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【 広末涼子 ロングインタビュー 】注いだ「愛情」はちゃんと伝わる。弱音を吐ける相手がいてくれるという「しあわせ」

OTONA SALONE / 2024年8月16日 10時31分

今年2月に個人事務所を立ち上げた広末涼子さん。新しい一歩を踏み出す勇気をくれたのは、3人の子どもたちでした。

子育てしながら走り続けてきた20年の日々を振り返りながら、母として、そして働く女性としての葛藤や迷いについて話してくださいました。

 

【広末涼子 ロングインタビュー 後編】

 

この記事の【前編】を読む◀ 『【広末涼子 ロングインタビュー】つねに味方でいてくれる「たいせつな存在」があったから、諦めず前に進めた。仕事とプライベートの「いま」』

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出産のタイミングで「仕事を辞めよう」と思った

――オトナサローネの読者には、働く女性がたくさんいます。仕事や家事、子育てなどとの両立で悩む方も少なくありませんが、仕事を続けるために必要なことは何だと思いますか。

一番思うことは、疲れたら休んだほうがいいということです。パンクしたり、爆発したり、壊れてしまう前に、自分で自分を休ませてあげてほしい。

私は三度の出産を経て、ありがたいことに少しずつはお休みさせていただきました。でも正直に言えば、そのタイミングで、完全に仕事を辞めることも考えてはいました。

 

――どうしてですか? 

一人の人間を生み育てていくことの責任を痛感して、俳優としての仕事と本当に両立できるのかという戸惑いがありました。

また、俳優であることに固執して、そこだけに自分の存在価値を見いだすことが怖い気持ちもあったのだと思います。逆に演技の仕事で失敗したときに、「こんな大きなチャンスをムダにした。私は何のために生きているんだろう」と思うかもしれない。それはよくないし、もう少し冷静に、そして客観的に仕事と向き合える自分を形成したいと思ったのかもしれません。

 

今でこそ「しばらく休業します」とお休みするアーティストさんや俳優さんもいらっしゃいますが、当時は引退するか続けるかの二択しかなかった。少なくとも私はそう感じていました。

でも長く表舞台に立ち続けることを考えると、いったん「芸能人の自分」から離れて、休める時間があることは必要だったのだと思います。

私は出産でお休みをもらうことができましたが、事前にきちんと考えて休める場面をつくることができたら、もう少し上手に生きられたんじゃないかなとも思っています。

それはすべての仕事に言えることだと思います。

 

 

家では絶対に台本を開かないと決めた理由

――子育てと仕事を両立するために心がけていたことはありますか?

家庭に仕事を持ち込まないことです。家ではいっさい台本を開きません。台本を読むのは移動中。早く家を出てカフェでセリフを覚えることもあります。

 

――なぜ家で台本を開かないのですか?

台本を読む時間は、役の世界に入りたいからです。自分が家にいることを忘れて、異次元にいるくらいの気持ちで。

でも家にいると、子どもに話しかけられたり、ほかの物事が目に入ってしまうので集中できない。それで中断したり、そのことでイライラするくらいなら、完全に切り離すほうがいいと決めました。

 

――家事と育児の両立は大変だったのではないでしょうか。

常に迷っていましたね。20年間の子育てはほぼワンオペだったので。

母親が子どもの誕生日に家にいないとか、クリスマスに子どもだけとか、運動会に両親ともに来られないとか、そういうことは避けたかったし、朝はあたたかいごはんを食べさせて送り出したかった。部活動の送り迎えもしたかった。できることはすべてやりたかった。でも、どうしてもできないこともありました。

 

 

「強くて・優しくて・いつも笑顔」でなくてもいいじゃないか

私はずっと、「母親は強くて、優しくて、いつも笑顔でなくてはいけない」と思っていました。自分の母がそういう人だったから。

でも、私が強くて優しくていつも笑顔で働いていると、子どもたちは寂しいのかもしれない、と気づいたときがありました。置いてきぼりの気持ちになるんだ、と。

それであるとき、私は長男に弱音を吐いてみました。まだ小さかった長男に。

そうしたら急に長男の目が輝いて。小さいなりに母親の力になりたいと思っていたのだと気づかされました。

もちろん「強くて・優しくて・いつも笑顔」のママは素敵です。正解も不正解もない。でもわが家はこれでいいのかもしれないなと思っています。

 

――今でもお子さんに弱音を吐くんですか?

この前も「ああ、疲れたよ~」って言ったら、一番下の子が「よしよし」って頭をなでてくれて、涙が出ました(笑)。

お手伝いもよくしてくれます。みんな習慣になっているので、家族みんなで助け合いの形が作れているなと感じています。

 

――子どもは子どもで、ママを支えたいと思っているんですね。

小さい頃から、ママの働く背中を見続けてきた彼らが、私の未熟さや頼りない部分も含めて、家族として支え合っていく形を自然とつくってくれています。これからも子どもたちへの愛情表現だけは、出し惜しみすることなく精一杯伝えて生きていきたいです。

 

 

 

Profile

広末涼子

1980年7月18日生まれ、高知県出身。『第1回クレアラシル「ぴかぴかフェイスコンテスト」』でグランプリを獲得しデビュー。NTTドコモのCM出演や、シングル「MajiでKoiする5秒前」のリリースなどで話題を集め、人気を博す。ドラマ『ビーチボーイズ』(97年)、映画『鉄道員』(99年)、映画『秘密』(99年)、映画『おくりびと』(08年)、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(10年)など話題作に多数出演。2012年公開作映画『鍵泥棒のメソッド』では、『第36回日本アカデミー賞』で、優秀助演女優賞に輝いた。2024年7月 ファンクラブ「NEW FIELD」開設。
2024年12月 東京・丸の内コットンクラブでプレミアム・ライヴ「Best Day Ever」の開催が決定。

 

 

取材・文/神 素子
画像提供/R.H

 

【Not Sponsored記事】

 

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