、「ご自身の作品で、こんなにも泣けるんですね」と言われて……(笑)。
「違うんです、自分の演技で泣いたわけじゃなくて、脚本も映像も俳優さんもすばらしくて泣いてしまったんです」と説明したのですが……恥ずかしかったです。
――――自分の演技とは無関係に、作品に没入してしまうんですね。
以前は完成作品を見ても、自分の演技のアラ探しばかりして「もっとこうすればよかった」と後悔ばかりしていました。でも最近は自分のことは気にせず、作品そのものを楽しむように心がけています。みんなの力が集まって1つの作品を作り上げるということが本当にすばらしいと思うので。
12月にはライヴを予定。新しい挑戦を始めたい
――アーティスト活動も復活されるんですよね? 「ヒロスエの歌、待っていました!」というファンはたくさんいそうです。
これまでにも「また歌ってほしい」という声はいただいていたのですが、俳優の仕事にプラスするにはもう一人私がいないと不可能でした(笑)。でも今年の12月にライヴをさせていただけることになって、本当にうれしく思っています。
――44歳、まだまだこれからですね。
人生って長いと思っていたのですが、人生80年時代といえども、その時間は週で換算すると4000週間くらいしかない。そう考えると、1週間1週間が貴重な気がしませんか? まだまだ成長できる年齢だと思っているので、頑張りたいと考えています。
▶つづきの【後編】記事『 【 広末涼子 ロングインタビュー 】注いだ「愛情」はちゃんと伝わる。弱音を吐ける相手がいてくれるという「しあわせ」 』では、仕事と子育ての両立、そして愛情の伝え方、疲れてしまったときの弱音の吐き方についてたっぷりお話を伺っています。
取材・文/神 素子
画像提供/R.H
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