世帯年収750万円の夫婦が離婚。「オーバーローンで売りたくても売れない!」42歳 派遣の妻が、「自宅」も「養育費」も手に入れた秘策とは
OTONA SALONE / 2024年10月12日 21時0分
マイホームは一生に一度の買い物と言われています。地域や宅地規模にもよりますが、具体的な値段では少なくとも3,000万円はするのですから、そう言われるのも当然といえば当然です。令和5年、住宅・土地統計調査(総務省・統計局)によると借家の割合は住宅全体のわずか35%。一方、持ち家は60%を超えます。これが「夢のマイホーム」と呼ばれる所以でしょう。
例えば、子育て世代が「子ども部屋」欲しさにマイホームを購入する場合、今後も結婚生活がずっと続く前提です。まさか「途中で離婚するかも」と心配しながら、おそるおそる不動産の契約書に判を押す人はいないでしょう。
しかし、その「まさか」が起こった場合、どうなるのでしょうか?
筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、今回はその「まさか」が起こった事例をご紹介します。
築25年の中古マンションを2,000万円で購入し、700万円で大々的にスケルトンリフォームした椎野真央さん(仮名)もそんな一人です。
頭金なし、35年で住宅ローンを組んだのですが、まだ購入から5年しか経っておらず、2,360万円も残っている状況。それなのに夫婦で話し合い、離婚することに決めたそうなのですが、一体、何があったのでしょうか?
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また家族の構成や年齢、
年収、マンションを購入した経緯などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:椎野英也(44歳)→会社員(年収500万円) ☆今回の相談者
妻:椎野真央(42歳)→派遣社員(年収250万円)
娘:椎野理央(13歳)
息子:椎野勇也(11歳)
離婚のきっかけは、フルリノベで中古物件購入
賃貸から持ち家に引っ越すきっかけは夫の一言でした。「このまま家賃を払い続けるより、いっそのこと、マンションを買っちゃおうよ。住宅ローンは家賃と同じくらいだし」と。
夫は生活音が気になる繊細なタイプ。うるさい隣人に当たった場合、夫はノイズキャンセリングのイヤホンは手放せずにいました。前もって隣人の生活音を確認することも可能ですが、いかんせん、賃貸の場合、隣の住民が定期的に変わることが多いです。そのため、うるさい隣人がいつ、やってくるかを心配しなければなりません。
一方、持ち家の場合、マンションであっても賃貸に比べれば、隣人の入れ替わりは少ないです。だからこそ、夫は同じ条件なら賃貸より持ち家を望んだのです。夫は隣人だけでなく駅前の喧騒も嫌い。そんななか駅から徒歩25分、しかも角部屋の物件を発見したのです。さらに価格は2,000万円。節約家の夫のお目にかなう安さでした。
スケルトンリフォームの場合、コンクリートが見えるまで解体した上で再建する方法ですが、ある程度、間取りを新しくすることも可能。夫の目にはすでに間取りが決まっている新築マンションより魅力的に映ったようです。リフォームに700万円をかけても、毎月の住宅ローンは76,000円。賃貸の家賃(86,000円)より安く、住居費を節約できる計算でした。
このように中古マンションの購入、そしてリフォームは夫が進んで行いました。この時点ではまさか「築25年」「徒歩25分」「頭金なし」「35年ローン」という事情が離婚の足かせになるなんて…露ほども思っていませんでした。
それって、本当に家族のため?
真央さんは「不倫とかじゃないんです。でも彼とはもう一緒にやっていけません。きっと彼も同じように考えていると思います」と言いますが、夫との間で何があったのでしょうか?
夫の性格は一言でいえば「おせっかい」。例えば、早めに映画館に来てポップコーンを買っていたり、真央さんが「肉じゃがを作る」と言えば、前もって豚肉とジャガイモを買っておいたり、お泊り旅行に行くときは事前に分刻みでスケジュールを作ったり……。
結婚する前にデートをしたときは「いろいろ気が利く優しい人」だと思っていたのですが、いざ結婚すると真央さんへの偏愛はどんどんエスカレート。
夫が外出先で自宅の電気を消したかどうか、がどうしても気になるので、すべての部屋にペットカメラを設置。リモートで確認できるようにしたのです。しかし、前もって真央さんに相談しなかったことに不信感を持ちました。「電源のオンオフだけでなく、私の様子も監視されているようで…」と嘆きます。
夫は「家計のためだよ。電気代を無駄にしたくないだろ。ああ、もったいない!」と言うのですが、本当に妻子のためなのでしょうか。
筆者は『お前らのため』と言っている自分に酔っているようにしか見えませんでした。
さらに東日本大震災が起こったときはガイガーカウンターを購入。部屋の隅々まで放射能の数値を測ろうとするのです。真央さんが「うちは離れているから大丈夫でしょ?」と諭しても、「お前たちの健康のためだよ。分からないのか!」と聞く耳を持ちませんでした。
さらに新型コロナウイルスが流行ったときは1台12万円もする次亜塩素酸の除菌機能がついた空気清浄機を購入したのです。
真央さんが「家のなかでもマスクすれば大丈夫だよ。そんなに高いのはいらないし」となだめても、夫は「何にも分かってないな。お前たちがコロナにかかって死んで欲しくないんだよ!」と逆ギレ。
最近では九州や四国で地震が頻発。南海トラフの危険が高まるなか、ミネラルウォーターを10箱も購入。納戸に入りきらないほどの量でしたが、今回、真央さんは何も言いませんでした。なぜなら、長年の行き違いにより、もはや夫婦の仲は完全に冷え切っており、会話の「か」の字もなかったからです。
「家庭内冷戦」の状態が続き……
夫は何でもかんでも「お前たちのためだ」と自分を正当化しようとするのです。そんな自己中心的な夫と会話をするのに嫌気がさしたのです。
真央さんが口を開くのは子どものことでどうしても夫の承諾が必要な場合のみ。完全に愛想を尽かしたので、もはや一緒に食卓をはさむことはなく、食事はわざわざ別の時間に摂るように。
さらに外出、帰宅の時間をずらし、なるべく顔を合わせないように気をつけ、お互いが自室に閉じこもる生活に。そんな一触即発の「家庭内冷戦」を2年以上、続けてきたのです。
しかし、冷戦は突然、終了しました。
夫から逃げ隠れる生活にストレスは蓄積するばかり。ついに真央さんが我慢の限界に達し、「これで夫婦って言える?!これ以上は無理です。別れてください!」と口火を切ったのです。
夫はどのような反応をしたのでしょうか?「もっと早く言って欲しかった。僕だって限界だったんだ。もう終わりにしよう」と。
こうして夫婦が離婚すること自体はあっさりと決まったのですが、問題はマンションのこと。こだわりにこだわった物件を真央さんに渡したくない。夫は電車で30分のところに実家があるにもかかわらず、一国一城の主を続けたい一心で「離婚しても住むのは僕だ」の一点張りでした。
▶つづきの【後編】では、離婚することが決まったものの、まだまだ残っている住宅ローン。マンションを受け渡すつもりがない夫との交渉の行方は!?__▶▶▶▶▶
≪男女問題専門家(行政書士、ファイナンシャルプランナー) 露木幸彦さんの他の記事をチェック!≫
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