処暑のころから「気を付け始めるべき」季節の変わり目の食養生とは?【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
OTONA SALONE / 2024年9月12日 16時0分
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
今年はずっと暑いままですが、本来は「暑さが少しやわらぐころ」
今年は8月22日~9月6日が「処暑」でした。「処」とは、止まる・留まるという意味。8月後半になると、朝夕は暑さがおさまり過ごしやすくなります。涼しさを含む風が吹き始めて、夜に虫の音が聞こえ始めるころです。という暦なのですが、今年はずっと暑さが続きましたね……。
TOP画像は今年の阿蘇の稲穂です。阿蘇山はカルデラ地形なので、阿蘇地域に入ると周りを外輪山にぐるっと囲まれた平地になりますが、太陽が近く、まわりを山の緑に包まれているからか、どこか神々しさを感じたりします。今年の新米もしっかりと実っており、暑い夏でしたが暦通りに自然は営まれているのだなと実感します。湧き水がこんこんと沸いています。夏場の太陽の光をいっしんに集めた作物たちが、お米だけでなくいま実りのときを迎えています。
「処暑」まだまだ暑い8月末から、少しずつ空気が乾いてくる9月上旬
暑さと湿度を感じる空気に包まれる8月までは、暑さで頑張る「心」と湿度を嫌う「脾」の機能をお話のメインキャラクターとさせていただきましたが、これからの秋は「肺」の機能が主役となる季節になります。「肺」の機能は、呼吸を担当して、身体全体の気のコントロールをしています。全身に気をいきわたらせるので、「気」にとって肺の機能はとても大切な存在です。
肺は潤っていると心地が良く、温暖を好む性質があります。8月下旬はまだ湿度も暑さも残っていたので、潤い・温暖を好む肺の機能にとっては心地が良く、元気に呼吸・気のコントロールをしたくなる状況でした。夏場、体が動きやすく呼吸もしやすい人は、「気」がうまく動かせる時期だからですね。
これから秋が深まると、人間が包まれている空気の「乾燥」「寒さ」が少しずつ増します。肺の機能にとって心地よい「潤い」「温暖」とは真逆のことなので、肺にとっては環境が一気に逆転して嫌なことが忍びよる季節となります。これからの季節は「肺の機能」を意識してケアしてあげることが大切になります。環境が一気に真逆に変わる季節だからです。
肺を元気にしてあげる食事を心がけてください
新米をはじめ、秋の収穫の季節です。この時期、肺を元気にしてくれるものがたくさん採れます。お米、もち米、栗、長芋、じゃがいも、かぼちゃ、シイタケ、鶏肉。
これは、自然からの「がんばれよ」というメッセージでしょう。そんな肺にエールを送るため、「かぼちゃのクコ煮」を作りました。かぼちゃの黄色が鮮やかだったので手に取ったのですが、作り始めたらかぼちゃの面取りが楽しく感じてしまい…ついついたくさん作ってしまいました(笑)。
かぼちゃ+クコ、どちらも肺を潤してくれる組み合わせです。鶏ひき肉をフライパンで炒めた後、水・お醤油・お砂糖・面取りしたかぼちゃを合せて、最後に水で戻したクコを入れます。かぼちゃの甘みが引き立つシンプルな味にしてみました。かぼちゃ・クコは肺を応援する組み合わせですし、かぼちゃは脾の機能(消化機能)にも元気を与えてくれますので、今の時期には特におすすめの食材です。肺にとって少しアウェイの季節が始まります。特に意識してあげられると肺が喜ぶと思います。
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