【独占告白】梅宮アンナが乳がん「標準治療」に託す願い「こんなにも多くの方々が私たちを支えてくれる。涙が止まらなくて」(前)
OTONA SALONE / 2024年9月9日 10時20分
こんにちは、梅宮アンナです。私はステージⅢAの「浸潤性小葉がん」を治療中です。早いもので、7月31日にスタートした抗がん剤「術前化学療法」のうち「AC療法」が次回で4回目を迎えます。2週に1回ずつ投与を受けており、4回で終了。その後2週1回×4回の「パクリタキセル」へと進む予定です。
激動の日々が少し落ち着いたので、これからは体調の許す限り隔週で連載をお届けします。治療真っ最中の今だからこその私のリアルな変化と、正直な気持ち、包み隠さぬ本音をお話ししていくつもりです。どうぞ末永くお付き合いくださいね。
【独占連載「アンナの日々」#2】前編
正しい知識の大切さ。抗がん剤後の「痛み」の理由がわかったら、恐怖が「希望」に変わった
この数日、私の体は強烈に痛い。胸のあたり、背中、脚の付け根、肺や心臓部が苦しいのです。抗がん剤3回目が終わり、4回目を待つ間に起きていることです。でも、主治医にメールで相談したら、これは想定内みたい。「白血球を上昇させる注射の影響です。ゆっくり休んでください」と。
私が乳がんを発表したのは8月13日。2回目の抗がん剤投与の前日でした。本当は8月20日の誕生日にと思っていたのですが、13日朝に脱毛が始まり、今日がインスタライブでご報告するタイミングだなと決めました。
本格的な脱毛は8月18日、TBS『サンデー・ジャポン』出演の朝に始まりました。抗がん剤スタートから約20日、言われた通りでした。ですが私、1回目の抗がん剤ではそれほど体にダメージが出ませんでした。おそらく、抗がん剤に対する恐怖心が大きすぎて、あまりの緊張にダメージを感じる余裕すらなかったのだと思います。だって、がんと聞いても「がーん」とならなかったのに、抗がん剤と聞いて「がーん」でしたから。引っ張っても抜けない髪の毛が副作用でごそっと抜けちゃうなんて。そんなものを体に入れて、私いったいどうなっちゃうの……?と、ずっと怖くて怖くて。
1回目を投与したその夜に熱が、翌日に顔のほてりが出て、倦怠感が続きました。しかし恐れていたよりも軽く終わったので、もしかして私このままいけちゃう?と油断しました。気持ち悪くなり、お腹がすごく張るのが噂に聞く副作用かと思いましたが、実はインスタライブでいろいろな方から「体力をつけるためにとにかく食べて」とアドバイスをいただいたのを頑張り過ぎて、食べ過ぎたのが原因でした。1回目はそんなことすら自分でもわからないくらいに頭がいっぱいでした。
抗がん剤が体に入ってくる感覚は「キモい」としか表現できません。体に針が入る瞬間は体が緊張で硬直していますし、2回目の投与のときにはうまく点滴が落ちず、体がすーっと冷たくなる体験をしました。あれは恐怖ですね。ですが、ひとつ分かったのは、抗がん剤って、体に入ってきた瞬間にウッと気持ち悪くなるのではないこと。2回目は投与を受けたその足でTBS『Nスタ』にも出演させていただきました。こんなことができたのも、進化した吐き気止めをちょうどの量で投与してもらっていた「さじ加減」のおかげだとあとで知るのですが。
結局のところ、自分にあうアドバイスを上手に取り入れればいいことが理解できました。それとともに、恐怖の対象でしかなかった抗がん剤が「自分を助けてくれるものなのだ」とも理解できて、3回目では看護師さんに具体的に質問ができるようになりました。それまではわからないことが何なのかもわかっていなかったのです。
私はいま、1日目に血液検査、2日目に抗がん剤投与、3日目に白血球を増やす「ジーラスタ」という段取りにしていますが、この「ジーラスタ」を打ったあとどうにも全身が痛くなります。この、痛みがあることが普通ではなく、相談していいことなのだとわかるまでに3回かかりました。
3回目の投与のあとで看護師さんに質問したら、「体が回復のために血液をいっしょうけんめい作っている痛みだよ」と教えてもらえました。直前までなぜ痛いのかがわからず「この痛みはがんの痛みなのかな。私の体は蝕まれているのかな」とネガティブに捉えて落ち込んでいたのですが、これこそが再生する痛さであり、つまり私の体にとっての希望なのだと理解できたら、とたんに心が安定しました。何が起きているのかを理解できると、気持ちが前に向き、希望がつながるのですね。
きっとこうして、みんな自分で一つずつ向き合い方を掴んでいくのだと思います。自分に必要なサポートは何なのか、知るべきことは何なのか。助けてもらえるものなのですよ、私は止まりたくない。誰がこんなしんどい治療を好き好んでやるものですか、治るためです。これ以外にないって、治す方法。
まさか、そんな「口にするのに戸惑う」副作用が抗がん剤にあるだなんて?
2回目投与のあと、私は「中心静脈カテーテル(CV)ポート」を鎖骨の下に埋め込んでもらいました。2回目までは腕の血管から投与していましたが、抗がん剤には血管刺激性もあるため、血管が潰れていってしまって、回を重ねるごとに刺す場所が限られてきて。8回で終わればいいけど、8回も持ちそうにないと思ったのです。
インスタライブで皆さんに「CVポートいいよ!」とお勧めをいただいたのもありますし、主治医にも「ポートにすれば点滴針を刺すのが視界に入らなくなるのもあって恐怖心が減りますよ」と言われていました。その通りで、ポートを入れて本当によかった。恐怖心はメンタルを蝕むことを実感しました。
抗がん剤の副作用のうち、いちばん辛かったのが喉の痛み、違和感です。2回目から3回目の間、白血球が下がっていたのでしょうが、その影響が喉に現れたようで、鏡で見たら喉があちこち白くなっていて。院内の歯科で診察を受けたら「咽頭カンジダだと思います」と言われました。ショックで、主治医に「やだ先生、それっておシモの病気に出てくる菌ですよね? 響きが悪すぎ……?」と聞いたら、「梅宮さん、カンジダは誰の体内にもいる常在菌です。いま免疫が下がったから症状が出ているだけ、恥ずかしい話ではないですよ」とさとされました(笑)。
こうして「免疫が下がる」ことが身体の危機だと思い知ったので、食事もバランスよく食べて自分の体をいたわるようにと心がけたら、こんどは白血球が10倍くらいになってしまって(笑)。通常3000から8000/μlくらいのところ、なんと1万2000/μlに。あまり上がりすぎるのもきっとよくないのですが、いいんです、これは個体差です。がんはそれぞれ個人差があるし、主治医にNGと言われない限り、私は「今回ばかりはそのくらいの数字がないと戦えない!」と思っています。しんどさが強くないなら数値に一喜一憂せず、私はこの数値ならこんな感じなんだなと「自分の許容範囲」を確認していく、いまはそういう時間だと思っています。
そうだ、地味にしつこい副作用が耳鳴り。静かなところにいると左耳だけがぽこぽこするんです。「抗がん剤は内耳の働きを阻害する」ともありますので、そういうことでしょうか、ご経験なさった方いらっしゃいますか?
通称「レッドデビル」を体から頑張って排出するためにお水をたくさん飲んでいます
さて、闘病中のみなさんとシェアできるよう、私が受けている「AC療法」の内容を詳しく記録しておきます。まず最初に30分かけて吐き気止め「グラニセトロン注+デキサメタゾン注」を投与。長めです。
続けて15分ほど、その真っ赤な具合から米国では「レッドデビル」と呼ばれるらしい抗がん剤の「A」、「アドリアマイシン注 」を結構な速さで入れます。「動かないで」と言われ、「何でですか?」と聞いたら、「めったにないけれど、液漏れすると最悪の場合で皮膚潰瘍になるから」と。そんなの恐怖しかない(笑)、必死で動かずトイレも行かずに頑張るのですが、終わるとやたらトイレに行きたくなります。行くとこの時点でもう尿が赤いの、オレンジ色というか。うわあ、人間の体ってすごいな、こんなに早く出ちゃうのと驚きます。
そのあと30分ほど抗がん剤の「C」、「シクロホスファミド注 」を投与します。赤はハードですが、こちらは「優しい抗がん剤」と呼んでいるくらいにソフト。最後に5分ほど生理食塩水で点滴管内を洗い流して終了です。
がんの先輩方に「お水をたくさん飲んで体に残らないように出してください、必要な分は体に残るから」と言われました。1回目ではそれを知らず、2回目からはたくさん飲みました。6日後くらいにこうした症状は治まり、体から抗がん剤が出ていく感じがわかります。腎機能が低下すると膀胱炎のリスクもあるので、お水をたくさん飲んで尿も我慢せず夜中も2時間おきにトイレに行きます。父・梅宮辰夫は晩年人工透析を受けていて、尿を自分の力で出せない人生は辛いのを見ていました。だから夜中何度起きることになっても自分でトイレに行けることに感謝があります。
この「AC療法」が終わると、次のステップは「パクリタキセル」ですが、いまより強いらしいのでちょっと恐怖です。「手足の末梢に影響が出てしびれたりするので保冷剤を用意してください」といまから言われています。温めるのに使い捨てカイロも用意しないとならないようです。
一般的にAC療法もパクリタキセルも3週間ごとの投与ですが、私はありがたいことに体力があったので2週間おきのスケジュールにチャレンジして、現在のところここまで治療を行えています。これって、リタイアはしたけれど砂漠でサハラマラソンに挑み、山にも登り、限界の自然の中で体力と精神力を鍛えたのが生きたのだと思います。今日の行いがいつか未来につながると信じて日々を過ごしてきましたが、まさに人生のひとつひとつの点が線になっていくかのようです。
若いころ、学校に居場所がなくて悩んだときも、きっとこの経験には意味があると信じて次の道を切り開きました。その結果、本当に大切な、真に私を助けてくれる友人は誰なのかがわかりました。がんにり患して苦しんでいる私たちが「いま起きていることは何かしら未来に意味がある」と受け止め、理解できたら、余命半年と言われてから50年生きた私の父のように「お天道さまは見ているから」ときれいに生きていけるのだと思います。
つづき>>>「過去のどれだけの贅沢よりも、この医療を受けられることが信じがたい幸運」
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