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「論破好き」はモラハラの典型例?夫に論破され続け、心が壊れていった私は(前編)

OTONA SALONE / 2025年1月1日 20時0分

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。

モラハラ(精神的DV)をする夫と話し合いをしたくても「何度話しても通じない」「話をすり替えられる」「私が悪いと決めつけられる」そんなことが続き、意思の疎通がうまくいかない方々がたくさんいらっしゃいます。今回は夫との話し合いがまったく進まないAさんのケースをご紹介します。

話が通じないモラハラ夫

Aさんは結婚15年目の主婦です。家事に支障が出ないよう配慮しながらパートで働き、家庭を支えています。しかし、銀行員の夫は家事や育児に完璧を求め、ことあるごとにAさんを否定します。さらに、Aさんがなぜそうなってしまったのか理由を説明すると必ず論破し、誇らしげな顔で「君は間違っているんだよ。僕の言うことを聞くことが、君にとって一番最善なんだよ」と言うのです。夫は家の中が常に整然としていないと気が済まない性格で、テレビのリモコンひとつが曲がっているだけで機嫌が悪くなるほど神経質な人でした。

 

その日、パート先ではインフルエンザが流行し、スタッフが不足していたため、Aさんは予定より3時間遅れての帰宅となりました。慌てて家に帰り、夕食の準備を始めたところ、夫はその日に限っていつもより早く帰宅していました。

「なんだ、この散らかりようは!食事もできていないのか!」

夫の鋭い声が響きます。

 

「すぐに片付けてご飯を作るから、少し待ってて。今日はパートが延びてしまったの。」

精一杯説明したものの、夫の表情は険しいままでした。

 

夫の機嫌は一向に治らず、Aさんは胸が締め付けられるような思いを抱えながら、急いで片付けを続けました。Aさんの夫は、家の中が整然としていることに異常なまでのこだわりを見せ、その秩序が乱れると機嫌を悪くするというモラハラの典型的な特徴を持っています。リモコンが少し曲がっているだけで怒りを露わにするのは、単なる神経質ではなく、自分の価値観やルールに従わせることで妻を支配しようとする心理が表れています。

 

モラハラの本質は、相手をコントロールし、支配することで自己の安心感を得ようとする行動です。自分の価値観に従わないAさんを責め立てることで、夫自身が家庭内での支配権を維持しようとしているのです。その上、妻の事情(仕事の延長や疲れ)を聞こうとせず、自分の不満だけを強調するのは、相手の感情や状況に対する共感が不足しているためです。共感できないのは、相手の立場に立つ余裕がない、自分の不安や苛立ちを優先してしまうモラハラの特徴が現れています。

 

「論破好き」はモラハラ夫の典型。その特徴と心理

翌朝夫がリビングに現れると、再び冷たい声で話し始めました。

「昨日の話だけど、君には根本的に計画性が足りないんだ。だから問題が起きるんだよ。」

「えっ、計画性…?」

Aさんはその言葉に引っかかり、恐る恐る聞き返しました。

「そうだよ。例えば、パートが延びるかもしれないって想定しておけば、先に家の片付けを済ませておくだろう?僕のスケジュールだって毎日完璧に回しているんだから、君にだってできるはずだ。」

「でも…昨日は本当に人が足りなくて突然決まったことだから」

言い訳ではなく事実を伝えようとした私の言葉は、再び夫の声に遮られました。

「だからその考え方が甘いんだって言ってるんだ!いいか、家事は予測して対処するものだ。パートよりも家庭が一番最優先だろう」

夫の言葉に、Aさんは何も言えなくなりました。

ほら、結局僕の言う通りじゃないか。反論できないのは、君が間違っている証拠だ。

 

夫は何か問題があると必ず私を論破するのです。私は自分の気持ちを夫に伝えることをあきらめるようになりました。話すたびに否定され、論破されるたびに、私はただ夫の「正しさ」に従う以外の選択肢を失っていったのです。

 

モラハラ(モラルハラスメント)の典型的な特徴として、「論破好き」が挙げられます。これは、相手を言い負かすことを通じて自分が相手より優位だという確認にもなります。以下に、モラハラ夫の論破好きの特徴や、それがもたらす影響を他のモラハラの特徴と合わせて説明します。

 

■相手の気持ちを無視する

相手がどんな気持ちで何を考えているのかに興味がなく、自分の考えだけで話を進めます。

例:妻が「今日は仕事が大変だった」と言っても、「でもそれは君が段取りが悪いからだ」と感情を無視して理屈だけで返します。

■相手の間違いを探すのが好き

相手が少しでも矛盾したことを言うと、それを指摘して責め立てます。

例:「この間はこう言ったよね」と過去の言葉を引っ張り出し、相手の発言や行動を否定します。

■勝ち負けで話をする

話し合いを「お互いを理解するためのもの」とは思わず、「自分が正しいことを証明する場」と捉えています。

「論破好き」は、モラハラ特有の他の特徴とも深く結びついています。

■支配欲を満たしたい

モラハラ夫は、相手を論破することで自分が正しいと主張し、家庭や相手を支配しようとします。

例:「君が計画性を持たないからこんなことになるんだ」と言って、自分の価値観を押し付けてきます。

■相手の人格を否定する

論破の目的は、相手の意見や感情を否定することです。これにより、相手は自信を失い、自分が悪いと思い込むようになります。

例:「どうせ君の考えはいつも浅いから問題が解決しないんだ」といった言葉で、相手を傷つける。

■一方的にルールを決める

「自分の言うことが絶対正しい」という考えが根底にあります。そのため、相手の意見を無視し、一方的に物事を決めます。

例:「この家のルールは僕が決めるんだ。君が何を言おうと無駄だ」と話し合いを拒否します。

 

本編では、話の通じないモラハラ男の特徴と、その心理についてお伝えしました。

続く後編では、モラハラ夫の論破によって、徐々に心を蝕まれていったAさんの実例についてお話します。

次のページへ▶▶論破され続けて心が徐々に病んでいったAさんが、最後に決めたことは

 

 

 

≪モラハラカウンセラー 麻野祐香さんの他の記事をチェック!≫

 

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