【独占告白】梅宮アンナ乳がん治療「過去のどれだけの贅沢よりも、この医療を受けられることが信じがたい幸運」(後)
OTONA SALONE / 2024年9月9日 10時21分
こんにちは、梅宮アンナです。私はステージⅢAの「浸潤性小葉がん」を治療中です。早いもので、7月31日にスタートした抗がん剤「術前化学療法」のうち「AC療法」が次回で4回目を迎えます。2週に1回ずつ投与を受けており、4回で終了。その後2週1回×4回の「パクリタキセル」へと進む予定です。
激動の日々が少し落ち着いたので、これからは体調の許す限り隔週で連載をお届けします。治療真っ最中の今だからこその私のリアルな変化と、正直な気持ち、包み隠さぬ本音をお話ししていくつもりです。どうぞ末永くお付き合いくださいね。
(*前編『梅宮アンナが乳がん「標準治療」に託す願い「こんなにも多くの方々が私たちを支えてくれる。涙が止まらなくて」』に続く後編です)
【独占連載「アンナの日々」#2】後編
CVポート手術でわかった。過去のどれだけの贅沢よりも、この医療を受けられることが信じがたい幸運
ここまで、主治医の言うことは魔法のように全部当たっています。髪の毛も「抜けるよ」とズバリ言われて、「でも世の中には冷却する方法もありますよね?」と聞きましたが「体質にもよりますが、2つの抗がん剤治療である程度は抜けると思います」と重ねて言われました。そうか、とあきらめたのですが、本当に20日くらいで抜けました。CVポートも「私もお勧めしますよ」と言われた通りでした。
CVポート手術のためにはじめて2泊3日入院しましたが、すべてが感動でした。いまの医療は、痛みを少しでも減らし、また患者が治療に向かう気持ちを維持するために、薬も医療の道具も、院内のインテリアや衣類も、そしてスタッフのホスピタリティも、ものすごい努力と改善と研究を重ねていることがわかりました。私が2回目の投与時そのままTVの収録に向かえたのも、吐き気止めをここまで進化させた製薬会社、それを投与する医療関係者、すべてのみなさんの努力の成果を私が分けてもらったからだと気づきました。
私は飛行機オタクなので、ファーストクラス、スゥイートクラスで受けるサービスが人生でいちばんすごいと思っていたし、それも最高なのですが、今回更新されました。私は日本の医療サービスがいちばんすごいと思いますです。
例えば、今回のCVポート手術は局所麻酔で検査・処置室で受けました。「いまから麻酔をします、ちょっと痛いよ」って言われましたが、刺した瞬間にズコンときて、ちょっとじゃなかった(笑)。でも、横に看護師さんが2人いて、ずっと腕をトントンして安心してって伝えてくれるのです。
鎖骨付近ですから何をしているのか処置部は見えないのですが、自分につながっているカテーテルをぼーっと見ながら、この最新鋭の機器、この整えられた空間、この皆さんの技術、どれだけの頭脳を持ち、どれだけの努力をしてこの人たちはここに立っているのだろうと思いが至って。私に手術をしてくれてありがとうと思ったら、その瞬間からもう涙が止まらなくなって。こんな素晴らしいことを受けられるなんて、こんな贅沢がこの世にあるのって。
この手術後にそのまま病室で3回目の抗がん剤の投与を受けました。これまで日帰りにしていましたが、家の雑事をせず体を休めて自分のコンディションに集中、回復だけを考えていればいい2泊3日はとてもリラックスしました。看護師さんたちはみんな優しいし、パジャマもリネンもかわいらしくて。食事もおいしいんです。
インターネットに書いてあることを「鵜呑みにしない」のが重要
私は友人らからアメリカの医療の話を聞いています。私はいま日本にひとつも文句がありません、どれだけ私たちが恵まれてるか。残念ながらアメリカでがんにり患したら、持っているお金で命が決まります。自分の命は自分で買うものであり、それはそれで公平さのひとつの現れだとも思います。私は日本がこの優れた標準治療を私たち患者に提供してくれる体制を持っていて、こんなに安価だということが奇跡に近いと思います。だから私は国が認めた選択肢の範囲で、日本のやり方に沿って、私に合った最適な治療を受けたいのです。
がんが治るといういろいろなサプリ類をたくさん届けていただきました。お気持ちは嬉しいのですが、私は自分が何で治ったのか知りたいから、みんなが普通に手に取れるもので治していきます。だって、この病気は今回治せても、父がそうだったように、これからの人生ずっと付き合うことになるから。牛乳がよくない、砂糖がよくないと言われますが、私はその「ダメづくし」に本当に証拠があるのかを知りたい。主治医にも「なんでもバランスよく食べてください」と言われていますから、それを信じます。
その主治医にいちばん最初に言われたのは「インターネットにあふれる情報を鵜呑みにしないで」でした。「気になったら、私に次に会うときにその内容を一緒に考えよう」と。999人の正しい言葉が、1人のネガティブな大声につぶされてしまうのがインターネットです。私もネットは大好きですが、でも「使い方」というものがある。インターネットではいわゆる「自然療法」がたくさん検索に出てきて、抗がん剤のイメージは最悪です。でも、抗がん剤は治療時の大前提で、推奨している医師の数のほうが圧倒的に多い。そんな当たり前の事実が、インターネットではわからなくなってしまいます。「藁をも掴む」という言葉の意味を検索したら、すでに溺れている状態なんですよね(笑)。ちゃんとしたものを掴もうよ、私たちは命をかけて病気と闘うんだから、頼りないものを掴んじゃだめ。溺れないようにしなくちゃ。
これからの私にぜひ力を貸していただきたいこと。そして、みんなのために私がすべきことは
長々とお読みいただいてありがとうございます。NetflixやAmazon prime videoにはすべてを克明に追う闘病のドキュメンタリーがありますよね、私もそうした闘病の、標準治療の最前線の克明な記録を残してほしいとよく言われます。確かに、抗がん剤ってどういうものなのか、標準治療とは何なのか、答えられる人はほとんどいないと思いますから、私の経験を求めてくださるメディアには一つ一つ丁寧に応じていきたいです。
お声がけをいただいたさまざまな媒体からの取材に応じるうち、私はこの経験を最後は「アンナ財団」に昇華して、この病気にり患した人たちに「正しい情報」を伝える役割を果たしたいと考えるようになりました。あまりにも「それは違うだろう」という情報が多すぎて、みんなが迷う世の中になっているから、意識改革をしていきたいと思っています。啓発の財団を作りたいです。
治療開始前、髪の毛がなくなることは恐怖でしたが、実際始まってみるとウィッグも必要な人、必要ない人、どちらもいることがわかってきました。グレードは医療用であることが望ましいですが、手軽な帽子のほうがよい日もある理由もわかりましたし、私も普段はターバンに落ち着きました。すでに世の中にいいものがあるので、こういうのがあるよという情報も流したい。いままだ眉毛はありますが、まつ毛も抜けてきました。低刺激のつけまつ毛も必要になります。病気になってもいままでの自分となるべく変えない生活をしたいんです。自分の気持ちをアゲて奮い立たせていくという意味もあります。こうしたことを日本から世界に広げていきたいとも思います。
あとは、闘病中の体に優しい食事の話も。野菜も果物も食べなかった私が、いまは朝はグラノーラとバナナ。ヘルシーになりました。お肉も食べます。味覚障害が起きて味がしなくなることに抗がん剤治療者はみんな悩みますが、私は味を濃くすることなく「脳で味を想像して」食べています(笑)。これ、話したら「アンナらしい」って笑われました。でも食べなかったら人間生きていけないから!
いま、私は自分の人生でたぶんいちばん、「人のためになる自分の体験」を伝えたい思いがあります。人を助ける力があるのに助けないのはダメだよ、って。日々体の痛みと闘っていますが、人と話していると痛みが軽くなるのは大きい。だから仕事をすること、みんなに闘病が公開されることは私の助けです。見返り求めていなくて、誰かのために何かできる自分が気持ちいいんです。たぶん、結果はあとからついてきて、次につながっていくのだと思う。相手が病気ですから、打算的に「こう動こう」なんて計算はできません。
みんなが若かりし日のおバカな私をご存じで、でも私という人がいつもリアルであることも知ってくれている。私だからこういうことが言える、そこにうそがあってはいけないから、すべて包み隠していません。だって、自分の心を強くしないと、選択が全部狂っていくから。なぜ病院で牛乳が出るのか、それは病院が「体によい」と判断しているからです。これを信じる気持ちをゆらがせてはいけない。
私の闘病が世界の裏側まであまねく届いてほしい。そして誰かの力になり、その人がまた誰かの力になってほしい。これがいま私が発信を続ける理由です。こんなに長い文章を読んでくれてありがとう。また次回もよろしくお願いします。
https://www.instagram.com/annaumemiya/?hl=ja
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